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鬼神と荒神
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Side:白澄
餓鬼の頃から耳に入って来たのは、双子の兄の声と波の音。とある離島に産まれた漁師の子で双子だった儂らは大層、疎まれて育った。
母親も離島にいたが、大人になって島を出た。だが、そのすぐ後に儂らを妊娠していたことがわかり島生まれの彼女は頼る術も気力もなく、なんとか儂らを産んで島に帰って来た。
が、母親はすぐに父親に儂らを押し付けると恨み節を吐いて消え、酒に溺れた父親は、あろうことか酔って海に落ちて死んだ。
そんな出自だが、儂らは肉体にだけは恵まれた。二人揃って上位アルファな上にみるみると身体はデカくなる。島を出た後は本土で夜の街に入り浸り、この世の悪いことを大体見て、大体やった気がする。常識なんて教えられず、道徳なんてクソ喰らえ。
悪童と恐れられ、悪人と泣かれ、悪鬼と叫ばれた頃には人の扱いから外れていた。それでも兄者と二人、もう真っ当な道なんて後にも先にもないから只管に悪の道に居座った。
スカウトは何度か来たが、兄者と二人の方がよっぽど上手く立ち回れるし暴れ甲斐がある。その内、目を付けて来たのは先代の弐条会の主人。
つまり、ボスの父親だ。
『…引き抜き? ふーん。なるほど、そういうことでしたネ』
繁華街の奥深く。儂らの根城は昔から変わるがこの場所は少し長い。とある店の奥深くに作られた重厚な扉の向こうにこの部屋はある。
儂らはアジトには寝泊まりしていない。
『お二人は長らく弐条会に籍を置いてはいますが、愛着は持っていないでしょう。先代の頃も名前だけは弐条会に預けて別行動。今の弐条会になってから活動を共にするのは、弐条が優秀なアルファでお二人を負かした逸材だったから。
…つまりは、ただの気まぐれ』
過激派の使者とやらは中々良いところを突いた。言っている内容は九割は合っている。
『我々の元に来て頂きたい。こちらの弐条様は海外に拠点を置いていて刺激的な仕事内容が様々。お二人を退屈させることはありません。
勿論、お二人の自由を奪うことも致しません。ただ…それなりに危険なお仕事はありますので承知していただければ、と』
先代に誘われて乗ったのは、この国で一番のヤクザに興味があったから。儂らが真っ当になれるとは思っていなかったが、遂に当主自らのお声がけかと当時は兄者と笑ったものだ。
だけど兄者は、すぐに飽きていた。儂も同じように何の刺激も楽しみもない生活に飽きていつも通りに戻っていく。そんな中、先代が急死して…その息子が会いに来た。
そいつはアルファの頂点だった。アルファ性で負けた儂らは大人しくボスに付き従う。それなりに楽しく、それなりに刺激的な毎日だった。
『お二人がただあの男に従うなんて、間違っています。義理も人情も不要なはず。
戦えば右に出る者などいない鬼神の兄、戦い方に人間性など皆無な荒神の弟、正に現代に産み落とされた最強の双子神。どうかそのお力を我が主人にお貸しください』
儂は黙って同じようにソファに座る兄者に委ねる。どうせ思ってることは一緒だ、問題ない。
きっと兄者は、この話を飲む。
『は。随分と買いますネ、こちとらもうアラフォー迎えるんですが?』
『全く問題ありません。だからこそです。その年齢でも全盛期と遜色ない動き、お見それします』
失礼ですが、とテーブルに置かれたのは小切手だ。金額は書いてない、言い値だろう。
『ふぅん。
その話、受けても良いですネ』
