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鉄の壁の章
養殖のシャニの提案☆
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――ブンッ! ズバァッ!
いつものように手刀で森の木を斬り倒す。
うーん、我ながら人間離れしてきたな。
木を倒した後は残った切り株をマンパワーのみで引っこ抜く。
この力があれば地球で格闘家デビューとか出来るかも。
いやむしろ世界最強の父親である、あの人くらい強いのではないだろうか?
しかし俺一人の力では限界がある。
今では俺を含め20名以上の伐採班が一緒に森を切り開いてくれている。
ふぅ、今日はこんなもんだな。ノルマは達成したはずだ。
今日森を切り開いた距離はおよそ500m、目的地である滝の湖まではもう少しだ。
「よーし、村を移動させるぞー。離れててくれー」
「щrrahy」
村民とは言葉は通じないが、今ではお互い何となく言っていることを理解出来るようになったのが不思議だ。
村民が退いたところで俺はいつものXY軸移動を発動する。
――ズゴゴゴッ
地響きをあげ村は南に進み始めた。
いつ見ても壮観だなぁ。
「よーし、今日はこれで終わりにしようか。明日も同じ時間に頼むぞー」
「Ichdue」
伐採担当の村民達は各々村に戻っていく。
さて、俺はどうするかな。まだ定時ではないので他の仕事でもするか。
まずは家に戻り毛皮の作業着を脱ぐことに。
森の中はトゲのある草や枝に引っ掻けたりと小さいながらも傷を負うことがある。
大した怪我にはならないが、痛いのは嫌いなので分厚い作業着を着こんでいる。
でもすぐに暑くなるのがたまにきずだ。
なのでアーニャが作ってくれた羊毛で作ったシャツに着替えることにした。
家に戻ると中にはシャニがいた。
おや? 彼女も仕事が終わったのかな?
「早いね。どうしたんだ?」
「牛のための薬を取りにきました。アーニャ姉の薬が一番効きますから」
とシャニは言う。
確かにアーニャが煎じた薬で大抵の病気は治る。
配偶者満足度が上がることで得た薬の知識という力のおかげかな?
「そうか、牛の具合が悪いのか?」
「産後の肥立ちが悪いので。でも心配はいりません。すぐに良くなるはずです」
せっかくなので一緒に牧場に向かうことにした。
今ではシャニの牧場には牛、羊、さらに鶏もいる。
ちょっと地球の動物とは見た目が違うのだが、生態は近いようだ。
「ライト殿。手を繋いでも良いでしょうか?」
「いいよ」
シャニは表情を変えることなく手を握ってくる。
尻尾は元気良く動き回っているのでご機嫌ということだろう。
「ははは、シャニは可愛いね」
「お世辞は結構です」
――ブンブンブンブンッ!
