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只今誘拐中
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『これ前回のイベントで余った素材だからあげるよ、二人分で良いかな?』
『有り難き幸せネ! イベント関連の素材は毎回集まらなくて困ってたところネ』
『こっちはガチャチケットあげるヨ! 余ってるから持ってけドロボー!』
あれから三人でベッドに座りながらキミチキ! のゲームをしている。家にはバイトが少し長引くと連絡済みなので多少のゆとりはある。
いやぁ、誰かと共有できるって素晴らしいなぁ!
『次のイベントも楽しみだね! 情報だとポロポッチの衣装チェンジとか新しいマップの追加もあるらしくてさー』
『おやおや。宋平ちゃんってば、ポロポッチに夢中になって夜更かししてはいけませんネ~?』
敬語は不要だと言われてすっかり砕けた話し方になるが双子はむしろ楽しそうに話にノってくれた。黒河が飲み物を持って来てくれて一緒に休憩をしている時に異変は起こる。
何処からか聞こえるバイブ音。ポケットからそれを取り出した黒河はやれやれとばかりに首を回す。
『電話?』
無言のまま頷く黒河に何かに気付いたようにベッドから立ち上がる白澄。一人ベッドに横になっていた俺を抱き上げた白澄は片手で俺を持ち、もう片方の手でシーツを荒らす。
どうして皺くちゃにするんだろう?
『やば。切れましたネ』
『どうせすぐ来るヨ』
一度切れた電話は、またすぐに掛かってきた。双子はせっせと何かを用意している。くしゃくしゃになったシーツに、飛んでいった枕。照明を薄暗くして誰も入っていないのにシャワーまで出し始めた。
『宋平くーん。ちょっと服弄らせてほしいヨ!』
『服を? 良いけど、どしたの』
白澄が俺のパーカーを脱がせてTシャツも脱いでほしいと頼まれたので渡すと、ベッドに置かれてしまう。いよいよ何したいんだこの双子…と思っているとベッドに横になるよう指示が出される。
このベッド寝心地悪くなったな…。
『よし、やるネ』
『はは。こんな危ない橋渡るの久しぶりだヨ』
上半身裸のままモゾモゾしていたら、立っている双子が互いに目を合わせる。それから俺の方を見るもんだから身体を抱いてキャー、と叫ぶフリをすると噴き出した双子がスマホを上げた。
テレビ通話になっていたそれから聞こえたのは地獄の底から這うような低く、苛立ちを隠しきれない声。
【…どういうつもりだ】
ゴロゴロとベッドで遊んでいたら聞こえた声にピタリと動きを止める。画面は全く見えないが黒河と通話しているのは間違いなく、ボスだ。
なんだ。ボスからの連絡だったんだ。
『お疲れ様です。…はて、何の話でしょうネ?』
【…トボけるのも大概にしろ。
宋平のスマホの電源が落ちてる。テメェらと帰宅して、すぐにだ。家にも帰ってねェ。アイツに何しやがった】
え。電源落ちてるって?!
慌てて鞄の中を探ろうとしたら、目の前に立つ白澄が俺の仕事用のスマホを持って申し訳なさそうに謝罪のポーズをしている。
…盗まれてる!!
『お言葉ですが、ボス。
宋平ちゃんがどこで何をしているか、なんて既に業務時間が過ぎているのに深入りすることですかネ? そもそもそれで我々を疑うなんて…酷いですネェ?』
明らかな挑発と無言が産むプレッシャー。遠くで聞こえるシャワーの音がどこか不気味だ。
【なら】
電話越しだというのに、脳が警鐘を鳴らすレベルのアルファの威嚇フェロモンが溢れる。
【なんだってテメェらはそんなとこに居やがる…? そんなとこにいて疑うな、なんて都合の良いことがあるかよ。
テメェらの性癖に文句を言うつもりはねェ。…だが、それに宋平を巻き込んだってンなら…どうなるかわかるな】
苛立ちを隠せないとばかりに話すボスに対して、黒河はゆっくりと口角を上げる。
『…んふっ!』
鼻で笑うように、最初は小さく…だけど、どんどんと声を上げて腹を抱えるレベルで笑い出した黒河はニヤニヤと画面を見る。
『どーして貴方に我々の相手について言われなきゃならないんですかネ! だって今まではわかりませんでしたけど、ボスは婚約者をお作りになった…ならばもう要りませんよネ、この子は!
