謎の能力【壁】で始まる異世界スローライフ~40才独身男のちょっとエッチな異世界開拓記! ついでに世界も救っとけ!~

骨折さん

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鉄の壁の章

引っ越し完了☆

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 森の木を切り、奥に進むことおよそ一月。
 最後の一本に向かって手刀を落とす!

 ――ブンッ! ズバァッ!

 俺の空手チョップを受け、人の胴体はあろうかという木は倒れた。
 これで動線上にあるものは全て排除したことになる。
 目の前には大きな滝があり、そしてさらに大きな湖が見える。
 
 ここはデュパに出会った場所であり、俺達の村の生活用水を供給してくれる湖でもある。
 俺達が食べている魚もここに住んでいたものを養殖したものだ。

 今日は恋人達とデュパには仕事を休んでもらっている。
 引っ越し先である湖近辺でどう村を広げていくか相談に乗ってもらうつもりだ。

「うわぁ、とうとうここまで来ましたね」
「そうだな。リディアとこの湖を見つけたのが懐かしいよ」

 二人で探索してる時にここを見つけたんだよな。
 そんなに時間が経っているわけでもないのに、なんだか懐かしい気分になるのが不思議だ。

 一応計画では村の壁の一辺を湖の中に建てることにする。
 異形達は水の中には入れないそうだ。これは長い間森で暮らしてきたデュパが教えてくれた。
 なら湖の上に村を建てればいいのではとも思ったが、湖はかなり深いらしい。
 俺が建てられる壁の高さには限界がある。
 最大で10mがやっとくらいだな。
 
 つまり壁を土台にして水上都市を作るのは無理だということだ。
 残念。

「グルル、しかし一方だけでも襲撃を気にしなくても良くなるのは大きいだろう」
「その通りです。戦力を残り三方に集中させられますから」

 デュパとシャニが言う通り。
 一辺の守りを他に回すだけでも充分に戦力アップだ。
 
「それで今後はどこに向けて村を発展させるかが大事なのですね」
「そういうこと」

 俺達は森を切り開き、南からここまで進んできた。
 つまり北側は元居た場所に戻るので除外する。
 このまま南に向かうか。
 それとも東西に進むかだ。

「一先ずはここに拠点を構える。ここを中心にして何があるのかを探っていこう」

 では最初にXY軸移動を発動して村を移動させなくては。
 デュパが管理する溜め池をなるべく湖の近くに来るような位置にするべきだな。

(XY軸移動をアクティブに。XY軸を180°反転)
【受付完了】

 すると村自体が地響きをあげて回転し始める。
 そのまま湖に隣接させれば完成だ。

(Y軸を南に500m移動)
【受付完了】

 ――ズズズッ ジャボンッ……

 村の一部が湖に沈む。しかし壁は特に壊れた様子は無い。
 デュパの溜め池は村の南側にあった。水没した壁の一部に穴を開け、水路を繋げれば溜め池に水を流すことが出来る。
 ちなみに生活排水はかつての水路を再利用して平原に流す予定だ。
 まぁ汚物は肥料として使っているし、生活排水といっても風呂の残り水や洗濯石鹸も植物油を元に作ってある。
 そこまで環境汚染に注意する必要はないだろ。
 ちなみにファンタジーでよくあるような汚物を分解するようなスライムのようなモンスターはいないとのことだ。

 とりあえずはこれでいいだろう。
 今度は村の中の整備をしなければ。
 村の一部が水に沈んでしまったので、早急に失ってしまった敷地を広くする必要がある。
 これからさらに人口は増えるだろう。
 今の倍の面積にしても異形から充分に守りきれるはずだ。

 一辺を250mの正方形をイメージして鉄壁を建てることに。

【壁!】

 ――ズゴゴゴゴゴゴゴゴッ!

