19 / 23
ストーカーではありません!
ヘンジシタ!
しおりを挟む
今日もガイア公爵邸の外は騒がしい。
2階の自室からそっとカーテンを開けて、門を見た。
屋敷の外を取り囲んでいる近衛兵は30人を超えている。
国王からの使者だと名乗りを上げている男性は身なりがよく貴族のように見える。
使者がこちらを見たような気がして、私は、慌ててカーテンを閉めた。
今日は登城しないザックバード公爵と私は中庭を歩いていた。
青い空、白い雲、深緑の木が太陽の光を浴びて輝いている。
ザックバード公爵は私の手を取り、エスコートしてくれる。
毎朝、メイド長が私にドレスを着せて、髪を結い上げる。
私の髪にはザックバード公爵から貰った銀のリボンが編み込まれている。
銀のリボンはザックバード公爵の髪と同じように光り輝いている。その銀のリボンを見るたびに大事な宝物が返ってきたような懐かしい気持ちになる。
宝物の銀のリボン。そんなリボンなんて私が持っている筈がないのに、最近ふと何かが頭をよぎる。
私の両耳には銀のイヤリング、胸には銀のネックレスをつける。ザックバード公爵から送られたそれらの装飾品は美しく、暗闇でも煌めく程輝いている。
中庭の中央には、色とりどりの花が植えられていた。
「ソフィア。一生大事にする。俺と結婚して欲しい。」
ザックバード公爵は私に跪き銀の指輪を差し出してきた。
輝くその指輪は、太陽の光を浴びて強く輝いていた。
「でも、私は平民で、公爵様の妻になんて相応しくありません。」
「俺は、君が好きなんだ。国王から結婚相手は俺の好きな相手を選んでいいと言われている。結婚したらソフィアは公爵夫人だよ。もう誰にも怯える必要はない。」
朝見た、公爵家の外の光景を思い出す。どんどん増えていく王城からの使者や兵士達。公爵家の使用人達でさえ、外出できないほど、周囲を囲まれていた。私が公爵邸に匿われてから、公爵邸の皆にはかなりの迷惑をかけてきた。このままではいけない事は分かっている。だけど、逃げ道もなく、どうする事もできない。
公爵夫人だなんて、無理な事は分かっている。だけど、そうする事でこの状況が解決するのなら、、、
「はい。よろしくお願いします。」
そう伝えると、ザックバード公爵は私を抱きしめ喜んだ。
「ありがとうソフィア。嬉しいよ。もう2度と離さない。絶対守るから。」
(ちょっと変わっているけど、こんなに私の事を好きだって言ってくれる。王妃に殺されそうになった時も、今もずっと助けてくれている。私が公爵夫人だなんて信じられないけど、これでいいんだよね。)
私は、世界で一番安心できるザックバード公爵の胸の中で、うっとりと瞳を閉じた。
2階の自室からそっとカーテンを開けて、門を見た。
屋敷の外を取り囲んでいる近衛兵は30人を超えている。
国王からの使者だと名乗りを上げている男性は身なりがよく貴族のように見える。
使者がこちらを見たような気がして、私は、慌ててカーテンを閉めた。
今日は登城しないザックバード公爵と私は中庭を歩いていた。
青い空、白い雲、深緑の木が太陽の光を浴びて輝いている。
ザックバード公爵は私の手を取り、エスコートしてくれる。
毎朝、メイド長が私にドレスを着せて、髪を結い上げる。
私の髪にはザックバード公爵から貰った銀のリボンが編み込まれている。
銀のリボンはザックバード公爵の髪と同じように光り輝いている。その銀のリボンを見るたびに大事な宝物が返ってきたような懐かしい気持ちになる。
宝物の銀のリボン。そんなリボンなんて私が持っている筈がないのに、最近ふと何かが頭をよぎる。
私の両耳には銀のイヤリング、胸には銀のネックレスをつける。ザックバード公爵から送られたそれらの装飾品は美しく、暗闇でも煌めく程輝いている。
中庭の中央には、色とりどりの花が植えられていた。
「ソフィア。一生大事にする。俺と結婚して欲しい。」
ザックバード公爵は私に跪き銀の指輪を差し出してきた。
輝くその指輪は、太陽の光を浴びて強く輝いていた。
「でも、私は平民で、公爵様の妻になんて相応しくありません。」
「俺は、君が好きなんだ。国王から結婚相手は俺の好きな相手を選んでいいと言われている。結婚したらソフィアは公爵夫人だよ。もう誰にも怯える必要はない。」
朝見た、公爵家の外の光景を思い出す。どんどん増えていく王城からの使者や兵士達。公爵家の使用人達でさえ、外出できないほど、周囲を囲まれていた。私が公爵邸に匿われてから、公爵邸の皆にはかなりの迷惑をかけてきた。このままではいけない事は分かっている。だけど、逃げ道もなく、どうする事もできない。
公爵夫人だなんて、無理な事は分かっている。だけど、そうする事でこの状況が解決するのなら、、、
「はい。よろしくお願いします。」
そう伝えると、ザックバード公爵は私を抱きしめ喜んだ。
「ありがとうソフィア。嬉しいよ。もう2度と離さない。絶対守るから。」
(ちょっと変わっているけど、こんなに私の事を好きだって言ってくれる。王妃に殺されそうになった時も、今もずっと助けてくれている。私が公爵夫人だなんて信じられないけど、これでいいんだよね。)
私は、世界で一番安心できるザックバード公爵の胸の中で、うっとりと瞳を閉じた。
10
お気に入りに追加
769
あなたにおすすめの小説