これはもっと言って欲しいサインだ。
可愛いかったのでその場で抱きしめてキスをしておく。
「ん……。駄目です。まだ明るいですから」
と言いつつも、彼女は自分から舌を絡めてくる。
ふふ、今夜はいっぱい可愛がってあげよう。
「グルル、往来で破廉恥なことをするでない」
「デュパか? ははは、すまんな」
いかん、デュパに注意されてしまった。
彼は溜め池に腰まで浸かり魚の世話をしているところだった。
そういえば牧場の側にはデュパの養殖場があったな。
よし、時間もあることだしデュパの仕事を手伝うとしよう。
「グルル。助かるぞ。ではお願いしよう」
「ライト殿、牛の世話はすぐに終わります。私も手伝いましょう」
シャニも後で合流することになった。
やることはそこに繁殖した苔や水草の除去だったな。
俺は服を脱いで溜め池に入る。
最近暑くなってきたからな。
冷たい水が気持ちいい。
泳ぎながら水草を摘んだり床を擦っていると作業はすぐに終わってしまった。
「グルル。慣れてきたな。助かった」
「シャニが来る前に終わっちまったな。他にやることはないか?」
「ならばこれを試して欲しい」
デュパは水の中に潜った。何やら水中で作業をしているようだが、すぐに出てきた。
その手には何かを握っている。
「貝か?」
「そうだ。先日まで養殖は上手くいっていなかったのだが、最近になって大きくなりはじめてな」
へー。魚、エビの他に貝の養殖にも成功したか。
しかもデュパが見せた貝は一種類だけではない。
これは地球でも良く似たものを見たことがある。
ムール貝に牡蠣、サザエにハマグリだ。アワビなんかもある。
海水に生息するはずの牡蠣やサザエが淡水で育てられるのも謎だが、ここは異世界ですし。
深いことは考えても仕方ないだろ。
「へぇ、美味そうだな」
「グルル、これは私達の好物の一つでな。だがまだ味を試していない。それとこの中には体に毒を溜め込むものもある。村民達に食べてもらう前に試してみないか?」
毒味係かよ。でも貝は好きだからな。
食べてみたいってのも本音ではある。
よし、せっかくだからシャニにも食べさせてあげよう。
たしかシャニは生っぽいものはあんまり好きじゃなかったな。
彼女のために焼き貝も用意してあげることにした。
ちなみにデュパは魚や貝は生で食べるのが当たり前のようだ。
貝を焼いていると香ばしい香りがしてくる。
「ライト殿、お待たせしました。いい香りですね」
「シャニか、早かったね。デュパの手伝いは終わったんだ。良かったら味見してみないか?」
「頂きます」
――ブンブンブンブンッ!
ははは。めっちゃ喜んでるじゃん。
「グルル、使うか?」
「気が利くな。ありがとな」
デュパは自宅から醤油を持ってきてくれた。
もう塩の心配はないからな。味噌も醤油も今では充分なストックがある。
それでは。俺は牡蠣の殻を外し、醤油を垂らして一口。
おぉ、この濃厚な旨味。地球で味わう牡蠣そのものの味だ。
これは美味いなぁ。
俺の横ではシャニが焼けたハマグリをホフホフと頬張っていた。
「あちゅいけどおいひいれふ」
「ははは、何を言ってるのか分からんぞ」
でも尻尾の動きから美味いということは伝わってきた。
これは食の幅が広がるぞ。
穀物はナババという実の粉がパンになる。
肉は狩りでウサギ、猪の肉が食べられる。野生の獣なので脂の乗った肉っていうよりジビエ料理って感じになるけど。
魚はイワナのような種類を養殖している。塩を振ってから焼くと美味いんだよな。
そしてこの貝である。
これはラベレ村の特産として広めてもらうことにしよう。
「グルル。だが村民が増えてきたからな。この溜め池では充分な量が獲れん」
とデュパは手入れしてきた溜め池を見つめる。
実はそれについては問題無い。
もうすぐそれも含めて解決する予定なのだ。
「あのさ、デュパも知ってるだろうけど、今俺達は滝の湖に村を移そうと思ってるんだ。そして村の一部を湖と隣接させる」
「グルル?」
どうやら異形は水には入って来られないようだ。
ならさ、村を囲う一辺の壁だけでも湖の中に建てたとしたら?
今ラベレ村は東西南北の四方から異形に襲われている。
例えば壁の南側を湖の中に建てたとしよう。
それだけでも南は異形から守る必要は無くなる。
他の三方だけに守りを集中させることが出来る。
「つまりはさ、防衛に回す人員を増やすことが出来るようになるのさ。守るなら自分達に有利な地形を利用しろってな」
そんなことを孫子も言ってたような言ってなかったような。
「グルル! 村の中に湖とは!? 養殖の規模が拡大するな!」
「だろ? それだけじゃなくて、今の人数でもっと村を広くすることだって可能なんだ」
それが俺が湖の側に村を移そうとする理由だ。
他にも森の奥には俺達がまだ見つけてない資源もありそうだしな。
デュパには今後の計画を話し、そして今はとにかく魚や貝を増やしていくことをお願いした。
「グルル! 養殖のことは任せろ! 湖に着くことを楽しみにしている!」
「ははは、頼んだぞ」
デュパと別れ、俺達は自宅に戻ることにした。
「ライト殿、そんなことを考えていたのですね」
とシャニが行きと同様、俺の手を握ってきた。
それだけではなく彼女はこんなことも言い始めた。
「提案があります。異形達から身を守るためには壁に頼るだけではいけません。こちらから打って出る必要があります」
打って出る? それって近くで戦うってことか?