兄者の言葉を聞いて儂は静かに肩を鳴らす。やれやれ、と時計に目を移せばそれなりに時間を取られた。相変わらずこの兄は、鬼畜だ。
『ただ』
喜ぶ使者に対し、兄者はニコリと微笑んだ。
『残念だったネ。もう半年前くらいなら受けてたのに、我らにはもう予定があるから無理なんですよネ』
そっと兄者が自身の腕時計を外すと、中から一枚の紙が出てくる。それを開いてから眺める姿は鬼神だの双子神だの馬鹿馬鹿しく見えるような、ただのアラフォーの笑みだ。
紙にはカラフルなペンやシールで周りを彩られ、真ん中にはペンで文字が書かれている。
触れ合い券(膝貸します、抱き枕にもなります)
初めてだった。
普通、こんな巨体の人間に挟まれたら驚いて恐怖を感じるものだ。買い物に出た日の月見山の反応は正にそれ。アレは儂らに対して正しい反応だ。
だが、あの子どもは違う。
初めて出会った夜、ボスに抱かれていた子どもは少し珍しい紫の瞳を見開いたが、それ以降は特に変わった様子など見せず、脅かす儂らにむしろ近づいて来るような変な子どもだ。
そう。子ども、アレは儂らが初めて触れ合う子ども。愛情を受けて育ち良識ある善性に溢れた子だ。
ならば。ならば、だ。
そんな子どもがあんな風に無邪気に手を伸ばす先にいる儂らはなんだ。安心したように儂らの間に座ってみたり、自らの膝を明け渡して過ごす。
…まるで。まるで自分たちが信用されているようだ。あの非力なようで強い子どもを兄者は特に気に入っている。自分たちの群れの一部だと、もう思ってるのだ。
『可愛い末の弟と、来年一緒に映画に行く予定なんでネ。悪いけどこの話はお断り。
ああ。帰らなくて良いですからネ? どうせ帰るところなんて無くなるんですから、無駄足…ネ!』
テーブルを蹴り上げた兄者によって使者が顔面にそれを受けて気絶する。一応それなりに対応しようとしていたんだろう、胸ポケットに手を伸ばすまでは良かったけどまさかテーブルが飛んでくるとは思わなかったのか見事な間抜け面を晒している。
写真撮ろーっと。
『さーて。こんだけ時間稼ぎしたら奴さん、我らは味方に着いたと勘違いしてるかネ! 油断大敵。強襲上等。
こちとらパーティーにも招待されてんだからネ。さて、うわ…酷い通知。前線出るから、それどっか捨てといてネ~』
部下に使者を指差せば、速やかに引き摺って移動させられる。新調したコートに袖を通す兄者を追って自分もコートを掴めば、ふと振り返った兄者が笑う。
『…生きてると思う?』
『儂らの弟分だヨ。それ以上の言葉、要る?』
昔から儂は人の嘘を見抜くのが得意だった。でも、それを言葉にしたところで誰も信じちゃくれない。だからきちんと相手にその口で白状させるのが得意にもなった。
あのお人好しの弟分は、儂の言葉をすぐに信じる。それは愚かで、褒められたことではない。だけど…すぐに自分を信じて頼って来る可愛い弟分だ。
双子の好みなど似通るに決まってる。
『兄者こそ、良いのかヨ。月見山が裏切る上に過激派の方に傾いた…オメガの婚約者を逃した上に信用も落ちるヨ。負ける方に着くなんてさ…珍しいヨ?』
『ああ。別に…向こうを掃討すれば全員黙るよネ? それで問題ないネ』
…脳筋か。ま、楽で良いけど。
『終わったらアジトに部屋作らせるかネ』
『兄者が満足するような部屋、空いてないヨ』
『引っ越せば関係ないネ』
儂ら双子の考えは大体似ている。
やっと根を下ろす気になった臆病な兄の背中を追うように儂も歩き出す。このことを聞いたら、きっとボスや刃斬は衝撃を受けるだろう。
その顔は是非とも見てみたいから生きていてもらわなければ困る。
『…どうにかして宋平ちゃんをウチに引き込めないか策を立てようかネ』
