〇〇家族

ヤマゴロウ

文字の大きさ
上 下
12 / 16
第1章

第11話 異変家族

しおりを挟む
七海は夕飯をさっと終わらせると

「お母様。お風呂はあとで入りますので、みんなで入ってください。」

いつもの七海に見えるが、さっきの泣き顔を見た後では

無理な笑顔にしか見えなかった。

何よりも違和感があるのは服を着ている事……

俺が見たいわけじゃない。

今だって母さんや恵美、千聖さんも全裸だ。

七海だけが服を着ていた。

身体検査で何かあったのか?

何かってなんだよっ! それが分からない。

とにかく理由がわからなければ対処のしようがない。

今日は、恐らく七海から話は聞けそうにないだろう。

明日、七海と話をしよう。

その後、俺は浴槽修行からなんとか生還

お姉ちゃんの追撃を振り切り

1日を終えた。




いつも通り3人で登校するが

やはり七海は暗い顔をしていた。

「七海、大丈夫? 体調悪いの?」

恵美が心配そうに顔を覗き込む

「お姉様……。大丈夫です、元気ですよ!」

!?

七海のどこか元気のない顔を見て思い出す

俺はこの顔を知っている

父さんに心配させないように振る舞っていた

昔の俺だ。






4時間目が終わり昼休み

俺は、七海のクラスにやってきていた

ごく自然に廊下の壁に寄りかかり、教室の中をうかがう


雰囲気でわかる

ソウイウコトカ…………。





放課後になり恵美と一緒に七海を迎えにいく

「七海。帰るよ!」

「お、お兄様。………すみません。今日も、お友達と約束があって………。」

「そうか、わかった。じゃあ、先に帰っておくから早く帰ってこいよ。恵美帰ろうか。」

「うん。遅くならないようにね、七海!」

七海に別れを告げると

俺は校門近くまで歩き立ち止まる

「お兄ちゃん? どうしたの?」

「恵美は先に帰っててくれ」

「そっか、大事な用事?」

「ああ、大事な用事だから頼む!」

「うん。じゃあお兄ちゃん。先に帰るね。」

「ああ、悪いな恵美。」

「ううん。七海の事、お願い。」

「恵美……………ああ任せろ!!」

恵美は俺が何かしようとしてることに気づいてたんだな。

七海の異変にも気付いていたようだし

恵美は恵美なりに、しっかりお姉ちゃんしてたんだな。

俺は恵美を先に帰らせると、校門近くの物陰に隠れ七海を待った

しばらくすると女子生徒数名と七海が

校門から出て行くのを確認し、あとを追った




学校の裏手にある山の獣道を進んでいく

しばらく歩いていると、周りを木で囲まれた広い空間に出る

こんな場所まで用意してるあたり計画的だな。

などと思っていると急に怒号が響く

「この雌豚っ!!」

髪の毛を掴まれて引き倒される七海

「……………」

「また黙りかよ!何とか言えよ豚っ!!」

背中を踏みつけられる七海

「……うぐっ!!」

「男子に色目使って助けてもらえよ!その身体でっ!!」

「泥棒の妹の癖に生意気なんだよ!」

また蹴られる七海を見て、俺の脳内は黒く塗りつぶされる

「服を脱げ。」

「……………」

「早く脱げって言ってんだろがっ!!」

また蹴られる

「……………」

脱がない七海に業を煮やした女子が襲いかかる

服を脱がそうとする女子達に抵抗する七海

「はいはーい!そこまでだよ、お馬鹿さん達~♪」

なるべく相手にヤバい奴だと思われるような態度で止めに入る

「「「「「っ!?」」」」」

俺の登場に動きを止める女子生徒達

「バッチリ撮影しちゃいましたよ♪」

俺は手に持ったスマホをみせて笑う

「あ、あんた誰よ? 関係ないでしょっ!!」

リーダーっぽい奴が俺に食ってかかる

「関係あるよ?初めまして、七海のお兄ちゃんです!」

「なっ!?」

「俺の妹に手を出したんだ。タダでは済まさないよ?まずは妹に土下座で謝れ。」

「ふざけないでっ!!」

「それは反抗してるのか?じゃあ、お仕置き追加!下着姿で土下座してもらおうかな。」

「そんなことにするわけないでしょっ!」