美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛
らがまふぃん
恋愛
こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。※R6.5/18お気に入り登録300超に感謝!一話書いてみましたので是非是非!
*らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。 ※R7.2/22お気に入り登録500を超えておりましたことに感謝を込めて、一話お届けいたします。本当にありがとうございます。
【完結】365日後の花言葉
Ringo
恋愛
許せなかった。
幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。
あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。
“ごめんなさい”
言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの?
※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。

【本編完結】記憶をなくしたあなたへ
ブラウン
恋愛
記憶をなくしたあなたへ。
私は誓約書通り、あなたとは会うことはありません。
あなたも誓約書通り私たちを探さないでください。
私には愛し合った記憶があるが、あなたにはないという事実。
もう一度信じることができるのか、愛せるのか。
2人の愛を紡いでいく。
本編は6話完結です。
それ以降は番外編で、カイルやその他の子供たちの状況などを投稿していきます

王弟殿下の番様は溺れるほどの愛をそそがれ幸せに…
ましろ
恋愛
見つけた!愛しい私の番。ようやく手に入れることができた私の宝玉。これからは私のすべてで愛し、護り、共に生きよう。
王弟であるコンラート公爵が番を見つけた。
それは片田舎の貴族とは名ばかりの貧乏男爵の娘だった。物語のような幸運を得た少女に人々は賞賛に沸き立っていた。
貧しかった少女は番に愛されそして……え?

嘘をありがとう
七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」
おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。
「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」
妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。
「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」

悪役令嬢は皇帝の溺愛を受けて宮入りする~夜も放さないなんて言わないで~
sweetheart
恋愛
公爵令嬢のリラ・スフィンクスは、婚約者である第一王子セトから婚約破棄を言い渡される。
ショックを受けたリラだったが、彼女はある夜会に出席した際、皇帝陛下である、に見初められてしまう。
そのまま後宮へと入ることになったリラは、皇帝の寵愛を受けるようになるが……。

バイバイ、旦那様。【本編完結済】
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
妻シャノンが屋敷を出て行ったお話。
この作品はフィクションです。
作者独自の世界観です。ご了承ください。
7/31 お話の至らぬところを少し訂正させていただきました。
申し訳ありません。大筋に変更はありません。
8/1 追加話を公開させていただきます。
リクエストしてくださった皆様、ありがとうございます。
調子に乗って書いてしまいました。
この後もちょこちょこ追加話を公開予定です。
甘いです(個人比)。嫌いな方はお避け下さい。
※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。

女騎士と文官男子は婚約して10年の月日が流れた
宮野 楓
恋愛
幼馴染のエリック・リウェンとの婚約が家同士に整えられて早10年。 リサは25の誕生日である日に誕生日プレゼントも届かず、婚約に終わりを告げる事決める。 だがエリックはリサの事を……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる