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ストーカーではありません!
タスカッタ!
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王妃が短剣を振り下ろそうとした瞬間
ドーーーーン
と大きな音が鳴り響き、離宮の壁が壊された。
大穴が開いた壁から入ってきたのは、ザックバード公爵だった。
煌めく銀髪、茜色の瞳。魔法を使った為か周囲にバチバチと火花が散っている。
呆気にとられ、王妃は動きを止めて呆然とザックバードを見ている。
王妃が口を開いた。
「なんて、美しいの。ザックバード。やっと会いに来てくれたのね。」
王妃はザックバードを見て、歓喜の声を出す。
私は、あまりの恐怖に震えが止まらなかった。
(狂乱王妃に変態公爵。もうダメだわ。)
王妃と私がいる方向を向いてザックバードは微笑んで言った。
「会いたかったよ。」
王妃が返事をする。
「私もよ。ザックバード。」
短剣を落として、王妃はザックバードの元へ駆け足で向かって行った。
「未来について話し合いましょう。ザックバード。」
王妃がザックバードに近づいた時、王妃が急に何かに押しつぶされたように地に伏せた。
「ブベシ!」
何か変な鳴き声が聞こえた気がする。
「本当に気持ち悪い。死ねばいいのに。」
(公爵は王妃の味方じゃない?私は助かったの?)
私は先ほど感じた死の恐怖に震え、蹲った。
もし、公爵も私を殺そうとしたら?
王族が王妃を害したと、私を追ってきたら?
(小さく丸まっていれば、気づかずに去ってくれないかな?)
トコ、トコ、トコ、トコ、トコ
近付いてくる足音がする。
「探したよソフィア。間に合ってよかった。」
声をかけられ見上げると、銀髪の美青年が私に微笑みかけている。ザックバード公爵の周囲は空気が煌めき、微笑む茜色の瞳は、安心できる温かさがある。
(ああ、すっごい美形。)
「大丈夫だよ。俺がソフィアを守ってあげるよ。絶対に。」
そういい、ザックバード公爵は私を抱きしめてきた。
地に伏せた王妃のうめき声が聞こえる。
それに気がついたザックバード公爵は言った。
「王妃は執着が強い。俺の母も逃げるのに苦労したらしい。王城にいるとまたソフィアは狙われるだろうね。今回は俺がソフィアにかけていた防御魔法で防げたけど、次は魔術師や暗殺者を送ってくるかもしれないよ。」
私は、反論する。
「人違いです。王妃様はソニアとか叫んでいました。私じゃありません。」
ザックバード公爵は言う。
「ああ、分かっているよ。でも、王妃は思い込みが激しいからね。」
私は言う。
「そんな。人違いで殺されるなんてあんまりです。」
ザックバードは言う。
「俺なら王妃から守ってあげれるよ。国王でさえガイア公爵家には手が出せない。どうするソフィア。一緒に公爵家に帰ろう。」
私は迷う。絶世の美形の変態公爵と、私を殺そうとする狂乱王妃どちらがいいか。
「あの、国外に私だけ逃がしてくれたり、、、、」
ザックバード公爵は私を見つめて言った。
「ソフィア。好きなんだ。君の事が気になって仕方がない。どうか俺の側にいてくれ。絶対に守るから。」
さっき王妃に短剣を何度も振り下ろされ、腰が抜けたみたいだ。まだ体は震えている。一人で立ち上がれそうにない。真剣な表情のザックバード公爵をみて私は決心した。少しくらい変態でもいいじゃないか。命の危険がある王城で死のスリルを味わうより、公爵家で絶品料理を食べて過ごしたい。この際公爵の変態行為は気にしないようにしよう。死ぬわけじゃないし。
私は、頷き告げた。
「わかりました。公爵家に連れて行って下さい。」
私の言葉を聞きザックバード公爵は、うっそりと妖艶な笑みを浮かべた。
背中がゾクゾクする。胸がドキドキと音を立てる。なぜか逃げたくて仕方がない。決心が鈍る。
「あ、やっぱり、、、王城の使用人部屋へ、、、、」
「ははは、ソフィアは冗談が上手いね。さあ、一緒に帰ろう。もう離さないよ。」
私を抱き上げたザックバードは地に伏せる王妃には目もくれず、離宮の外へサッサと足を進めた。
ザックバードに抱き上げられたまま見た肖像画の金髪の女性は、満足そうに微笑んでいるように見えた。
ドーーーーン
と大きな音が鳴り響き、離宮の壁が壊された。
大穴が開いた壁から入ってきたのは、ザックバード公爵だった。
煌めく銀髪、茜色の瞳。魔法を使った為か周囲にバチバチと火花が散っている。
呆気にとられ、王妃は動きを止めて呆然とザックバードを見ている。
王妃が口を開いた。
「なんて、美しいの。ザックバード。やっと会いに来てくれたのね。」
王妃はザックバードを見て、歓喜の声を出す。
私は、あまりの恐怖に震えが止まらなかった。
(狂乱王妃に変態公爵。もうダメだわ。)
王妃と私がいる方向を向いてザックバードは微笑んで言った。
「会いたかったよ。」
王妃が返事をする。
「私もよ。ザックバード。」
短剣を落として、王妃はザックバードの元へ駆け足で向かって行った。
「未来について話し合いましょう。ザックバード。」
王妃がザックバードに近づいた時、王妃が急に何かに押しつぶされたように地に伏せた。
「ブベシ!」
何か変な鳴き声が聞こえた気がする。
「本当に気持ち悪い。死ねばいいのに。」
(公爵は王妃の味方じゃない?私は助かったの?)