可愛いですよネ…。好きです、健気でまだ成長しきってない柔らかい身体に少し高い声。水分を弾くきめ細やかなハリのある肌にサラサラとした指通りの良い髪。あーでも、我々の好みになるには、そうですネ…』
薄暗闇で見えた横顔は、狂気を孕んだ者だった。
『何よりも美しく神秘的なアメジストのような瞳も
片方欠けるくらいが丁度良い』
ガンッ、と何かを叩くような大きな物音に身体が跳ねるが近くの物はなんともない。
…電話の向こうで何か落ちたりしたのか?
【っテメェら…!】
『どうしたんですかネ驚いちゃったんですかネ。わかってたでしょう? 我々は欠けたものが好きなんです、双子である我々には縁がない理解ないもの。ゾクゾクしちゃいますネ~。
もう良いですかネ? お仕事でしたら追って連絡願います』
待て、と放たれた言葉に黒河は首を傾げる。続きを待つような姿に電話の向こうからは耐えず怒りが溢れかえっているのがわかる。
『別に良いでしょう。ちょっとくらい身体がなくなっても、仕事は出来ますネ』
いやそんなわけあるかい、出来たとしてもお前らが身体を持って行こうとすんなよ。
思わずそうツッコミたくなるようなトンデモ発言にドン引きしていると、急に静かになる。あまりの内容に通話を切ったのかもな~と暢気に考えていた。
【…宋平はいるのか】
『知らないネ』
【命令だ、言え。宋平はそこにいるのか】
『いるネ。ベッドの上に』
バキリ、と何か硬いものが割れる音がした。
もうやだなんか怖いんだけど!!
【…映せ】
横になっていたら突然白澄がベッドの脇に現れ、スマホを向ける。なんだろうと思って見たら次の瞬間フラッシュ機能のまま写真を撮られる。
うわバカ眩しい!!
薄暗い部屋でそんなことをされた俺は目にダメージを負って反射的に目を擦る。
【…そ、うへ】
『はい終わりー。ちゃんと映したネ!』
うわぁ、目がっ。目がシパシパする!
ベッドで転がり回る俺を見て小さく笑う白澄。笑い事ではないと抗議すると申し訳程度に頭を撫でられる。
雑だな、おい。
『まだ楽しんでる途中だから切っても良いネ?』
【ああ、
続きは直接話す。テメェらに宋平を任せた俺のミスだ。ここで話すことは何もねェ】
ブツリ、と切れた通話の後に双子は目を見張るような速度で支度をして扉を開く。呆然とする俺に手を振りながら良い笑顔で爆弾を投下した。
『多分すぐボス来ますからネ! ちゃんとメロメロにして我らの刑を軽くしてほしいネ!』
『んもー。全然儂、混ざれなかったヨ。兄者一人でボスのことイジって狡いヨ。
宋平くん! また遊ぶ時は宜しく頼むヨ!』
メロメロ…? イジる…?
ていうか、ちょっと待って下さる?
『ボスが来る?!』
嘘だろヤダよ! 今日のあの別れの後に一体どんな顔して会えば良いんだ!
既に逃走した双子。一人残された俺は取り敢えず服を着てからどうするか悩む。ベッドに置かれたスマホに手を伸ばして電源を入れてビックリ。
数十件の電話とメッセージがびっしりときていた。
『おわわわ』
ピコンピコン鳴って通知が山のように入ってくるので軽い恐怖を感じる。ボスだけではなく刃斬からも何件か入っていたので相当心配させたと思う。
…俺のこと、心配してくれたのか…。
最後のメッセージを開くと、短く一言だけ。
【必ず迎えに行く】
迎えに行く、だけでも嬉しいのに…必ず、って付いてる…。
『ヤバい…、顔っニヤけちゃうんだが』
暫くボスのメッセージをスクロールしているとなんだか店が騒がしくなる。そろそろ開店時間かもしれないから、それでかと納得した。自分も帰る支度をしようかなと思いつつ再びボスのメッセージを見て顔を覆う。
ふ、ふふ…う、うれしいっ…!
刹那、
観音扉が勢いよく開け放たれた。もう半分壊れるような勢いで、若干不安な音を鳴らして壁に叩きつけられた重厚感のあるそれを成した一人の人物。
一歩部屋に足を踏み入れたその人は、下駄を鳴らして走り出す。
『ぅ、…?』
顔を覆ったままの俺に抱き着いた誰か。座った俺に対して自身は地面に膝をついて痛いくらいに抱きしめられる。
誰か、なんて…嗅ぎ慣れた大好きな匂いですぐにわかった。
『…遅くなった。すまねェ…』
泣きそうな声を出してそう謝罪するボスに俺はゆるゆると首を振って若干身体を退く。
…さて。
ど、どうしようか…。
.
