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理想のお嫁さん
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Side:犬飼
『んで。どーなってんだよ、側近のテメェが仕事しねぇからこんなクソみたいなことになってよぉ』
ボスが風呂に入ってる間、ワタシと猿石…覚に刃斬サンがフロアに集まる。双子は現在、宋平くんのところへ向かっているところだ。
『…別に、番はいつかは迎えにゃならんモンだった。その時が来たってだけの話だろ』
『自分の責任棚に上げて、時が来ただぁ?』
ワタシが綺麗にしてやってわざわざ宋平くんの匂いをつけたソファに座る猿石の苛立ちは増すばかり。
そりゃそうだ。あれだけ溺愛している子どもが、あんな姿になれば怒りたくもなるだろう。
『けっ。あんなオメガの何が良いってんだ』
『猿石。それはオメガに対する侮辱ですか?』
すかさず覚が声を上げるが、止めておけと内心では思う。こういう時にあの猿は正論しかぶつけてこないから負けるのは明白だ。
『侮辱? 事実だろ。あのオメガが一体全体、俺たちに何をしてくれるって。わかってねぇのはテメェだろ。弐条会の本部の此処ですらオメガは覚、テメェ一人だ。
オメガは守られなきゃ普通の暮らしだって出来ねぇ。身内のベータやアルファの助力あって初めてそれが成立すんだ、事実だ諦めろ。
その事実を踏まえた上であのオメガのどこが良いのか、俺に教えてみろよ』
グッと押し黙る覚に、強者は組んでいた足を組み替え、煙草を咥えたまま問う。
『俺たちはヤクザなんだぜ? 損得がなきゃ動かねーに決まってんだろ』
損得関係なしに入れ込んでいる存在がいながら、よく言う奴だ。
でもね、そういうことなんだ。オメガのお嫁さんが来るなら当然俺たちはそれを守らなきゃならない。ボスや組織の為なら喜んで命を投げ出す奴はいる、
けど…見ず知らずのオメガの為にそれが出来る奴が、果たしてどれだけいるか。言ってしまえばオメガのお嫁さんなら誰でも良いってわけ、こっちは。その上で良い子なら最高だねって話。
あーあ。それ考えるとホント、宋平くんって大成功例だったんだなー。馴染むの早かったなぁ。
『気付いてねぇのか、あのオメガ。終始ボスのことしか見てなかった。このビルのことも周囲の人間のことも、テメェの親のことも大して見てねぇ。
そういう頼りなくて弱っちぃガキだってわかってるからあの親は武器なんざ隠し持ってやがったんだ。マジで巫山戯てやがる』
『お前何も考えてないようでホント人間観察鋭いよね…』
そこまで言われては言い返す言葉もないのか、覚も俯きながら下がる。そんな同僚の肩を叩くと本人も力なく頷いた。
『で? マジであのオメガと結婚するって?』
『冬に入る頃には婚約する。それまでに何度か会うことになるだろぉよ』
煙草を咥えた猿石がガン、と踵でテーブルを叩く。苛立った様子の刃斬サンと目が合う猿石が何か言う前にワタシが声を上げる。
『宋平くんの方が良いと思いますけど。…ボスも好きでしょ、…いや流石にね? あれだけ構ってんのに恋愛感情の一つもないわけないでしょ。
あのボスが唯一気に入った子ですよ。逃したらもう二度と相応しい子なんて現れない』
宋平くんの名前に反応した猿石が力強く頷く。だが、それでも刃斬サンはこちらにはついてくれない。
『何度も言ってんだろ…。宋平は堅気でいつかは帰さなきゃならん。十五の子どもを、こんな裏社会に引き込んでどーする。
互いの為になんねぇ。…それに、宋平自身がボスを好いているとは』
『あの話聞いてこんな顔する子が、好きじゃないわけないでしょ。ぶっ飛ばしますよ』
先程撮った写真を刃斬サンに見せる。ハッとしたようにそれを見た彼は辛そうな面持ちで手を組み、そこに額を押し当てた。
この人も宋平くんのことかなり大事にしてるしなぁ、こりゃ大ダメージかな!
