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終 返してください
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イリーナは、皇帝から認められ、ジン帝国の皇女の地位を与えられた。
イマージュ皇女は、リム商会へ嫌がらせをしていなかった。全て皇妃の独断でリム商会へ圧力をかけていた事が分かった。イマージュ皇女とは姉妹として再び仲良くなった。皇帝である父とは、育ての父ロイド・グロッサーの想い出を何度も語り合った。驚いた事に皇帝は、イリーナの事をよく知っていた。父ロイドが何度も手紙を送っていたらしい。イリーナが強請ると父ロイドの直筆の手紙を、皇帝は全てイリーナに渡してくれた。
皇妃は病気を患ったと発表され、郊外の離宮へ連れていかれ、事実上の幽閉措置となった。時期を見て皇帝との離婚が正式に発表されるらしい。
リム商会の資産のほとんどをグロッサー貿易会社の買収に当てたため、二つの会社は合併吸収してリグロッサー会社として再出発した。今はメロナが新しい社長となり、商売繁盛と声を上げながら経営している。
グロッサー男爵家は、継承者不在の為爵位を返還する事になった。母や妹はリグロッサー会社で働き、生計を立てている。グロッサー男爵家の貴金属や土地、屋敷を売り払い、母と妹の治療費を払い、残っていた借金を返済すると殆ど何も残らなかった。
絶望し、返してくださいと心に決めた日から、何もかもが変わってしまった。
皇女という地位も、オージンとの未来もあの時は想像していなかった。
復讐を誓い、取り返そうと行動した事を後悔していない。
あの時、必死に足掻いた行動が、今の私に繋がっている。
イリーナは、今愛する人と一緒に暮らしている。
広大な土地に、美しい建物。居心地がいいマクラビアン公爵家で、イリーナはテラスのカウチに座り、風景を眺めていた。
そこに、最愛の夫であるオージンが来て声をかけてきた。
「イリーナ。そろそろ中へ入ろう。大事な体だから。」
イリーナは、夫の言葉に頷き、自分のお腹を愛おしそうに撫でた。
イリーナには確信があった。
このお腹の子はきっと男の子だ。大好きだった父ロイドの生まれ変わりだと感じている。
結局、グロッサー男爵家は潰れ、父から貰った装飾品を失い、グロッサー貿易会社も合併吸収された。あの時イリーナが望んだ物は気がつけば全て消えていた。だけど、新しく得た大事な命がここにある。
「ありがとう。返してくれて。」
サラサラと、心地よい風が、イリーナを包みこむように吹き去っていった。
風の音と共に、亡くなった父、ロイド・グロッサーの満足そうな笑い声が聞こえた気がした。
END
イマージュ皇女は、リム商会へ嫌がらせをしていなかった。全て皇妃の独断でリム商会へ圧力をかけていた事が分かった。イマージュ皇女とは姉妹として再び仲良くなった。皇帝である父とは、育ての父ロイド・グロッサーの想い出を何度も語り合った。驚いた事に皇帝は、イリーナの事をよく知っていた。父ロイドが何度も手紙を送っていたらしい。イリーナが強請ると父ロイドの直筆の手紙を、皇帝は全てイリーナに渡してくれた。
皇妃は病気を患ったと発表され、郊外の離宮へ連れていかれ、事実上の幽閉措置となった。時期を見て皇帝との離婚が正式に発表されるらしい。
リム商会の資産のほとんどをグロッサー貿易会社の買収に当てたため、二つの会社は合併吸収してリグロッサー会社として再出発した。今はメロナが新しい社長となり、商売繁盛と声を上げながら経営している。
グロッサー男爵家は、継承者不在の為爵位を返還する事になった。母や妹はリグロッサー会社で働き、生計を立てている。グロッサー男爵家の貴金属や土地、屋敷を売り払い、母と妹の治療費を払い、残っていた借金を返済すると殆ど何も残らなかった。
絶望し、返してくださいと心に決めた日から、何もかもが変わってしまった。
皇女という地位も、オージンとの未来もあの時は想像していなかった。
復讐を誓い、取り返そうと行動した事を後悔していない。
あの時、必死に足掻いた行動が、今の私に繋がっている。
イリーナは、今愛する人と一緒に暮らしている。
広大な土地に、美しい建物。居心地がいいマクラビアン公爵家で、イリーナはテラスのカウチに座り、風景を眺めていた。
そこに、最愛の夫であるオージンが来て声をかけてきた。
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イリーナは、夫の言葉に頷き、自分のお腹を愛おしそうに撫でた。
イリーナには確信があった。
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結局、グロッサー男爵家は潰れ、父から貰った装飾品を失い、グロッサー貿易会社も合併吸収された。あの時イリーナが望んだ物は気がつけば全て消えていた。だけど、新しく得た大事な命がここにある。
「ありがとう。返してくれて。」
サラサラと、心地よい風が、イリーナを包みこむように吹き去っていった。
風の音と共に、亡くなった父、ロイド・グロッサーの満足そうな笑い声が聞こえた気がした。
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