『流石は兄者。誰も言わないからそろそろ儂が提案しようと思ったヨ』
どいつもこいつも、遠慮ばかり。気に入ったんならずっと囲えば良い。あの子だって儂らといる時は幸せそうにしているのだ、問題ない。
それをなんだ。あの子の未来だとか、将来だとか綺麗事ばかり。
冗談じゃない。あの子は、儂らと共に地獄へ共に堕ちると笑顔で言い放つような子だ。それを切り離すなんてそっちの方がどうかしてる。
何。少しは寂しがるかもしれないが、問題はない。代わりの兄貴分がこれだけいるのだからすぐに落ち着くだろう。
『お前。悪い顔してるネ』
『兄者こそ。鬼神ってか、普通に悪党面だヨ』
マフラーを巻いて灰色の空の下に出る。冬の大寒波を肩で切るように進み、通知にあった決戦の地らしき古城へと向かう。
『普通はこういうの、クリスマスなんじゃない? 前日に仕掛けるとか風情ないヨ』
『…はぁ。だからお前は愚弟なんだよネ。バカだわ、本当バカ。クリスマスイブ、なんだよネ?』
…あー。
ああ、そういう? いやちょっと待ってヨ。
『…たった一日の為に? だってボスはクリスマスに宋平くんを解雇する予定なんだヨ?
クリスマスイブに古城をあげるって? いやバカ。それは流石にボスがバカ』
あまりの馬鹿さ加減にゲラゲラと笑うが、兄者はそんな儂を小馬鹿にしたように首を振る。
『だからだネ』
ふと立ち止まった兄者は、空を睨んでポツリと溢した。
『…最初で最後だから、絶対に忘れられないようなものをあげたかったんだネ。
城があるなら、お姫様が一日しかいなくても不思議じゃないからネ。ホント、お前は風情がないネ全く』
この愚弟、と呟きながら歩き出す兄者。だけど儂は納得がいかなくて言い返すように自分の言い分を放つ。
『なんだヨ。だったらそこは普通俗世じゃ、王子様とやらはお姫様と城で幸せに暮らしました…だヨ。兄者こそ全然わかってないヨ!』
そんな納得のいかない物語、儂は御免だヨ!!
.
餓鬼の頃から耳に入って来たのは、双子の兄の声と波の音。とある離島に産まれた漁師の子で双子だった儂らは大層、疎まれて育った。
母親も離島にいたが、大人になって島を出た。だが、そのすぐ後に儂らを妊娠していたことがわかり島生まれの彼女は頼る術も気力もなく、なんとか儂らを産んで島に帰って来た。
が、母親はすぐに父親に儂らを押し付けると恨み節を吐いて消え、酒に溺れた父親は、あろうことか酔って海に落ちて死んだ。
そんな出自だが、儂らは肉体にだけは恵まれた。二人揃って上位アルファな上にみるみると身体はデカくなる。島を出た後は本土で夜の街に入り浸り、この世の悪いことを大体見て、大体やった気がする。常識なんて教えられず、道徳なんてクソ喰らえ。
悪童と恐れられ、悪人と泣かれ、悪鬼と叫ばれた頃には人の扱いから外れていた。それでも兄者と二人、もう真っ当な道なんて後にも先にもないから只管に悪の道に居座った。
スカウトは何度か来たが、兄者と二人の方がよっぽど上手く立ち回れるし暴れ甲斐がある。その内、目を付けて来たのは先代の弐条会の主人。
つまり、ボスの父親だ。
『…引き抜き? ふーん。なるほど、そういうことでしたネ』
繁華街の奥深く。儂らの根城は昔から変わるがこの場所は少し長い。とある店の奥深くに作られた重厚な扉の向こうにこの部屋はある。
儂らはアジトには寝泊まりしていない。
『お二人は長らく弐条会に籍を置いてはいますが、愛着は持っていないでしょう。先代の頃も名前だけは弐条会に預けて別行動。今の弐条会になってから活動を共にするのは、弐条が優秀なアルファでお二人を負かした逸材だったから。
…つまりは、ただの気まぐれ』