『…エレベーターから降りるまで、なんともなかった。出た瞬間に腕引かれて…そしたら泣いてた。
エレベーターじゃボスが見てるかもしれないって我慢してたんだよ。…お前らのせいで、ソーヘーは自分の心を殺すんだ』
静まり返る部屋で、煙草の煙を吐く音だけがやけに大きく聞こえる。
『別にオメガじゃなくたって良いでしょ。子どもは親類から譲ってもらうとかしてさぁ』
『そんなんでボスの血筋を残せだなんだと騒がしい連中が黙るかよ…。テメェらは宋平を殺してぇのか? 邪魔だと思われたらすぐに刺客が放たれる』
すぐに刃斬サンにクッションが飛んで行く。獣のような獰猛な空気を纏う猿石に例えだよ、と苦し紛れのフォローを入れた。
そう考えると刃斬サンの言い分もわかる。堅気に戻せばあの子に火の粉が降りかかることはない。この組織からはいなくなっても、いつか…街でまたあの笑顔が見れるなら良いかとも思う。
目の前の男はそれだけでは我慢ならないんだろうけど。
『ていうかさぁ』
持っていたパソコンを弄りながら再び話を切り出すと、三人はワタシの言葉に耳を貸す。
『…本当にあの夜、月見山羽魅はいたのかな? 確かに宋平くんは満身創痍だったけどエンジン音も人の影も見なかったって言ってるんだけど。
つまり、なに? 二人の内のどちらかが嘘を吐いているってこと?』
『または両者共に真実を言っている、とか?』
宋平くんは月見山羽魅に気付かず、彼もまた短時間でボスを救って消えたって?
そんな上手い話はない。
『そのことだが』
腕を組んだ刃斬サンが顔を上げる。
というかこの人、さっきからずっとワタシの渡したスマホを持ってるんですけど。どんだけ宋平くんのこと心配なんだよ。
『…意識を失いかけながら、ボスは確かにオメガの匂いを嗅ぎ取ったらしい。
わかるな? 宋平はあの場から離れて他にオメガがいたんだ。ボスも良い機会だと思ったんだろう。自分の傍にいたオメガに嫌悪感は抱かなかったらしい』
ああ。それは、もうダメじゃないですか。
親の決定には背けない…特に、ワタシたちは。
『…あの。自分は現場に行けなかったので前々から気にはなっていたんですが』
『あー。君は体調不良だったから…』
『普通にヒートだったから、で良いです。
当時の親玉…確か刃斬さんとボスが敵わなかったという人物。ボスを庇って宋平が戦ったって本当なんですか? 普段のあの子を見ていると…いや、というかフェロモンが効かないだけのベータの高校生が』
そう。ワタシもずっと気になっていた。
当時のあの子は身一つ。この猛獣を傍に置いていたわけでもなく、本当にただ一人…。それなのにボスですら敵わなかった奴をフェロモンなしとはいえ、犯罪者と向き合って引き分けにさせた。
…いや、今考えてもヤバい。
『宋平は…』
今でもハッキリと覚えてる。
暗闇から現れた子どもは、ボロボロだった。身体の打撲は数知れず…足は引き摺り涙の跡がしっかりと残っていた。愛されて育った彼には似合わない暴力の数々。それでも、ずっと心配していたのはボスのこと。
『宋平を行かせたのは、俺だ。ボスは最初からアイツを巻き込むつもりはなかったのに。…俺はアイツを死なせるところだった』
『はぁ?