そんなの危ないじゃん。許可することは出来んぞ。
「シャニにそんな危ないことはさせられないよ。駄目だ」
「心配はいりません。相手が異形といえど私には技術があります。それに全てを倒すつもりはありません。一撃を与えて逃げる。そして隠れて更なる一撃を与える。数を減らしつつ、攻撃を分散させることが出来ます」
そういえばシャニって対異形の暗殺部隊を率いていたんだったな。
でも率先して異形と近接戦闘をしてくれる村民なんているのかな?
「それについてもお話があります。はっきり言ってしまえば恐らくこの村の戦闘力は王都が抱えていた全軍事力にも匹敵……いえ、それ以上でしょう。一人一人が熟練の兵士以上の力を持っています」
これについては俺も知っている。
リディア達はもちろんだが、村民達は満足度が上限に達する度にステータスも上がるのだ。
前回レベルが上がり鉄壁を建てられるようになった。
その時にざっと村民のステータスを見てみたのだが、力、魔力共に高いもので60もの数値を叩き出していた。
シャニはかつて王都で最強と言われていたそうだ。
その彼女の素のステータスが80とかだったな。
それに近い力を今の村民達は持っている。
うーん。でもなぁ、やっぱり恋人を危険な目に会わせるのも……。
「約束してくれるか? 絶対に怪我をしちゃ駄目だ。もし危ないと思ったら……」
「そうならないようしっかり訓練させます。それに私は死にません。死ぬ時はあなたの胸に抱かれてと決めていますから」
決意は硬いみたいだな。
なら俺が言うことはないだろう。
「任せるよ」
「ありがとうございます」
――ブンブンブンブンッ!
シャニは喜んでいた。でもあんまり心配させないでくれよ?
そして家に戻り、いつものように夕食を食べる。
その後はみんなでワイワイと今日の出来事を話していると……。
「ふふ、今日はシャニの日だったわね」
「うふふ、楽しんでくださいね」
「はい、リディア姉、アーニャ姉、ありがとうございます」
そういえば今夜はシャニとエッチする日だったか。
リディア達が自室に向かうとシャニは尻尾を振りながら服を脱いだ。
俺はベッドに横になりシャニを誘う。
彼女も期待していたのだろう。
彼女の股関ははち切れんばかりに大きくなっていた。
「おいで」
「はい」
しっかりとシャニと愛し合う。
やはりフタナリちゃんは最高だな。
男と女の快感を同時に味わえる。
そしてリディア達同様、シャニも感じやすい体質のようだ。
俺が果てるまでに何度もいってしまう。
愛し合った後、シャニは俺の胸を枕にこんなことを言ってきた。
「それにしてもあの貝は美味しかったですね。リディア姉達にも食べさせてあげたかったです」
しかしシャニの言う通り、あの貝は絶品だった。
もう少し食べても良かったかもな。
「あんっ。そんなところを齧ってはいけません」
物足りない俺は寝る前にもう一度シャニのアワビを食べることにした。
◇◆◇
☆次のスタンピードまで残り108日。
☆総配偶者満足度:82361/1000000
リディア:25410/1000000
アーニャ:26854/1000000
シャニ:30052/1000000
☆総村民満足:12541/1000000
・総村民数:198人
☆現在のラベレ村
・鉄壁
・敷地面積:32000㎡
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ここまで読んで頂き誠にありがとうございます!