過激派の使者とやらは中々良いところを突いた。言っている内容は九割は合っている。
『我々の元に来て頂きたい。こちらの弐条様は海外に拠点を置いていて刺激的な仕事内容が様々。お二人を退屈させることはありません。
勿論、お二人の自由を奪うことも致しません。ただ…それなりに危険なお仕事はありますので承知していただければ、と』
先代に誘われて乗ったのは、この国で一番のヤクザに興味があったから。儂らが真っ当になれるとは思っていなかったが、遂に当主自らのお声がけかと当時は兄者と笑ったものだ。
だけど兄者は、すぐに飽きていた。儂も同じように何の刺激も楽しみもない生活に飽きていつも通りに戻っていく。そんな中、先代が急死して…その息子が会いに来た。
そいつはアルファの頂点だった。アルファ性で負けた儂らは大人しくボスに付き従う。それなりに楽しく、それなりに刺激的な毎日だった。
『お二人がただあの男に従うなんて、間違っています。義理も人情も不要なはず。
戦えば右に出る者などいない鬼神の兄、戦い方に人間性など皆無な荒神の弟、正に現代に産み落とされた最強の双子神。どうかそのお力を我が主人にお貸しください』
儂は黙って同じようにソファに座る兄者に委ねる。どうせ思ってることは一緒だ、問題ない。
きっと兄者は、この話を飲む。
『は。随分と買いますネ、こちとらもうアラフォー迎えるんですが?』
『全く問題ありません。だからこそです。その年齢でも全盛期と遜色ない動き、お見それします』
失礼ですが、とテーブルに置かれたのは小切手だ。金額は書いてない、言い値だろう。
『ふぅん。
その話、受けても良いですネ』
兄者の言葉を聞いて儂は静かに肩を鳴らす。やれやれ、と時計に目を移せばそれなりに時間を取られた。相変わらずこの兄は、鬼畜だ。
『ただ』
喜ぶ使者に対し、兄者はニコリと微笑んだ。
『残念だったネ。もう半年前くらいなら受けてたのに、我らにはもう予定があるから無理なんですよネ』
そっと兄者が自身の腕時計を外すと、中から一枚の紙が出てくる。それを開いてから眺める姿は鬼神だの双子神だの馬鹿馬鹿しく見えるような、ただのアラフォーの笑みだ。
紙にはカラフルなペンやシールで周りを彩られ、真ん中にはペンで文字が書かれている。
触れ合い券(膝貸します、抱き枕にもなります)
初めてだった。
普通、こんな巨体の人間に挟まれたら驚いて恐怖を感じるものだ。買い物に出た日の月見山の反応は正にそれ。アレは儂らに対して正しい反応だ。
だが、あの子どもは違う。
初めて出会った夜、ボスに抱かれていた子どもは少し珍しい紫の瞳を見開いたが、それ以降は特に変わった様子など見せず、脅かす儂らにむしろ近づいて来るような変な子どもだ。
そう。子ども、アレは儂らが初めて触れ合う子ども。愛情を受けて育ち良識ある善性に溢れた子だ。
ならば。ならば、だ。
そんな子どもがあんな風に無邪気に手を伸ばす先にいる儂らはなんだ。安心したように儂らの間に座ってみたり、自らの膝を明け渡して過ごす。
…まるで。まるで自分たちが信用されているようだ。あの非力なようで強い子どもを兄者は特に気に入っている。自分たちの群れの一部だと、もう思ってるのだ。
『可愛い末の弟と、来年一緒に映画に行く予定なんでネ。悪いけどこの話はお断り。
ああ。帰らなくて良いですからネ? どうせ帰るところなんて無くなるんですから、無駄足…ネ!』
テーブルを蹴り上げた兄者によって使者が顔面にそれを受けて気絶する。一応それなりに対応しようとしていたんだろう、胸ポケットに手を伸ばすまでは良かったけどまさかテーブルが飛んでくるとは思わなかったのか見事な間抜け面を晒している。