私は先ほど感じた死の恐怖に震え、蹲った。
もし、公爵も私を殺そうとしたら?
王族が王妃を害したと、私を追ってきたら?
(小さく丸まっていれば、気づかずに去ってくれないかな?)
トコ、トコ、トコ、トコ、トコ
近付いてくる足音がする。
「探したよソフィア。間に合ってよかった。」
声をかけられ見上げると、銀髪の美青年が私に微笑みかけている。ザックバード公爵の周囲は空気が煌めき、微笑む茜色の瞳は、安心できる温かさがある。
(ああ、すっごい美形。)
「大丈夫だよ。俺がソフィアを守ってあげるよ。絶対に。」
そういい、ザックバード公爵は私を抱きしめてきた。
地に伏せた王妃のうめき声が聞こえる。
それに気がついたザックバード公爵は言った。
「王妃は執着が強い。俺の母も逃げるのに苦労したらしい。王城にいるとまたソフィアは狙われるだろうね。今回は俺がソフィアにかけていた防御魔法で防げたけど、次は魔術師や暗殺者を送ってくるかもしれないよ。」
私は、反論する。
「人違いです。王妃様はソニアとか叫んでいました。私じゃありません。」
ザックバード公爵は言う。
「ああ、分かっているよ。でも、王妃は思い込みが激しいからね。」
私は言う。
「そんな。人違いで殺されるなんてあんまりです。」
ザックバードは言う。
「俺なら王妃から守ってあげれるよ。国王でさえガイア公爵家には手が出せない。どうするソフィア。一緒に公爵家に帰ろう。」
私は迷う。絶世の美形の変態公爵と、私を殺そうとする狂乱王妃どちらがいいか。
「あの、国外に私だけ逃がしてくれたり、、、、」
ザックバード公爵は私を見つめて言った。
「ソフィア。好きなんだ。君の事が気になって仕方がない。どうか俺の側にいてくれ。絶対に守るから。」
さっき王妃に短剣を何度も振り下ろされ、腰が抜けたみたいだ。まだ体は震えている。一人で立ち上がれそうにない。真剣な表情のザックバード公爵をみて私は決心した。少しくらい変態でもいいじゃないか。命の危険がある王城で死のスリルを味わうより、公爵家で絶品料理を食べて過ごしたい。この際公爵の変態行為は気にしないようにしよう。死ぬわけじゃないし。
私は、頷き告げた。
「わかりました。公爵家に連れて行って下さい。」
私の言葉を聞きザックバード公爵は、うっそりと妖艶な笑みを浮かべた。
背中がゾクゾクする。胸がドキドキと音を立てる。なぜか逃げたくて仕方がない。決心が鈍る。
「あ、やっぱり、、、王城の使用人部屋へ、、、、」
「ははは、ソフィアは冗談が上手いね。さあ、一緒に帰ろう。もう離さないよ。」
私を抱き上げたザックバードは地に伏せる王妃には目もくれず、離宮の外へサッサと足を進めた。
ザックバードに抱き上げられたまま見た肖像画の金髪の女性は、満足そうに微笑んでいるように見えた。
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