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第37話 捕縛
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ミライザは翌日アシリー公爵邸へ向かった。王城の東に佇むアシリー公爵邸は広大な敷地を持つ。
大きな門を馬車に乗って潜り抜け、手入れされた美しい庭園を進んでいく。
馬車から降りてミライザは、正面玄関へ向かった。
巨大な正面ドアと、天まで聳え立つような公爵邸の目の前で、ミライザは身震いした。
中にローザリンがいる。
やっと会える。
昨日からずっとアシリー公爵の言葉が、頭から離れなかった。
(ローザリンを泣かせ続けたって言っていたわ。ローザリン・・・・・・)
アシリー公爵邸のドアがゆっくりと開いた。
ミライザは応接室へ通された。
アシリー公爵邸の応接室には、無数の宝石が飾られていた。
「素晴らしいだろう」
ミライザがソファに座っていると、アシリー公爵と顔色が悪い義母ルクラシアが入ってきた。
「宝石には興味がありません。ローザリンはどうしたのですか?」
「こんなに美しいのに変わった娘だな。ルクラシアの話も一部は本当だったか
」
「私は離婚なんてしないわ。貴方はこの娘に騙されているのよ!確かにリアンナにそっくりだけど、髪の色が違う。この娘は偽物よ!」
「黙れ!この女狐め」
バシ!!
ルクラシアはアシリー公爵に頬を叩かれ倒れ込んだ。
「お義母様!」
「お前さえ、お前さえいなければ何もかも上手くいったのよ。どうして今更帰ってきたの!もっと早く殺していれば!」
ルクラシアはミライザの事を眉間に皺を寄せて睨んできた。
「やめろ!ルクラシア。最後だからと同席させてやったのだ。静かにしろ。さあ、出してもらおうか。ブルーティアーズとやらを」
「先にローザリンに合わせてください。ブルーティアーズはそれからお見せします」
「はははっは。私と取引をしようするとは!ブルーティアーズが先だ」
「ブルーティアーズなんて物は存在しないわ。私は、マージヤス侯爵家の隅から隅まで確認したの。そんな物見たことも聞いた事もないわ!この嘘吐き娘」
ルクラシアは、ヨロヨロと立ち上がったと思うと、ミライザに向かって走り込んできた。
ルクラシアの眼は釣り上がり、眉間に皺を寄せ、口元は歪んでいる。動物のように、ミライザに襲いかかるルクラシアのマニュキアが塗られた長い爪は鋭い刃物のようだった。
ミライザはルクラシアの変化に驚く。ルクラシアから直接体罰を受けた事はない。ルクラシアは、会う度にミライザに嫌味を言ってきたが、いつもルクラシアには余裕があり、彼女は意地悪く笑っていた。
(なんだ。醜いのは、私じゃ無い。彼女の方だわ。)
ミライザは、冷静に体を逸らし、襲いかかってきたルクラシアの左腕を掴んだ。すぐに右手も掴み、脚を払う。
ルクラシアは、無様に倒れ尻餅をついた。
「どうして!私の方が妻に相応しい。私の方が美しいのに!お前如きが何故!」
「何を言っているの?お義母様?今のお義母様を見て美しいと感じる人などいないわ。貴方は醜い。私は絶対に貴方を許せない。父を利用するだけ利用して、捨てた貴方の事を!」
「私は悪く無い!ギーザックが悪いのよ。私を裏切るから・・・・・・。私だって辛いのに」
義母ルクラシアは、その場に蹲り体を震わせた。
(父が裏切るって何の事?後悔すらしないなんて本当に自分勝手な人だわ)
ミライザとルクラシアの会話を聞いていたアシリー公爵は薄ら笑いを浮かべながら言った。
「元親子の会話は終わったかな。そろそろ本題に入ろうか」
「昨日伝えた通りです。ローザリンと合わせてください。ブルーティアーズは、ローザリンの無事を確認できてからお渡しします。」
「ああ、困るよ。ミライザ。もちろんローザリンは無事だ。だが、ここには連れて来れなくてね。先にブルーティアーズを渡してくれ。それとも焦らしているのか?君の美しさは素晴らしい。ブルーティアーズが本物の『人魚の涙』で無くても君を妻に迎えてやってもいい。私は美しい女を鳴かせるのが好きなんだ。」
「私は貴方の妻になりません。貴方みたいな屑。絶対にゴメンだわ!」
「ハハハ。若い女侯爵は礼儀を知らないらしい。マージャス侯爵家など私の力でどうにでもなる。君は私にブルーティアーズと君自身を捧げるしかないのだ!」
その時、いきなり応接室のドアが開いた。
「聞き捨てならないな。アシリー公爵!ミライザは僕の婚約者だ」
ドアから入ってきたのは、帝国皇族の正装に身を包んだグランだった。金髪のグランが前に進む度に部屋が明るくなるような錯覚に陥る。
ミライザは、舞踏会の直後グランに伝令を送っていた。アシリー公爵との交渉が決裂するかもしれない。最も信頼できる人に伝えておきたかった。だけど、こんなに早く来てくれるとは思っていなかった。それに・・・・・・