『有り難き幸せネ! イベント関連の素材は毎回集まらなくて困ってたところネ』
『こっちはガチャチケットあげるヨ! 余ってるから持ってけドロボー!』
あれから三人でベッドに座りながらキミチキ! のゲームをしている。家にはバイトが少し長引くと連絡済みなので多少のゆとりはある。
いやぁ、誰かと共有できるって素晴らしいなぁ!
『次のイベントも楽しみだね! 情報だとポロポッチの衣装チェンジとか新しいマップの追加もあるらしくてさー』
『おやおや。宋平ちゃんってば、ポロポッチに夢中になって夜更かししてはいけませんネ~?』
敬語は不要だと言われてすっかり砕けた話し方になるが双子はむしろ楽しそうに話にノってくれた。黒河が飲み物を持って来てくれて一緒に休憩をしている時に異変は起こる。
何処からか聞こえるバイブ音。ポケットからそれを取り出した黒河はやれやれとばかりに首を回す。
『電話?』
無言のまま頷く黒河に何かに気付いたようにベッドから立ち上がる白澄。一人ベッドに横になっていた俺を抱き上げた白澄は片手で俺を持ち、もう片方の手でシーツを荒らす。
どうして皺くちゃにするんだろう?
『やば。切れましたネ』
『どうせすぐ来るヨ』
一度切れた電話は、またすぐに掛かってきた。双子はせっせと何かを用意している。くしゃくしゃになったシーツに、飛んでいった枕。照明を薄暗くして誰も入っていないのにシャワーまで出し始めた。
『宋平くーん。ちょっと服弄らせてほしいヨ!』
『服を? 良いけど、どしたの』
白澄が俺のパーカーを脱がせてTシャツも脱いでほしいと頼まれたので渡すと、ベッドに置かれてしまう。いよいよ何したいんだこの双子…と思っているとベッドに横になるよう指示が出される。
このベッド寝心地悪くなったな…。
『よし、やるネ』
『はは。こんな危ない橋渡るの久しぶりだヨ』
上半身裸のままモゾモゾしていたら、立っている双子が互いに目を合わせる。それから俺の方を見るもんだから身体を抱いてキャー、と叫ぶフリをすると噴き出した双子がスマホを上げた。
テレビ通話になっていたそれから聞こえたのは地獄の底から這うような低く、苛立ちを隠しきれない声。
【…どういうつもりだ】
ゴロゴロとベッドで遊んでいたら聞こえた声にピタリと動きを止める。画面は全く見えないが黒河と通話しているのは間違いなく、ボスだ。
なんだ。ボスからの連絡だったんだ。
『お疲れ様です。…はて、何の話でしょうネ?』
【…トボけるのも大概にしろ。
宋平のスマホの電源が落ちてる。テメェらと帰宅して、すぐにだ。家にも帰ってねェ。アイツに何しやがった】
え。電源落ちてるって?!
慌てて鞄の中を探ろうとしたら、目の前に立つ白澄が俺の仕事用のスマホを持って申し訳なさそうに謝罪のポーズをしている。
…盗まれてる!!
『お言葉ですが、ボス。
宋平ちゃんがどこで何をしているか、なんて既に業務時間が過ぎているのに深入りすることですかネ? そもそもそれで我々を疑うなんて…酷いですネェ?』
明らかな挑発と無言が産むプレッシャー。遠くで聞こえるシャワーの音がどこか不気味だ。
【なら】
電話越しだというのに、脳が警鐘を鳴らすレベルのアルファの威嚇フェロモンが溢れる。
【なんだってテメェらはそんなとこに居やがる…? そんなとこにいて疑うな、なんて都合の良いことがあるかよ。
テメェらの性癖に文句を言うつもりはねェ。…だが、それに宋平を巻き込んだってンなら…どうなるかわかるな】
苛立ちを隠せないとばかりに話すボスに対して、黒河はゆっくりと口角を上げる。
『…んふっ!』
鼻で笑うように、最初は小さく…だけど、どんどんと声を上げて腹を抱えるレベルで笑い出した黒河はニヤニヤと画面を見る。
『どーして貴方に我々の相手について言われなきゃならないんですかネ! だって今まではわかりませんでしたけど、ボスは婚約者をお作りになった…ならばもう要りませんよネ、この子は!