「じゃあ、出るとこ出ようか? それと、お仕置き追加なブラジャーも外して土下座ね。」

「そんな……「また反抗?またお仕置k……」や、やります………」

リーダー以外の女子生徒は涙を流しながら膝をついていた

「服脱いでないけど、また反抗なのか?」

俺がそういうと全員が急いで服を脱ぎだす

下着姿になった女生徒達は動きを止める

「全部脱ぎたかったのか?じゃあ全裸で土下座しろ!」

俺がそう言うと、女生徒の1人が泣きながら土下座で

「ごめ…んなさい………許して…ぅ……ください………」

1人が謝りだすと次々と泣きながら土下座していく

残るはリーダーだけになった時

「お兄様!もう…いいです。許してあげてください。」

「七海がそう言うなら……。それより七海は大丈夫か?ごめんな遅くなって……。」

「お兄様が来てくれたから………七海は大丈夫です♪」

七海は笑顔だった。

ああ、やっぱり七海にはずっと笑顔でいてほしい。

あんな悲しい顔は2度とさせない………。

「さあ、七海。帰ろうか!」

「はい!お兄様♡」

俺と七海はその場を放置し帰路についた。

夜、七海が俺の布団に潜り込んで

滅茶苦茶甘えてきたが、それはまた別のお話の時に







次の日、俺はリーダーだった女性、洞院《とういん》 未尋《みひろ》を昼休みの屋上に呼び出していた。

「洞院さんっていうんだね。コレ分かる? 編集が結構大変だったんだよ~」

スマホを見せると動画を再生する

「それを……どうするんですか…………」

「どうもしないよ。これは忠告だ! 次に俺の妹が誰かに傷付けられたら、これを公表する!加害者が、お前以外の誰かだとしても………だ。言ってる意味わかるか?」

「私は……しない………」

「お前、頭悪いなぁ~。分かってないならもういい、今すぐ公表する。」

「待って!待って………下さい。」

「じゃあ全て話せ!」

「……はい。」

洞院は、ゆっくりと話し始めた。

結論から言うと、七海はただ可愛かった。

ゆえに男達からチヤホヤされていた

七海は浮かれたりはしていなかったのだが

それが余裕な態度に見えて反感を買った

そんな時、洞院達が七海の悪口を言っているところを

1人の先輩に見られた。

その場を離れようとしたが、先輩に呼び止められた。

何の話をしていたのか?とか、色々聞かれたけど黙っていたら

堀川の名前が出てきた。

そこからは、ずっと堀川の兄の話を聞かされた

「あいつの兄貴は堀川白っていうんだけど、むかし盗みを働いたことがあるんだよ。」

それを聞いた洞院達は、それをネタにして七海を連れ出した。

初めは殴る気はなかったけど、何も喋らない七海に激怒して殴ってしまった。

殴っても何も言わない七海を見て、殴る蹴るの暴行を繰り返した。

また殴ってやろうと思って呼び出したが失敗した。

「それで? その先輩は誰だ?」

俺はなんとなく予想はついていたが、あえて聞いてみる。



「六角雄二先輩です………。」



洞院が立ち去った後、しばらく屋上で気を沈めていた

「聞いてたんだろ?」

屋上の室外機の影から女が出てくる

「盗み聞きとは趣味が悪いな小川さん。」

「……もう話せないと思ってた。」

「お前と話す事なんてなにもない………。」

「ずっと……ずっと謝りたかった。」

「お前が、ただ楽になりたいだけだろ?」

「そう……かもしれないね。」

「悪いけど俺は、お前らを許す気はない。」

「もう……戻れないのかな。また、みんなで………」

「何がみんなだ………ふざけるなっ!!」

日奈子に近づき両手で首を絞める

(親友だと思ってた彼女だと思ってた…なのに!許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない!)

俺はなにも考えられなくなっていた

怒り、悲しみ、憎しみ、そんな黒い感情が心を支配していた。








「コワシタノハ、オマエラダロ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...