ソーヘーはそんなヤワじゃねぇよ。バカじゃねーの』
意外なことに猿石は刃斬サンを批難することはしなかった。当然のように頭の後ろで手を組み、少し遠くを見ながら語る。
『わりと鍛えてる方だぜ? 判断力も悪くない、機転も効く。何よりソーヘーは敵だと判断したら容赦ないタイプ。
なぁ。
ボスに借りがあって、一緒にいて心地良くて、既に弐条会に馴染んだ奴。なんでソーヘーじゃダメなわけ。オールパーフェクトじゃん』
『テメェは一体何を聞いてやがった。だから宋平はベータで』
『あ゛? ベータだからなんだってんだよ。侮辱してんのかテメェ』
怖。
…え、こわい…。
思わず覚と一緒になって猿石を見る。相変わらず横柄な態度だが、流石は中身は最凶のアルファ。本気になったら厄介だとは聞いていたが、これほどとは正直思わなかった。
暴れ回るだけだった奴が、まさかねぇ。
『俺は諦めねぇぞ。絶対ぇソーヘーと一緒に過ごすんだ。ボスの嫁にソーヘー以上の奴なんかこの世にいるはずねぇ』
『ソーヘーは弐条会の理想の嫁だ』
言い切った! 言い切ったぞコイツ!!
ていうか宋平くんはまだ十五歳なんだからお嫁さんには出来ないし! …まぁ、一年待てば出来るか。
『凄い熱意ですね…』
『まぁ結婚しちゃえば宋平くんは一生弐条会にいることになるからね』
俺の言葉を聞いていたのか鼻の穴を広げて上機嫌に煙を吐く猿が一匹。なんの想像をしたのか突然ソファを叩き出す。
こりゃ重症だ…。
『はぁ…。勝手に言ってろ。テメェがいくら願望重ねたところで当人たちがいなきゃ話は進まねぇんだよ』
『べーっ』
『テメッ!!』
猿石は完全に宋平くん派か。わかってたけど。
まだ調べなきゃいけないこともあるしワタシはまだ保留かなぁ。正式な婚約まで半年もない。たった数ヶ月の間にどんな進展があるか。
『…何も起こんなきゃ良いけど』
後にこれは、
盛大なフラグとなる。
.
『んで。どーなってんだよ、側近のテメェが仕事しねぇからこんなクソみたいなことになってよぉ』
ボスが風呂に入ってる間、ワタシと猿石…覚に刃斬サンがフロアに集まる。双子は現在、宋平くんのところへ向かっているところだ。
『…別に、番はいつかは迎えにゃならんモンだった。その時が来たってだけの話だろ』
『自分の責任棚に上げて、時が来ただぁ?』
ワタシが綺麗にしてやってわざわざ宋平くんの匂いをつけたソファに座る猿石の苛立ちは増すばかり。
そりゃそうだ。あれだけ溺愛している子どもが、あんな姿になれば怒りたくもなるだろう。
『けっ。あんなオメガの何が良いってんだ』
『猿石。それはオメガに対する侮辱ですか?』
すかさず覚が声を上げるが、止めておけと内心では思う。こういう時にあの猿は正論しかぶつけてこないから負けるのは明白だ。
『侮辱? 事実だろ。あのオメガが一体全体、俺たちに何をしてくれるって。わかってねぇのはテメェだろ。弐条会の本部の此処ですらオメガは覚、テメェ一人だ。
オメガは守られなきゃ普通の暮らしだって出来ねぇ。身内のベータやアルファの助力あって初めてそれが成立すんだ、事実だ諦めろ。
その事実を踏まえた上であのオメガのどこが良いのか、俺に教えてみろよ』
グッと押し黙る覚に、強者は組んでいた足を組み替え、煙草を咥えたまま問う。
『俺たちはヤクザなんだぜ? 損得がなきゃ動かねーに決まってんだろ』
損得関係なしに入れ込んでいる存在がいながら、よく言う奴だ。
でもね、そういうことなんだ。オメガのお嫁さんが来るなら当然俺たちはそれを守らなきゃならない。ボスや組織の為なら喜んで命を投げ出す奴はいる、