「ミライザ!大丈夫だった。心配したよ」
グランはミライザに駆け寄って来て、アシリー公爵から庇うように、ミライザの前に立った。グランは腰の剣に手を当てている。
「まさか帝国のグラウディス・ランバート殿下ですか?何故ここに?」
「僕の婚約者から、不穏な知らせを受けてね。慌てて駆けつけたのさ。間に合って良かったよ」
ミライザは、グランに寄り添い、小声で話しかけた。
「グラン?婚約者ってどういう事?確かに来てくれて助かったけど」
「殿下。そのような冗談を誰が信じるとでも?その娘も狼狽えていますぞ」
「冗談じゃないよ。陛下も正式に認めて下さった。」
グランは、ミライザの手を取り、金の指輪を愛おしそうに撫でた。
「まさか!それは、グラディアス帝国の金の指輪!皇子の婚約者のみに贈られる」
アシリー公爵は、呆然とミライザの指輪を凝視してくる。
「アシリー公爵。今回の件は帝国からも正式に抗議させて貰う。僕の婚約者への暴言と恐喝。それに帝国貴族や商人からアシリー公爵と取引後、貴重な宝石がイミテーションにすり替わっているとの被害届が複数出されていた。屋敷を改めさせて貰う。国王は、もう君を庇うつもりは無いみたいだ」
「バカな!」
いつも間にか屋敷が騒がしい。グランと共に憲兵が屋敷を訪れていたみたいだ。
アシリー公爵は、応接室へ入って来た憲兵に捕えられ、頭を項垂れて連れて行かれた。
「グラン?冗談よね。婚約だなんて」
「ミライザ、この前あった時、気持ちを確かめ合っただろ。指輪の交換は、帝国では婚約の意味がある。僕は君が応じてくれたから、とても嬉しかった。」
「グラン。私、貴方の事を愛しているわ。でも婚約の意味があるなんて知らなくて」
「いいよ。ミライザ。これから、一緒に過ごす時間が増えるから、沢山話し合おう」
「う?うん」
「殿下!盗難された宝石を見つけました。ご確認をお願いします!」
「分かった。後でね。ミライザ」
グランは、憲兵と共にその場を離れていった。
ミライザは、尻餅をついたまま、呆然としているルクラシアに近づいた。
「ローザリンはどこなの?」
「美しいローザリンは、今度こそ素晴らしい夫を見つけるのよ。その為に、離れで最高級の教育を・・・・・・私はローザリンの為に。公爵令嬢になれば・・・・・・。なのに、逮捕だなんて!どうして、私ばかりうまくいかないのよ。可笑しいわ。可笑しい」
ルクラシアは、一気に老け込んでいた。
目元には深い皺が目立ち、首は細く複数の横線が老いを感じさせる。離婚を告げられ、いつもの厚化粧と派手な装飾品で誤魔化す余裕が無かったのかもしれない。
「可笑しいのは貴方よ。」
ミライザは、ルクラシアを置いて離れに向かった。
公爵邸の使用人に離れの場所を確かめて、ミライザは屋敷の外に出た。
離れには鍵がいつも掛けられているらしい。鍵を渡す時の、使用人の暗い表情が気になった。
離れは、公爵邸から数分歩いた場所に設置されていた。茶色の煉瓦を積み上げて作られた離れは、薄汚れており、とても公爵令嬢が滞在する場所とは思えなかった。
鍵は4個設置されており、何故か外側から厳重に掛けられていた。
水色の髪の美しい妹ローザリン。
お父様が愛したマージャス侯爵家の娘。
彼女へブルーティアーズを返す。
そう決めてここまで来たのだ。
鍵を開け、ミライザは中に入った。最奥の部屋にローザリンはいた。
長い水色の髪は、所々白く変化し、艶が無くパサついている。
妹は衰弱していた。
痩せ細り、その姿は亡くなった父を彷彿させる。
ローザリンは、震えながら顔をあげ、ミライザを見て微笑み言った。
「おかえりなさい。おねえさま」
大きな門を馬車に乗って潜り抜け、手入れされた美しい庭園を進んでいく。
馬車から降りてミライザは、正面玄関へ向かった。
巨大な正面ドアと、天まで聳え立つような公爵邸の目の前で、ミライザは身震いした。
中にローザリンがいる。
やっと会える。
昨日からずっとアシリー公爵の言葉が、頭から離れなかった。
(ローザリンを泣かせ続けたって言っていたわ。ローザリン・・・・・・)
アシリー公爵邸のドアがゆっくりと開いた。
ミライザは応接室へ通された。
アシリー公爵邸の応接室には、無数の宝石が飾られていた。
「素晴らしいだろう」
ミライザがソファに座っていると、アシリー公爵と顔色が悪い義母ルクラシアが入ってきた。
「宝石には興味がありません。ローザリンはどうしたのですか?」
「こんなに美しいのに変わった娘だな。ルクラシアの話も一部は本当だったか
」
「私は離婚なんてしないわ。貴方はこの娘に騙されているのよ!確かにリアンナにそっくりだけど、髪の色が違う。この娘は偽物よ!」
「黙れ!この女狐め」
バシ!!
