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港町での再会
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ジークは、側近のグロウに帝国を任せて、港町を訪れた。
夕方でも、町は活気に満ちている。
エリーゼと言う名の娘に聞いたクロエらしき人物の勤め先を訪れる。
ジークは、働いている女性に声をかけた。
「ここに、ルルーと言う娘が働いていると聞いたのだが、、、」
長い茶髪を後ろで纏めあげた、中年の女性は言った。
「あら、いい男だね。もしかしてルルーの旦那かい?息子のザックと眼の色がそっくりだよ。あんな、いい女を捨てるなんて、信じられないよ。ルルーはもう帰ったよ。今頃丘の上で休憩しているはずさ。」
ジークは、礼を言った。
「ああ、ありがとう。捨てたのは俺じゃないけどね。」
女性は活発に笑い言う。
「ハハハハ、さすがルルーだよ。それにしても、よっぽどの事をしたんだろ。親兄弟を殺されでもしないと、私ならアンタみたいないい男捨てないけどね。」
後ろで話を聞いていた別の女性も言う。
「本当だよ。かなりいい体をしているじゃないか。うちの旦那と交換して欲しいくらいだよ。」
「ルルーもやるわね。仕事もできるし、色男に追いかけられるし、本当に大した者だよ。」
「これだけの男がいるなら、ルルーがこの町の男連中に見向きもしないはずだね。」
「「ハハハハハ」」
ジークは、その場を後にした。
親兄弟を殺された。そう、もしクロエが、ルルージュア王子なら、ガージニア王国の王子や王を根絶やしにしたジークは、クロエの親兄弟の敵になる。
だからなのか、、、
だから、ジークを置いてクロエは去っていったのか。
ジークにとって、暗殺された父と兄はかけがえのない存在だった。ジークなら父や兄を殺した相手を愛する事ができるのだろうか?いやできるはずがない。
諦めた方が良い事は分かっている。
側近にも、帝国の貴族達にも、兵士達にも何度も諫められた。
だが、それでも、、、、
ジークは、女達が指さした丘へ向かった。
丘の上には、長い金髪を風に吹かれながら佇む女性がいた。
右手で、1歳くらいの男の子の手を握り、丘から遠くを見つめている。
ジークは確信した。
髪の色は違うが、クロエだ。
ジークがずっと探していたクロエ。
子供が振り向き、ジークと眼が合う。
その子は金髪で赤い瞳をしていた。
ジークと同じ赤い瞳を、、、
「クロエ。」
ジークは、クロエへ呼びかけた。
クロエと呼ばれた女性は振り返り、ジークと眼が合った。
「ずっと探していた。クロエ。君が誰でもいい。お願いだから側にいてくれ。愛している。」
その言葉を聞いた女性の目から涙が一筋零れ落ちた。
夕方でも、町は活気に満ちている。
エリーゼと言う名の娘に聞いたクロエらしき人物の勤め先を訪れる。
ジークは、働いている女性に声をかけた。
「ここに、ルルーと言う娘が働いていると聞いたのだが、、、」
長い茶髪を後ろで纏めあげた、中年の女性は言った。
「あら、いい男だね。もしかしてルルーの旦那かい?息子のザックと眼の色がそっくりだよ。あんな、いい女を捨てるなんて、信じられないよ。ルルーはもう帰ったよ。今頃丘の上で休憩しているはずさ。」
ジークは、礼を言った。
「ああ、ありがとう。捨てたのは俺じゃないけどね。」
女性は活発に笑い言う。
「ハハハハ、さすがルルーだよ。それにしても、よっぽどの事をしたんだろ。親兄弟を殺されでもしないと、私ならアンタみたいないい男捨てないけどね。」
後ろで話を聞いていた別の女性も言う。
「本当だよ。かなりいい体をしているじゃないか。うちの旦那と交換して欲しいくらいだよ。」
「ルルーもやるわね。仕事もできるし、色男に追いかけられるし、本当に大した者だよ。」
「これだけの男がいるなら、ルルーがこの町の男連中に見向きもしないはずだね。」
「「ハハハハハ」」
ジークは、その場を後にした。
親兄弟を殺された。そう、もしクロエが、ルルージュア王子なら、ガージニア王国の王子や王を根絶やしにしたジークは、クロエの親兄弟の敵になる。
だからなのか、、、
だから、ジークを置いてクロエは去っていったのか。
ジークにとって、暗殺された父と兄はかけがえのない存在だった。ジークなら父や兄を殺した相手を愛する事ができるのだろうか?いやできるはずがない。
諦めた方が良い事は分かっている。
側近にも、帝国の貴族達にも、兵士達にも何度も諫められた。
だが、それでも、、、、
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丘の上には、長い金髪を風に吹かれながら佇む女性がいた。
右手で、1歳くらいの男の子の手を握り、丘から遠くを見つめている。
ジークは確信した。
髪の色は違うが、クロエだ。
ジークがずっと探していたクロエ。
子供が振り向き、ジークと眼が合う。
その子は金髪で赤い瞳をしていた。
ジークと同じ赤い瞳を、、、
「クロエ。」
ジークは、クロエへ呼びかけた。
クロエと呼ばれた女性は振り返り、ジークと眼が合った。
「ずっと探していた。クロエ。君が誰でもいい。お願いだから側にいてくれ。愛している。」
その言葉を聞いた女性の目から涙が一筋零れ落ちた。
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あらすじ
王子と婚約関係にある侯爵令嬢のメリベルは、訳あってずっと秘密の婚約者のままにされていた。学園へ入学してすぐ、メリベルの魔廻が(魔術を使う為の魔素を貯めておく器官)が限界を向かえようとしている事に気が付いた大魔術師は、魔廻を小さくする事を提案する。その方法は、魔素が好むという悲しい記憶を失くしていくものだった。悲しい記憶を引っ張り出しては消していくという日々を過ごすうち、徐々に王子との記憶を失くしていくメリベル。そんな中、魔廻を奪う謎の者達に大魔術師とメリベルが襲われてしまう。
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