謎の能力【壁】で始まる異世界スローライフ~40才独身男のちょっとエッチな異世界開拓記! ついでに世界も救っとけ!~

骨折さん

文字の大きさ
上 下
54 / 93
石の壁の章

仕事の割り振り

しおりを挟む
 ――ピコーンッ

【遭難者が一定時間拠点内に滞在しました。遭難者を村民にしますか?】

 ベッドでリディア達とイチャイチャしていると、いつもの天の声が。
 俺はYESと念じ、晴れて犬人達は村民になったわけだ。
 まぁまだ寝てるだろうし、無理に起こして話を聞くわけにはいかんだろ。

 今は昼を過ぎたくらいだ。まだまだやらなくてはいけないことがある。
 
「よし、ちょっとお出かけするか」
「ふふ、デートのお誘いですか?」

 近くに美味しいカフェでもあったらいいんだけどね。
 残念ながらここは文明の滅びた世界だ。
 平原には背の丈くらいの草しか生えてないし、近くには俺達を殺そうとする異形がいるし。
 今思うと結構とんでもない世界に転移しちゃったんだな。

「違うよ。仕事さ。やることが増えたからね。俺達とデュパで相談しよう」
「はい! で、でもいつの間に私かラミア代表みたいなことになってますが、いいのでしょうか?」

 いいんじゃない? 村民の中で言葉が通じるのはリディアとアーニャだけだし。
 しかしデュパの言葉は分かるんだよなぁ。
 もしかしたら異形に襲われたことが関係しているのかも。
 
 リディア達はかつて異形に襲われ自我を失った。
 ここにいるエルフ、ラミアは全員そうだ。
 だがデュパ達は森で隠れるように住んでいて、異形に襲われることはあってもすぐに湖の中に逃げて難を逃れ続けてきた。

 他にも理由があるのかもしれんが、とりあえず俺の言葉を村民に伝えられるのはリディア、アーニャ、そしてデュパしかいない。
 だったらその三人が各種族代表になったほうが都合いいんじゃないかな?

「気にすることはないよ。アーニャはしっかりやってるし、村民もリーダーとして認めてるように見えるよ」
「そ、そうですか?」

 俺の言葉を聞いてアーニャは笑顔になる。
 彼女は自分に自信が無いところがあるからな。
 
 三人でリザードマンが住む溜め池付近の小屋に向かう。
 みんな蜥蜴顔なので見分けがつかんなぁ。
 でもデュパはリザードマンの中で一際大きな体をしている。
 だから分かるんだよね。

 小屋の中を覗くと子供のリザードマン達がコロコロと床に転がって遊んでいた。
 うーん、可愛い。蜥蜴でも子供は癒されるなぁ。

 俺の視線に気付いた子供と目が合った。

「クルルルッ。父ちゃん?」
「あぁ。デュパはいるかな?」

「あっち」

 と子供は外に出て溜め池を指差す。
 養殖の仕事はデュパ達リザードマンの担当だからな。
 子供に礼を言って溜め池に向かうとデュパは池に入って魚のチェックや無駄に増えた水草をむしっていた。

「頑張ってるな」
「グルルルッ。ライトか。どうした?」

「すまん、少し話したいことがあるんだがいいか?」
「行こう」

 デュパは溜め池から出て、自宅に招いてくれた。
 さっき遊んでいたデュパの子供は父親に遊んで欲しいのか、甘えた声でクルクルと鳴く。

「後でな。いい子にしているのだぞ」
「うん」

 息子は素直にデュパの言うことを聞いて二階に上がっていった。
 デュパは干し草と竹で編んだ座布団を用意してくれる。

「いい座布団だな」
「あぁ。エルフの職人からもらったものだ。いい仕事をしている」
 
 なるほど、リディアの次に助けたエルフのラルクのことだな。
 エルフだけではなく村民達は指示が無い時は協力して仕事をしている。
 矢を作ったり、狩りをしたり。 
 他にも空いた時間を使って王都でしていた家具作りや洋裁、調理など分担して行っている。

「そこでだな。今はざっくり仕事の分担を決めている状態だ。だがこれからもっと人が増える。ならどの仕事に、誰が、何人必要か、それぞれ決めていかないとって思ってね」

 今まで特にルールなんかは決めてなかったからな。
 あったとしてもざっくりしたものだ。
 なので仕事の割り当てと一日のスケジュールが必要になるだろう。
 ルールがあると秩序が産まれる。決まりがなく人が増えていけば余計な混乱を招くかもしれない。