お気に召しましたらお気に入り登録お願いいたします!
いつものように手刀で森の木を斬り倒す。
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木を倒した後は残った切り株をマンパワーのみで引っこ抜く。
この力があれば地球で格闘家デビューとか出来るかも。
いやむしろ世界最強の父親である、あの人くらい強いのではないだろうか?
しかし俺一人の力では限界がある。
今では俺を含め20名以上の伐採班が一緒に森を切り開いてくれている。
ふぅ、今日はこんなもんだな。ノルマは達成したはずだ。
今日森を切り開いた距離はおよそ500m、目的地である滝の湖まではもう少しだ。
「よーし、村を移動させるぞー。離れててくれー」
「щrrahy」
村民とは言葉は通じないが、今ではお互い何となく言っていることを理解出来るようになったのが不思議だ。
村民が退いたところで俺はいつものXY軸移動を発動する。
――ズゴゴゴッ
地響きをあげ村は南に進み始めた。
いつ見ても壮観だなぁ。
「よーし、今日はこれで終わりにしようか。明日も同じ時間に頼むぞー」
「Ichdue」
伐採担当の村民達は各々村に戻っていく。
さて、俺はどうするかな。まだ定時ではないので他の仕事でもするか。
まずは家に戻り毛皮の作業着を脱ぐことに。
森の中はトゲのある草や枝に引っ掻けたりと小さいながらも傷を負うことがある。
大した怪我にはならないが、痛いのは嫌いなので分厚い作業着を着こんでいる。
でもすぐに暑くなるのがたまにきずだ。
なのでアーニャが作ってくれた羊毛で作ったシャツに着替えることにした。
家に戻ると中にはシャニがいた。
おや? 彼女も仕事が終わったのかな?
「早いね。どうしたんだ?」
「牛のための薬を取りにきました。アーニャ姉の薬が一番効きますから」
とシャニは言う。
確かにアーニャが煎じた薬で大抵の病気は治る。
配偶者満足度が上がることで得た薬の知識という力のおかげかな?
「そうか、牛の具合が悪いのか?」
「産後の肥立ちが悪いので。でも心配はいりません。すぐに良くなるはずです」
せっかくなので一緒に牧場に向かうことにした。
今ではシャニの牧場には牛、羊、さらに鶏もいる。
ちょっと地球の動物とは見た目が違うのだが、生態は近いようだ。
「ライト殿。手を繋いでも良いでしょうか?」
「いいよ」
シャニは表情を変えることなく手を握ってくる。
尻尾は元気良く動き回っているのでご機嫌ということだろう。
「ははは、シャニは可愛いね」
「お世辞は結構です」
――ブンブンブンブンッ!