 轟音を立て鉄壁が伸びる。
 今まで建てた中で一番広い。それでも大きな野球場ってとこか。
 
 他にもリディアのために村の敷地外にも鉄製の櫓を建てておく。
 鉄壁と同じ素材だから頑丈さについては申し分ないだろう。
 今ではリディア達エルフ、他にも弓の腕が立つ者は櫓に登り異形に先制攻撃を仕掛けている。
 もちろんすぐに避難出来るよう村の中にある櫓と竹橋で繋いでおいた。

「ふふ、これなら壊される心配はなさそうです」
「でも油断はしちゃ駄目だぞ」

 実際リディアの櫓は異形に壊されたことがあるからな。
 彼女を助けるために一人で異形の群れの中に飛び込んだのは今思い返しても無茶したなと思う。

 櫓と壁を建て、村を守る設備は完成と言ってもいいだろう。
 次は村の中……と言いたいところだが、間も無く夜が来る。
 しかも今日は満月なのだ。大勢の異形の群れがやってくる。

「みんな、そろそろ準備しようか。もうすぐ異形が来るはずだ」
「はい!」

 リディア達は気合いのこもった声で返事をする。

 そして夜が来て、空には血に濡れたような真っ赤な月が昇った。

「ライト殿、行って参ります」
「あぁ。気をつけろよ」

 ――シュタッ

 シャニは自分が鍛えた10人の村民と共に村の外に向かう。
 村民はシャニ自身が選定したようだ。
 シャニ程ではないが、気配を殺すことの出来るスキルを持っているらしい。
 闇夜に紛れて敵を討つ。
 まるで忍者部隊だな。

「ライトさーん! 私も頑張りますねー!」

 とリディアは櫓の上から手を振っていた。
 彼女達は櫓から矢の雨を異形に向けて降らせるのだ。
 矢じりに使っているのはダイヤモンド、世界で一番硬い石であり俺達の主要武器だ。
 割れやすいのが難点だな。そのうち鉄を加工して武器が作れればいいのだが。

 そして壁の内側から槍で守る地上部隊。
 これは俺とアーニャ、そしてデュパが担当する。
 万が一異形が侵入してきた時は俺達が仕留める。

 ――ドドドドドドッ……

 森の奥から足音が聞こえる。
 いつもより大きい足音だ。
 この音を聞くのは一月ぶりだな。

「来ます!」
「放てぇ!」

 リディアが矢を放つ!
 櫓の他にも外には俺達が仕掛けた竹製の罠もあるしな!
 しっかり足止めをしてやれよ!

 ――ドシュッ!

『ウバァァッ……』

 リディアの矢が異形の頭を打ち抜いた。
 相変わらずいい腕してるぜ。

 しかし異形を仕留めているのはリディア達だけではない。

 ――ザクッ

「…………」
『ウボァァッ……』
 
 シャニが木陰から異形の喉に投げナイフを投げる。
 見事に命中した後、シャニは煙のように森に消えていった。

 おぉ、さすがは元暗殺部隊。
 王都最強と言われただけある。

 リディア、シャニの活躍により200体はいた異形は村に近づく前に数を減らしていく。
 しかも異形の前に立ちはだかるのは分厚い鉄の壁だ。
 そう簡単に壊せるはずもなく、しかも覗き穴からは鋭い槍の一撃が異形を襲う!

「せいっ!」
『ウバァァッ……』

 アーニャの突きを喰らい、異形はその体を塵に変えた。
 
 ふぅ、今のが最後の一体だったな。
 
「よーし、みんな今日もお疲れー。襲撃は終わったから帰っていいぞー」

 俺の声を聞いた村民達は笑顔で自宅に戻っていく。
 リディア、シャニも傷を負うことはなく、ピンピンしていた。
 
「無事か?」
「はい。隊員で軽傷を負った者はいますが大した傷ではありません。それでは私は先に戻ります」
「ライト様、リディアさん、私も先に戻りますね!」

 シャニとアーニャは二人で家に戻っていった。
 あれ? みんなで帰ろうと思ったのだが。

「あ、あの、せっかくですし、少し歩きませんか?」

 とリディアが恥ずかしそうにモジモジしていた。
 なるほど、あいつらめ。余計な気を使ったな?
 なら彼女達の気持ちに甘えるとしようか。

「あぁ、それじゃ一緒に風呂なんてどう?」
「はい!」

 リディアと共に風呂に向かう。
 夜は恋人のために予約制にしてある。
 別に風呂の中でエッチなことをしてもいいようにね。

 幸いなことに一つだけ借りられていない風呂があったのでリディアと入ることにした。
 もうめんどくさいのでその場で服を脱ぐ。
 リディアも慣れた様子で服を脱ぎ始めた。