けど…見ず知らずのオメガの為にそれが出来る奴が、果たしてどれだけいるか。言ってしまえばオメガのお嫁さんなら誰でも良いってわけ、こっちは。その上で良い子なら最高だねって話。
あーあ。それ考えるとホント、宋平くんって大成功例だったんだなー。馴染むの早かったなぁ。
『気付いてねぇのか、あのオメガ。終始ボスのことしか見てなかった。このビルのことも周囲の人間のことも、テメェの親のことも大して見てねぇ。
そういう頼りなくて弱っちぃガキだってわかってるからあの親は武器なんざ隠し持ってやがったんだ。マジで巫山戯てやがる』
『お前何も考えてないようでホント人間観察鋭いよね…』
そこまで言われては言い返す言葉もないのか、覚も俯きながら下がる。そんな同僚の肩を叩くと本人も力なく頷いた。
『で? マジであのオメガと結婚するって?』
『冬に入る頃には婚約する。それまでに何度か会うことになるだろぉよ』
煙草を咥えた猿石がガン、と踵でテーブルを叩く。苛立った様子の刃斬サンと目が合う猿石が何か言う前にワタシが声を上げる。
『宋平くんの方が良いと思いますけど。…ボスも好きでしょ、…いや流石にね? あれだけ構ってんのに恋愛感情の一つもないわけないでしょ。
あのボスが唯一気に入った子ですよ。逃したらもう二度と相応しい子なんて現れない』
宋平くんの名前に反応した猿石が力強く頷く。だが、それでも刃斬サンはこちらにはついてくれない。
『何度も言ってんだろ…。宋平は堅気でいつかは帰さなきゃならん。十五の子どもを、こんな裏社会に引き込んでどーする。
互いの為になんねぇ。…それに、宋平自身がボスを好いているとは』
『あの話聞いてこんな顔する子が、好きじゃないわけないでしょ。ぶっ飛ばしますよ』
先程撮った写真を刃斬サンに見せる。ハッとしたようにそれを見た彼は辛そうな面持ちで手を組み、そこに額を押し当てた。
この人も宋平くんのことかなり大事にしてるしなぁ、こりゃ大ダメージかな!
『…エレベーターから降りるまで、なんともなかった。出た瞬間に腕引かれて…そしたら泣いてた。
エレベーターじゃボスが見てるかもしれないって我慢してたんだよ。…お前らのせいで、ソーヘーは自分の心を殺すんだ』
静まり返る部屋で、煙草の煙を吐く音だけがやけに大きく聞こえる。
『別にオメガじゃなくたって良いでしょ。子どもは親類から譲ってもらうとかしてさぁ』
『そんなんでボスの血筋を残せだなんだと騒がしい連中が黙るかよ…。テメェらは宋平を殺してぇのか? 邪魔だと思われたらすぐに刺客が放たれる』
すぐに刃斬サンにクッションが飛んで行く。獣のような獰猛な空気を纏う猿石に例えだよ、と苦し紛れのフォローを入れた。
そう考えると刃斬サンの言い分もわかる。堅気に戻せばあの子に火の粉が降りかかることはない。この組織からはいなくなっても、いつか…街でまたあの笑顔が見れるなら良いかとも思う。
目の前の男はそれだけでは我慢ならないんだろうけど。
『ていうかさぁ』
持っていたパソコンを弄りながら再び話を切り出すと、三人はワタシの言葉に耳を貸す。
『…本当にあの夜、月見山羽魅はいたのかな? 確かに宋平くんは満身創痍だったけどエンジン音も人の影も見なかったって言ってるんだけど。
つまり、なに? 二人の内のどちらかが嘘を吐いているってこと?』
『または両者共に真実を言っている、とか?』
宋平くんは月見山羽魅に気付かず、彼もまた短時間でボスを救って消えたって?