これはもっと言って欲しいサインだ。
可愛いかったのでその場で抱きしめてキスをしておく。
「ん……。駄目です。まだ明るいですから」
と言いつつも、彼女は自分から舌を絡めてくる。
ふふ、今夜はいっぱい可愛がってあげよう。
「グルル、往来で破廉恥なことをするでない」
「デュパか? ははは、すまんな」
いかん、デュパに注意されてしまった。
彼は溜め池に腰まで浸かり魚の世話をしているところだった。
そういえば牧場の側にはデュパの養殖場があったな。
よし、時間もあることだしデュパの仕事を手伝うとしよう。
「グルル。助かるぞ。ではお願いしよう」
「ライト殿、牛の世話はすぐに終わります。私も手伝いましょう」
シャニも後で合流することになった。
やることはそこに繁殖した苔や水草の除去だったな。
俺は服を脱いで溜め池に入る。
最近暑くなってきたからな。
冷たい水が気持ちいい。
泳ぎながら水草を摘んだり床を擦っていると作業はすぐに終わってしまった。
「グルル。慣れてきたな。助かった」
「シャニが来る前に終わっちまったな。他にやることはないか?」
「ならばこれを試して欲しい」
デュパは水の中に潜った。何やら水中で作業をしているようだが、すぐに出てきた。
その手には何かを握っている。
「貝か?」
「そうだ。先日まで養殖は上手くいっていなかったのだが、最近になって大きくなりはじめてな」
へー。魚、エビの他に貝の養殖にも成功したか。
しかもデュパが見せた貝は一種類だけではない。
これは地球でも良く似たものを見たことがある。
ムール貝に牡蠣、サザエにハマグリだ。アワビなんかもある。
海水に生息するはずの牡蠣やサザエが淡水で育てられるのも謎だが、ここは異世界ですし。
深いことは考えても仕方ないだろ。
「へぇ、美味そうだな」
「グルル、これは私達の好物の一つでな。だがまだ味を試していない。それとこの中には体に毒を溜め込むものもある。村民達に食べてもらう前に試してみないか?」
毒味係かよ。でも貝は好きだからな。
食べてみたいってのも本音ではある。
よし、せっかくだからシャニにも食べさせてあげよう。
たしかシャニは生っぽいものはあんまり好きじゃなかったな。
彼女のために焼き貝も用意してあげることにした。
ちなみにデュパは魚や貝は生で食べるのが当たり前のようだ。
貝を焼いていると香ばしい香りがしてくる。
「ライト殿、お待たせしました。いい香りですね」
「シャニか、早かったね。デュパの手伝いは終わったんだ。良かったら味見してみないか?」
「頂きます」
――ブンブンブンブンッ!
ははは。めっちゃ喜んでるじゃん。
「グルル、使うか?」
「気が利くな。ありがとな」
デュパは自宅から醤油を持ってきてくれた。
もう塩の心配はないからな。味噌も醤油も今では充分なストックがある。
それでは。俺は牡蠣の殻を外し、醤油を垂らして一口。
おぉ、この濃厚な旨味。地球で味わう牡蠣そのものの味だ。
これは美味いなぁ。
俺の横ではシャニが焼けたハマグリをホフホフと頬張っていた。
「あちゅいけどおいひいれふ」
「ははは、何を言ってるのか分からんぞ」
でも尻尾の動きから美味いということは伝わってきた。
これは食の幅が広がるぞ。
穀物はナババという実の粉がパンになる。
肉は狩りでウサギ、猪の肉が食べられる。野生の獣なので脂の乗った肉っていうよりジビエ料理って感じになるけど。
魚はイワナのような種類を養殖している。塩を振ってから焼くと美味いんだよな。
そしてこの貝である。
これはラベレ村の特産として広めてもらうことにしよう。
「グルル。だが村民が増えてきたからな。この溜め池では充分な量が獲れん」
とデュパは手入れしてきた溜め池を見つめる。
実はそれについては問題無い。
もうすぐそれも含めて解決する予定なのだ。
「あのさ、デュパも知ってるだろうけど、今俺達は滝の湖に村を移そうと思ってるんだ。そして村の一部を湖と隣接させる」
「グルル?」
どうやら異形は水には入って来られないようだ。
ならさ、村を囲う一辺の壁だけでも湖の中に建てたとしたら?
今ラベレ村は東西南北の四方から異形に襲われている。
例えば壁の南側を湖の中に建てたとしよう。
それだけでも南は異形から守る必要は無くなる。
他の三方だけに守りを集中させることが出来る。
「つまりはさ、防衛に回す人員を増やすことが出来るようになるのさ。守るなら自分達に有利な地形を利用しろってな」
そんなことを孫子も言ってたような言ってなかったような。
「グルル! 村の中に湖とは!? 養殖の規模が拡大するな!」
「だろ? それだけじゃなくて、今の人数でもっと村を広くすることだって可能なんだ」
それが俺が湖の側に村を移そうとする理由だ。
他にも森の奥には俺達がまだ見つけてない資源もありそうだしな。
デュパには今後の計画を話し、そして今はとにかく魚や貝を増やしていくことをお願いした。
「グルル! 養殖のことは任せろ! 湖に着くことを楽しみにしている!」
「ははは、頼んだぞ」
デュパと別れ、俺達は自宅に戻ることにした。
「ライト殿、そんなことを考えていたのですね」
とシャニが行きと同様、俺の手を握ってきた。
それだけではなく彼女はこんなことも言い始めた。
「提案があります。異形達から身を守るためには壁に頼るだけではいけません。こちらから打って出る必要があります」
打って出る? それって近くで戦うってことか?