「ふふ、そんなに見ないでください」

 と言いつつリディアは前を隠そうとしない。
 いつ見ても綺麗だな。
 しかし彼女を見ていると大きくなってしまいそうなので、早々に風呂に入ることにした。

 ――ザバーッ

 風呂に浸かると指先までじんわりと熱が伝わる。
 暑くなってきたとはいえ、やはり一日一回は風呂に入るべきだよな。

「ふぅ、気持ちいいです。ライトさん、膝に乗ってもいいですか?」
「いいよ。おいで」

 リディアは笑顔で俺の膝に乗ってきた。
 ムチっとした大きなお尻が俺のあそこに当たってさ。
 やはり俺も男ですし、反応してしまうわけだよ。

 ――ムクムクッ ツンッ

「きゃんっ。もう、ライトさんのエッチ」
「ははは、ごめんね。リディアが可愛い過ぎるからさ。仕方ないだろ?」

 なんてことを言いつつ抱きしめてキスをしたり、メロンの先についたサクランボを食べたりしてるとリディアの息遣いが荒くなってきた。

「する?」
「もう、聞かないでください……」

 と言ってリディアは俺の耳を甘噛みしてきた。
 それが合図となって彼女をしっかりと可愛がってしまう。
 
 そういえばリディアと初めてエッチしたのって風呂の中だったな。
 激しくいってしまったリディアを抱きしめながら長い髪を撫でる。

「リディア、いつも俺の側にいてくれてありがとな。これからもずっと一緒にいよう。愛してるよ」
「ライトさん……。私も愛しています……」

 俺達は風呂を出て自宅に戻る。
 気持ちの収まらないリディアはさらに俺を求めてきた。
 お互いの気持ちを確かめるように、果てても果てても交わり続けた。
 
 そしていつの間に眠っていたようだ。
 隣ではリディアが俺の胸を枕にして眠っていた。
 
 ――トントンッ

 おや? ノックする音が。
 俺はベッドに横になったままで。

「どうぞ」

 と言うとアーニャが静かに入ってきた。
 そしてすやすやと眠るリディアの髪を撫でる。

「ふふ、しっかり甘えられたみたいですね。良かったです」
「アーニャ、おはよ」

「少し話しますね。実はリディアさんって……」

 アーニャは語りだした。
 本人からは聞いていないのだが、リディアは少しだけ我慢していたと。
 シャニという恋人も出来て、リディアはいつの間にか恋人達のリーダー的存在になった。
 アーニャ、シャニはリディアの妹ってわけだ。
 だからリディアは姉としてアーニャやシャニとの時間を作るため自分の時間を犠牲にしてきたと。

 実はそれは俺も思っていた。
 リディアの日なのに、アーニャやシャニが混ざってくることは多い。
 だがリディアはアーニャ達の日に混ざってくることはないのだ。
 他にも具合が悪いと二人に俺を譲る日もあった。

 馬鹿だなぁ。そこまですることはないんだよ。
 恋人は三人だがリディア、アーニャ、シャニを平等に愛してるつもりなんだ。
 そう思うとリディアが愛おしく思える。
 
 起こさぬよう優しく抱きしめると彼女は少し笑った気がした。

「ふふ、リディアさんって可愛いですね。それとライト様、後で保護室に来て下さい」
「保護室に? 何があった?」

 なんとなくアーニャの表情が変わったのが分かった。
 今までに無い何かが起こったのだ。

「地人……。ドワーフが来ました」

 ここに来て新しい種族が現れたか。

◇◆◇

☆次のスタンピード大規模襲撃まで残り107日。

☆総配偶者満足度:93808/1000000
リディア:32381/1000000
アーニャ:29849/1000000
シャニ:31578/1000000

☆総村民満足:15893/1000000
・総村民数:200人

☆現在のラベレ村
・鉄壁
・敷地面積:60000㎡


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


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