可愛いですよネ…。好きです、健気でまだ成長しきってない柔らかい身体に少し高い声。水分を弾くきめ細やかなハリのある肌にサラサラとした指通りの良い髪。あーでも、我々の好みになるには、そうですネ…』
薄暗闇で見えた横顔は、狂気を孕んだ者だった。
『何よりも美しく神秘的なアメジストのような瞳も
片方欠けるくらいが丁度良い』
ガンッ、と何かを叩くような大きな物音に身体が跳ねるが近くの物はなんともない。
…電話の向こうで何か落ちたりしたのか?
【っテメェら…!】
『どうしたんですかネ驚いちゃったんですかネ。わかってたでしょう? 我々は欠けたものが好きなんです、双子である我々には縁がない理解ないもの。ゾクゾクしちゃいますネ~。
もう良いですかネ? お仕事でしたら追って連絡願います』
待て、と放たれた言葉に黒河は首を傾げる。続きを待つような姿に電話の向こうからは耐えず怒りが溢れかえっているのがわかる。
『別に良いでしょう。ちょっとくらい身体がなくなっても、仕事は出来ますネ』
いやそんなわけあるかい、出来たとしてもお前らが身体を持って行こうとすんなよ。
思わずそうツッコミたくなるようなトンデモ発言にドン引きしていると、急に静かになる。あまりの内容に通話を切ったのかもな~と暢気に考えていた。
【…宋平はいるのか】
『知らないネ』
【命令だ、言え。宋平はそこにいるのか】
『いるネ。ベッドの上に』
バキリ、と何か硬いものが割れる音がした。
もうやだなんか怖いんだけど!!
【…映せ】
横になっていたら突然白澄がベッドの脇に現れ、スマホを向ける。なんだろうと思って見たら次の瞬間フラッシュ機能のまま写真を撮られる。
うわバカ眩しい!!
薄暗い部屋でそんなことをされた俺は目にダメージを負って反射的に目を擦る。
【…そ、うへ】
『はい終わりー。ちゃんと映したネ!』
うわぁ、目がっ。目がシパシパする!
ベッドで転がり回る俺を見て小さく笑う白澄。笑い事ではないと抗議すると申し訳程度に頭を撫でられる。
雑だな、おい。
『まだ楽しんでる途中だから切っても良いネ?』
【ああ、
続きは直接話す。テメェらに宋平を任せた俺のミスだ。ここで話すことは何もねェ】
ブツリ、と切れた通話の後に双子は目を見張るような速度で支度をして扉を開く。呆然とする俺に手を振りながら良い笑顔で爆弾を投下した。
『多分すぐボス来ますからネ! ちゃんとメロメロにして我らの刑を軽くしてほしいネ!』
『んもー。全然儂、混ざれなかったヨ。兄者一人でボスのことイジって狡いヨ。
宋平くん! また遊ぶ時は宜しく頼むヨ!』
メロメロ…? イジる…?
ていうか、ちょっと待って下さる?
『ボスが来る?!』
嘘だろヤダよ! 今日のあの別れの後に一体どんな顔して会えば良いんだ!
既に逃走した双子。一人残された俺は取り敢えず服を着てからどうするか悩む。ベッドに置かれたスマホに手を伸ばして電源を入れてビックリ。
数十件の電話とメッセージがびっしりときていた。
『おわわわ』
ピコンピコン鳴って通知が山のように入ってくるので軽い恐怖を感じる。ボスだけではなく刃斬からも何件か入っていたので相当心配させたと思う。
…俺のこと、心配してくれたのか…。
最後のメッセージを開くと、短く一言だけ。
【必ず迎えに行く】
迎えに行く、だけでも嬉しいのに…必ず、って付いてる…。
『ヤバい…、顔っニヤけちゃうんだが』
暫くボスのメッセージをスクロールしているとなんだか店が騒がしくなる。そろそろ開店時間かもしれないから、それでかと納得した。自分も帰る支度をしようかなと思いつつ再びボスのメッセージを見て顔を覆う。
ふ、ふふ…う、うれしいっ…!
刹那、
観音扉が勢いよく開け放たれた。もう半分壊れるような勢いで、若干不安な音を鳴らして壁に叩きつけられた重厚感のあるそれを成した一人の人物。
一歩部屋に足を踏み入れたその人は、下駄を鳴らして走り出す。
『ぅ、…?』
顔を覆ったままの俺に抱き着いた誰か。座った俺に対して自身は地面に膝をついて痛いくらいに抱きしめられる。
誰か、なんて…嗅ぎ慣れた大好きな匂いですぐにわかった。
『…遅くなった。すまねェ…』
泣きそうな声を出してそう謝罪するボスに俺はゆるゆると首を振って若干身体を退く。
…さて。
ど、どうしようか…。
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