そんなの危ないじゃん。許可することは出来んぞ。
「シャニにそんな危ないことはさせられないよ。駄目だ」
「心配はいりません。相手が異形といえど私には技術があります。それに全てを倒すつもりはありません。一撃を与えて逃げる。そして隠れて更なる一撃を与える。数を減らしつつ、攻撃を分散させることが出来ます」
そういえばシャニって対異形の暗殺部隊を率いていたんだったな。
でも率先して異形と近接戦闘をしてくれる村民なんているのかな?
「それについてもお話があります。はっきり言ってしまえば恐らくこの村の戦闘力は王都が抱えていた全軍事力にも匹敵……いえ、それ以上でしょう。一人一人が熟練の兵士以上の力を持っています」
これについては俺も知っている。
リディア達はもちろんだが、村民達は満足度が上限に達する度にステータスも上がるのだ。
前回レベルが上がり鉄壁を建てられるようになった。
その時にざっと村民のステータスを見てみたのだが、力、魔力共に高いもので60もの数値を叩き出していた。
シャニはかつて王都で最強と言われていたそうだ。
その彼女の素のステータスが80とかだったな。
それに近い力を今の村民達は持っている。
うーん。でもなぁ、やっぱり恋人を危険な目に会わせるのも……。
「約束してくれるか? 絶対に怪我をしちゃ駄目だ。もし危ないと思ったら……」
「そうならないようしっかり訓練させます。それに私は死にません。死ぬ時はあなたの胸に抱かれてと決めていますから」
決意は硬いみたいだな。
なら俺が言うことはないだろう。
「任せるよ」
「ありがとうございます」
――ブンブンブンブンッ!
シャニは喜んでいた。でもあんまり心配させないでくれよ?
そして家に戻り、いつものように夕食を食べる。
その後はみんなでワイワイと今日の出来事を話していると……。
「ふふ、今日はシャニの日だったわね」
「うふふ、楽しんでくださいね」
「はい、リディア姉、アーニャ姉、ありがとうございます」
そういえば今夜はシャニとエッチする日だったか。
リディア達が自室に向かうとシャニは尻尾を振りながら服を脱いだ。
俺はベッドに横になりシャニを誘う。
彼女も期待していたのだろう。
彼女の股関ははち切れんばかりに大きくなっていた。
「おいで」
「はい」
しっかりとシャニと愛し合う。
やはりフタナリちゃんは最高だな。
男と女の快感を同時に味わえる。
そしてリディア達同様、シャニも感じやすい体質のようだ。
俺が果てるまでに何度もいってしまう。
愛し合った後、シャニは俺の胸を枕にこんなことを言ってきた。
「それにしてもあの貝は美味しかったですね。リディア姉達にも食べさせてあげたかったです」
しかしシャニの言う通り、あの貝は絶品だった。
もう少し食べても良かったかもな。
「あんっ。そんなところを齧ってはいけません」
物足りない俺は寝る前にもう一度シャニのアワビを食べることにした。
◇◆◇
☆次のスタンピードまで残り108日。
☆総配偶者満足度:82361/1000000
リディア:25410/1000000
アーニャ:26854/1000000
シャニ:30052/1000000
☆総村民満足:12541/1000000
・総村民数:198人
☆現在のラベレ村
・鉄壁
・敷地面積:32000㎡
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ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!
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