そんな上手い話はない。
『そのことだが』
腕を組んだ刃斬サンが顔を上げる。
というかこの人、さっきからずっとワタシの渡したスマホを持ってるんですけど。どんだけ宋平くんのこと心配なんだよ。
『…意識を失いかけながら、ボスは確かにオメガの匂いを嗅ぎ取ったらしい。
わかるな? 宋平はあの場から離れて他にオメガがいたんだ。ボスも良い機会だと思ったんだろう。自分の傍にいたオメガに嫌悪感は抱かなかったらしい』
ああ。それは、もうダメじゃないですか。
親の決定には背けない…特に、ワタシたちは。
『…あの。自分は現場に行けなかったので前々から気にはなっていたんですが』
『あー。君は体調不良だったから…』
『普通にヒートだったから、で良いです。
当時の親玉…確か刃斬さんとボスが敵わなかったという人物。ボスを庇って宋平が戦ったって本当なんですか? 普段のあの子を見ていると…いや、というかフェロモンが効かないだけのベータの高校生が』
そう。ワタシもずっと気になっていた。
当時のあの子は身一つ。この猛獣を傍に置いていたわけでもなく、本当にただ一人…。それなのにボスですら敵わなかった奴をフェロモンなしとはいえ、犯罪者と向き合って引き分けにさせた。
…いや、今考えてもヤバい。
『宋平は…』
今でもハッキリと覚えてる。
暗闇から現れた子どもは、ボロボロだった。身体の打撲は数知れず…足は引き摺り涙の跡がしっかりと残っていた。愛されて育った彼には似合わない暴力の数々。それでも、ずっと心配していたのはボスのこと。
『宋平を行かせたのは、俺だ。ボスは最初からアイツを巻き込むつもりはなかったのに。…俺はアイツを死なせるところだった』
『はぁ?
ソーヘーはそんなヤワじゃねぇよ。バカじゃねーの』
意外なことに猿石は刃斬サンを批難することはしなかった。当然のように頭の後ろで手を組み、少し遠くを見ながら語る。
『わりと鍛えてる方だぜ? 判断力も悪くない、機転も効く。何よりソーヘーは敵だと判断したら容赦ないタイプ。
なぁ。
ボスに借りがあって、一緒にいて心地良くて、既に弐条会に馴染んだ奴。なんでソーヘーじゃダメなわけ。オールパーフェクトじゃん』
『テメェは一体何を聞いてやがった。だから宋平はベータで』
『あ゛? ベータだからなんだってんだよ。侮辱してんのかテメェ』
怖。
…え、こわい…。
思わず覚と一緒になって猿石を見る。相変わらず横柄な態度だが、流石は中身は最凶のアルファ。本気になったら厄介だとは聞いていたが、これほどとは正直思わなかった。
暴れ回るだけだった奴が、まさかねぇ。
『俺は諦めねぇぞ。絶対ぇソーヘーと一緒に過ごすんだ。ボスの嫁にソーヘー以上の奴なんかこの世にいるはずねぇ』
『ソーヘーは弐条会の理想の嫁だ』
言い切った! 言い切ったぞコイツ!!
ていうか宋平くんはまだ十五歳なんだからお嫁さんには出来ないし! …まぁ、一年待てば出来るか。
『凄い熱意ですね…』
『まぁ結婚しちゃえば宋平くんは一生弐条会にいることになるからね』
俺の言葉を聞いていたのか鼻の穴を広げて上機嫌に煙を吐く猿が一匹。なんの想像をしたのか突然ソファを叩き出す。
こりゃ重症だ…。
『はぁ…。勝手に言ってろ。テメェがいくら願望重ねたところで当人たちがいなきゃ話は進まねぇんだよ』
『べーっ』
『テメッ!!』
猿石は完全に宋平くん派か。わかってたけど。
まだ調べなきゃいけないこともあるしワタシはまだ保留かなぁ。正式な婚約まで半年もない。たった数ヶ月の間にどんな進展があるか。
『…何も起こんなきゃ良いけど』
後にこれは、
盛大なフラグとなる。
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