「そうですね。確かに王都にも法律はありましたし」
「だよね。今はみんな仲良く暮らしてるけど、人が増えたらまとめきれないことも出てくるだろうし」
「グルルルッ。賛成だ。一族の中でも掟はあったからな」

 掟や法律ってほど仰々しいものじゃなくていいんだけどね。
 みんな俺の考えに賛成だったようで、割り振りやスケジュール管理はすぐに決まった。

☆総村民数44人。各仕事の人員配置。
・農業:二割の村民に担当してもらう。雑草の除去、作物の収穫が主な仕事。
・狩猟:一割の村民に担当してもらう。肉はまだ生産出来ないので狩りは継続。
・服飾:一割の村民に担当してもらう。狩りで得た毛皮を服、寝具に加工。
・製造:三割の村民に担当してもらう。食事作り、竹を使った生活用品や家具の生産、武器の生産も含む。
・探索:一割の村民に担当してもらう。森を探索し遭難者を見つける。他に村にとって有効な動植物がいたら取得、または報告してもらう。
・村の整備:一割の村民に担当してもらう。壁の痛み、櫓の補修を見つけ修繕、または報告してもらう。
・養殖などその種族にしか任せられない仕事は要相談。

☆一日の流れ。
・起床:7時。製造に携わる村民は1時間前に起きて朝食を作る。
・仕事開始:8時。割り当てられた仕事をこなす。
・休憩:12時。昼休みも兼ねて13時まで。
・午後の仕事:13時から15時まで。
・自由時間:15時から18時。休んでも良し。仕事をしても良し。各々自由に過ごして良い。ただし村の外には出ないこと。
・異形対策:月が昇る時間は日によって変わるが大体19時から。異形を撃退するまで続く。戦える村民は全て参加すること。
・就寝:こちらも日によって変わる。異形を撃退出来た時間次第。明日も早いのでさっさと寝ること。

「うーん、我ながらざっくりだな」
「ふふ、いいんじゃないですか。これがラベレ村の法律ですね」
 
「法律ってほどのものじゃないだろ。まぁみんながこれを守れば動きやすくなるんじゃないかな」
「ねぇライトさん。ちょっと聞いてもいいですか?」

 とリディア。どうしたのかな?

「あのですね。製造に三割も配置する理由って何ですか?」
「それね。やっぱりこの村を守るには武器が必要だろ。それに食事だって製造担当の仕事だ。一番大変な仕事だからね。だから一番多く人員を配置する必要があるのさ」

 まぁ、人がもっと増えたら製造を調理、武器製造、家具なんかに分けるのもいいかな。
 人の少ない今はこれで対応しよう。
 
「細かいところは後に変えることになるさ。今はこれで運営してもらおう。もし村民に不満があるならすぐに教えてくれよ」
「はい!」
「かしこまりました!」
「グルルルッ! 任せておけ!」

 ははは、みんな気合いが入ってるな。
 そうそう、これは言ってなかったな。

「盛り上がってるところ悪いがもう一つだけ。あのさ、異形の襲撃は毎日ある。だが月に一回異形が来ない日があるだろ?」

 新月の夜だ。その日だけは絶対に異形の襲撃がない。

「グルルルッ。それが何だというのだ?」
「分からないか。月に一回だけだが安心して夜を迎えられるってわけだ。だから新月の一日は何もするな! 自由に過ごしてくれ! 好き勝手にしていいぞ!」
「お休み!? 何をしてもいいんですか!?」
「楽しみです! ふふ、今から何をするか考えなくっちゃ!」

 全員で休める貴重な日だ。
 その日ぐらいぐーたらしてもいいよな?
 こうしてラベレ村のルールと安息日が決まった。


◇◆◇


総配偶者満足度:8524/100000
リディア:4319/100000
アーニャ:4205/100000

☆総村民数44人
・エルフ:13人
・ラミア:8人
・コボルト:3人
・リザードマン:20人

☆総村民満足:1069/10000

☆現在のラベレ村
・石壁
・敷地面積:5000㎡

☆設備
・家屋:10棟
・倉庫:2棟
・櫓:4基
・畑:1000㎡
・露天風呂:2つ
・水路
・養殖場:運用開始
・金剛石の矢
・金剛石の槍

☆生産品
・ナババ:パンの原料。
・ミンゴ:果物。
・ヤマイモ:生食可。ねっとりしてる。
・茶葉:薬の原料。嗜好品としても優秀。
・カエデ:樹液が貴重な甘味となる。
・豆:保存がきく。大豆に近い。
・キャ采:葉野菜。鍋にいれたい味。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 ここまで読んで頂き誠にありがとうございます!
 お気に召しましたらお気に入り登録お願いいたします!
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

処理中です...