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『さーて。こんだけ時間稼ぎしたら奴さん、我らは味方に着いたと勘違いしてるかネ! 油断大敵。強襲上等。
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部下に使者を指差せば、速やかに引き摺って移動させられる。新調したコートに袖を通す兄者を追って自分もコートを掴めば、ふと振り返った兄者が笑う。
『…生きてると思う?』
『儂らの弟分だヨ。それ以上の言葉、要る?』
昔から儂は人の嘘を見抜くのが得意だった。でも、それを言葉にしたところで誰も信じちゃくれない。だからきちんと相手にその口で白状させるのが得意にもなった。
あのお人好しの弟分は、儂の言葉をすぐに信じる。それは愚かで、褒められたことではない。だけど…すぐに自分を信じて頼って来る可愛い弟分だ。
双子の好みなど似通るに決まってる。
『兄者こそ、良いのかヨ。月見山が裏切る上に過激派の方に傾いた…オメガの婚約者を逃した上に信用も落ちるヨ。負ける方に着くなんてさ…珍しいヨ?』
『ああ。別に…向こうを掃討すれば全員黙るよネ? それで問題ないネ』
…脳筋か。ま、楽で良いけど。
『終わったらアジトに部屋作らせるかネ』
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その顔は是非とも見てみたいから生きていてもらわなければ困る。
『…どうにかして宋平ちゃんをウチに引き込めないか策を立てようかネ』
『流石は兄者。誰も言わないからそろそろ儂が提案しようと思ったヨ』
どいつもこいつも、遠慮ばかり。気に入ったんならずっと囲えば良い。あの子だって儂らといる時は幸せそうにしているのだ、問題ない。
それをなんだ。あの子の未来だとか、将来だとか綺麗事ばかり。
冗談じゃない。あの子は、儂らと共に地獄へ共に堕ちると笑顔で言い放つような子だ。それを切り離すなんてそっちの方がどうかしてる。
何。少しは寂しがるかもしれないが、問題はない。代わりの兄貴分がこれだけいるのだからすぐに落ち着くだろう。
『お前。悪い顔してるネ』
『兄者こそ。鬼神ってか、普通に悪党面だヨ』
マフラーを巻いて灰色の空の下に出る。冬の大寒波を肩で切るように進み、通知にあった決戦の地らしき古城へと向かう。
『普通はこういうの、クリスマスなんじゃない? 前日に仕掛けるとか風情ないヨ』
『…はぁ。だからお前は愚弟なんだよネ。バカだわ、本当バカ。クリスマスイブ、なんだよネ?』
…あー。
ああ、そういう? いやちょっと待ってヨ。
『…たった一日の為に? だってボスはクリスマスに宋平くんを解雇する予定なんだヨ?
クリスマスイブに古城をあげるって? いやバカ。それは流石にボスがバカ』
あまりの馬鹿さ加減にゲラゲラと笑うが、兄者はそんな儂を小馬鹿にしたように首を振る。
『だからだネ』
ふと立ち止まった兄者は、空を睨んでポツリと溢した。
『…最初で最後だから、絶対に忘れられないようなものをあげたかったんだネ。
城があるなら、お姫様が一日しかいなくても不思議じゃないからネ。ホント、お前は風情がないネ全く』
この愚弟、と呟きながら歩き出す兄者。だけど儂は納得がいかなくて言い返すように自分の言い分を放つ。
『なんだヨ。だったらそこは普通俗世じゃ、王子様とやらはお姫様と城で幸せに暮らしました…だヨ。兄者こそ全然わかってないヨ!』
そんな納得のいかない物語、儂は御免だヨ!!
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