ルクラシアはアシリー公爵に頬を叩かれ倒れ込んだ。
「お義母様!」
「お前さえ、お前さえいなければ何もかも上手くいったのよ。どうして今更帰ってきたの!もっと早く殺していれば!」
ルクラシアはミライザの事を眉間に皺を寄せて睨んできた。
「やめろ!ルクラシア。最後だからと同席させてやったのだ。静かにしろ。さあ、出してもらおうか。ブルーティアーズとやらを」
「先にローザリンに合わせてください。ブルーティアーズはそれからお見せします」
「はははっは。私と取引をしようするとは!ブルーティアーズが先だ」
「ブルーティアーズなんて物は存在しないわ。私は、マージヤス侯爵家の隅から隅まで確認したの。そんな物見たことも聞いた事もないわ!この嘘吐き娘」
ルクラシアは、ヨロヨロと立ち上がったと思うと、ミライザに向かって走り込んできた。
ルクラシアの眼は釣り上がり、眉間に皺を寄せ、口元は歪んでいる。動物のように、ミライザに襲いかかるルクラシアのマニュキアが塗られた長い爪は鋭い刃物のようだった。
ミライザはルクラシアの変化に驚く。ルクラシアから直接体罰を受けた事はない。ルクラシアは、会う度にミライザに嫌味を言ってきたが、いつもルクラシアには余裕があり、彼女は意地悪く笑っていた。
(なんだ。醜いのは、私じゃ無い。彼女の方だわ。)
ミライザは、冷静に体を逸らし、襲いかかってきたルクラシアの左腕を掴んだ。すぐに右手も掴み、脚を払う。
ルクラシアは、無様に倒れ尻餅をついた。
「どうして!私の方が妻に相応しい。私の方が美しいのに!お前如きが何故!」
「何を言っているの?お義母様?今のお義母様を見て美しいと感じる人などいないわ。貴方は醜い。私は絶対に貴方を許せない。父を利用するだけ利用して、捨てた貴方の事を!」
「私は悪く無い!ギーザックが悪いのよ。私を裏切るから・・・・・・。私だって辛いのに」
義母ルクラシアは、その場に蹲り体を震わせた。
(父が裏切るって何の事?後悔すらしないなんて本当に自分勝手な人だわ)
ミライザとルクラシアの会話を聞いていたアシリー公爵は薄ら笑いを浮かべながら言った。
「元親子の会話は終わったかな。そろそろ本題に入ろうか」
「昨日伝えた通りです。ローザリンと合わせてください。ブルーティアーズは、ローザリンの無事を確認できてからお渡しします。」
「ああ、困るよ。ミライザ。もちろんローザリンは無事だ。だが、ここには連れて来れなくてね。先にブルーティアーズを渡してくれ。それとも焦らしているのか?君の美しさは素晴らしい。ブルーティアーズが本物の『人魚の涙』で無くても君を妻に迎えてやってもいい。私は美しい女を鳴かせるのが好きなんだ。」
「私は貴方の妻になりません。貴方みたいな屑。絶対にゴメンだわ!」
「ハハハ。若い女侯爵は礼儀を知らないらしい。マージャス侯爵家など私の力でどうにでもなる。君は私にブルーティアーズと君自身を捧げるしかないのだ!」
その時、いきなり応接室のドアが開いた。
「聞き捨てならないな。アシリー公爵!ミライザは僕の婚約者だ」
ドアから入ってきたのは、帝国皇族の正装に身を包んだグランだった。金髪のグランが前に進む度に部屋が明るくなるような錯覚に陥る。
ミライザは、舞踏会の直後グランに伝令を送っていた。アシリー公爵との交渉が決裂するかもしれない。最も信頼できる人に伝えておきたかった。だけど、こんなに早く来てくれるとは思っていなかった。それに・・・・・・
「ミライザ!大丈夫だった。心配したよ」
グランはミライザに駆け寄って来て、アシリー公爵から庇うように、ミライザの前に立った。グランは腰の剣に手を当てている。
「まさか帝国のグラウディス・ランバート殿下ですか?何故ここに?」
「僕の婚約者から、不穏な知らせを受けてね。慌てて駆けつけたのさ。間に合って良かったよ」
ミライザは、グランに寄り添い、小声で話しかけた。
「グラン?婚約者ってどういう事?確かに来てくれて助かったけど」
「殿下。そのような冗談を誰が信じるとでも?その娘も狼狽えていますぞ」
「冗談じゃないよ。陛下も正式に認めて下さった。」
グランは、ミライザの手を取り、金の指輪を愛おしそうに撫でた。
「まさか!それは、グラディアス帝国の金の指輪!皇子の婚約者のみに贈られる」
アシリー公爵は、呆然とミライザの指輪を凝視してくる。
「アシリー公爵。今回の件は帝国からも正式に抗議させて貰う。僕の婚約者への暴言と恐喝。それに帝国貴族や商人からアシリー公爵と取引後、貴重な宝石がイミテーションにすり替わっているとの被害届が複数出されていた。屋敷を改めさせて貰う。国王は、もう君を庇うつもりは無いみたいだ」
「バカな!」
いつも間にか屋敷が騒がしい。グランと共に憲兵が屋敷を訪れていたみたいだ。
アシリー公爵は、応接室へ入って来た憲兵に捕えられ、頭を項垂れて連れて行かれた。
「グラン?冗談よね。婚約だなんて」
「ミライザ、この前あった時、気持ちを確かめ合っただろ。指輪の交換は、帝国では婚約の意味がある。僕は君が応じてくれたから、とても嬉しかった。」
「グラン。私、貴方の事を愛しているわ。でも婚約の意味があるなんて知らなくて」
「いいよ。ミライザ。これから、一緒に過ごす時間が増えるから、沢山話し合おう」
「う?うん」
「殿下!盗難された宝石を見つけました。ご確認をお願いします!」
「分かった。後でね。ミライザ」
グランは、憲兵と共にその場を離れていった。
ミライザは、尻餅をついたまま、呆然としているルクラシアに近づいた。
「ローザリンはどこなの?」
「美しいローザリンは、今度こそ素晴らしい夫を見つけるのよ。その為に、離れで最高級の教育を・・・・・・私はローザリンの為に。公爵令嬢になれば・・・・・・。なのに、逮捕だなんて!どうして、私ばかりうまくいかないのよ。可笑しいわ。可笑しい」
ルクラシアは、一気に老け込んでいた。
目元には深い皺が目立ち、首は細く複数の横線が老いを感じさせる。離婚を告げられ、いつもの厚化粧と派手な装飾品で誤魔化す余裕が無かったのかもしれない。
「可笑しいのは貴方よ。」
ミライザは、ルクラシアを置いて離れに向かった。
公爵邸の使用人に離れの場所を確かめて、ミライザは屋敷の外に出た。
離れには鍵がいつも掛けられているらしい。鍵を渡す時の、使用人の暗い表情が気になった。
離れは、公爵邸から数分歩いた場所に設置されていた。茶色の煉瓦を積み上げて作られた離れは、薄汚れており、とても公爵令嬢が滞在する場所とは思えなかった。
鍵は4個設置されており、何故か外側から厳重に掛けられていた。
水色の髪の美しい妹ローザリン。
お父様が愛したマージャス侯爵家の娘。
彼女へブルーティアーズを返す。
そう決めてここまで来たのだ。
鍵を開け、ミライザは中に入った。最奥の部屋にローザリンはいた。
長い水色の髪は、所々白く変化し、艶が無くパサついている。
妹は衰弱していた。
痩せ細り、その姿は亡くなった父を彷彿させる。
ローザリンは、震えながら顔をあげ、ミライザを見て微笑み言った。
「おかえりなさい。おねえさま」
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