謎の能力【壁】で始まる異世界スローライフ~40才独身男のちょっとエッチな異世界開拓記! ついでに世界も救っとけ!~

骨折さん

文字の大きさ
上 下
27 / 93
竹の壁の章

引っ越し 其の一

しおりを挟む
「ご、ご主人様。朝です。起きて下さい」

 目を開けると昨日新たに村民になった蛇人のアーニャが顔を赤くしていた。
 
「うーん、おはよ、アーニャ。早いんだね。でさ、ご主人様は止めて欲しいんだけど」
「申し訳ありません。ご主人様は私の命を救ってくれた恩人ですので。メイドとしての経験を活かしご主人様を支えていきたいのです。で、でも寝る時は寝間着を着たほうがいいと思いますが……」

 アーニャの顔が赤い理由が分かった。
 隣で裸のリディアが寝ているからだ。
 
「リディアさんはご主人様の奥様なのですか? ならばリディア様とお呼びしないと……」
「それは止めてあげてくれ。リディアは恋人ではあるが結婚はしていない。畏まる必要はないよ」

 新しい住人であるアーニャを見つけたその翌日。今日も雨が降っている。
 アーニャの他にラルクがエルフを一人見つけてきてくれた。
 現在の村民数は俺も含めて6人となる。
 
 いよいよ狭くなってきたな。
 拠点を拡張するのは簡単だが、やはり今後に向けて地盤の強い土地を見つけないと。
 
「二人にはまだ説明してなかったな。この土地は雨に弱く、異形の襲撃に耐えられない可能性がある。だから今日は全員で新しい拠点となる土地を見つけたい。あまり時間が無い。なるべく今日中に見つけ移動しようと思う」
 
 ――スッ

 ん? アーニャが手を上げたぞ。

「ご主人様、発言してもよろしいでしょうか?」
「ご主人様は止めて欲しいんだけど……。まぁいいか。何か心当たりがあるのか?」

「はい。ここが王都があった付近だとすると、近くにある川はレナ川だと思います。川から少し遠くなりますが、小高い丘があるはずです。岩が多くてここよりは少し不便かもしれません。ですが近くに泉もあるはずです」
「マジか!? アーニャ、そこに案内してくれ!」

 ここにきて候補地を知っている者に出会えるとは!?
 ならばここは作業の分担をするべきだな。
 
 捜索には俺とアーニャ。
 リディア達エルフはここに残って引っ越しの準備を進めてもらうことにした。

「あーん、私も行きたいですー」
「わがまま言わないの。あまり時間が無いって言っただろ」

 リディアには優先的に持っていくものを伝えておく。
 ナババなどの木の実は森で採種出来る。肉も狩りをすればまた貯蔵出来るしな。
 それよりも服の材料になる毛皮、それを加工した生活用品は優先的に持っていくことにした。
 もちろん弓など異形と戦う武器も最優先だ。

「俺達も一度戻る。6人で持っていけるだけの荷造りをしておいてくれ」
「はい……。早く帰ってきて下さいね」

 リディアは名残惜しそうに俺達を見送ってくれた。
 雨が降りしきる中、アーニャと二人で新たなる拠点を探しに向かう……のだが。

 ――バシャッ ズルッ

 くそ、かなりぬかるんでるな。
 思うように歩けない。
 やはりこの一帯は地盤が弱いんだろうな。

「ご主人様、大丈夫ですか?」
「あぁ。あのさ、やっぱりご主人様よりは名前を呼んでくれたほうが嬉しいかな?」

「そんな畏れ多いことは出来ません。で、でもご主人様が本当にお望みなら……。努力してみます。ラ、ライト様……」
「様はいらないんだけどな。まぁいいか」

 少し打ち解けてきたかな? 
 雨の中、何でもない会話を楽しみつつ先に進む。
 アーニャの身の上話になったが、彼女の家は貧しく、親を助けるために成人した後すぐに家を出たらしい。
 だが蛇人独特の美醜の価値観により、蛇人社会では仕事先が見つからず困り果てていた。
 そこに運良く魔貴族のアスモデウスって人に拾われてメイドとして働くことになったと。

「そうだったんだ。苦労したんだね」
「はい。ですが屋敷では生きる知恵を学べました。もしよろしければライト様のお世話の他にも仕事をやらせてもらえませんか?」

 彼女は裁縫が趣味で服なんかは自分で作っていたと。
 他にも染色にも興味があり、森で染料となる植物の勉強もしたんだそうだ。

 へー、何気に才女だな。
 
「美人なだけじゃなくて、何でも出来るんだね。アーニャはすごいな」
「そ、そんな。美人だなんて……。ラ、ライト様! 良かったら私に乗りませんか? 私は蛇人なので悪路には強いんです!」

 とアーニャは照れを隠すように言ってきた。
 乗るって、アーニャに乗るの?
 だが確かにアーニャは蛇の下半身をしている。
 シュルシュルと地を這うように進むので俺が歩くより圧倒的に速い。
 ここは甘えちゃおうかな。

「お願いしてもいい?」
「はい! もちろんです!」

 アーニャが背を向けてくれた。
 俺は彼女の蛇の下半身に跨がるように乗ってみる。
 なんかおんぶされてるみたいだな。
 ん? 服の隙間から彼女の背中の肌が見えた。 
 赤く変色している。痣があるんだ。これが蛇人にとっての美醜の基準になるのか。
 異種族ってのはよく分からんな。

 ――ツンッ

「ひゃんっ!?」
「ど、どうした!?」

 アーニャが変な声を出した!?
 何かが背中に引っ掛かったとか?

「ごめん、痛かった?」
「い、いえ、大丈夫です。それでは行きますので掴まっててください」

 彼女はシュルシュルと蛇の下半身を這わせ地面を進む。
 おぉ、かなり速い。これは便利だ。

 どうやら蛇の下半身は強い筋肉で構成されているようで俺が乗っても何ともないみたいだ。
 ラミアってこんなことも出来たんだな。

「はぁはぁ……。あんっ……」

 ん? な、何故かアーニャからは色っぽい声を出し始めたんだが。
 
「ど、どうした? 一度止まろうか?」
「い、いえ、問題ありません……。ひぃんっ!?」

 ――ドサッ ピクピクッ

 ってアーニャが倒れた!? 明らかに大丈夫じゃないだろ!?

「アーニャ! 大丈夫か!?」

 と雨が降りしきる中アーニャを抱き起こす。
 彼女は惚けた顔をしていた。いっちゃった顔をしている。
 でもなんで? そんなこと一切してないぞ。

 少し休むとようやくアーニャは落ち着いてきた。

「一体何があったんだ?」
「も、申し訳ございません。実はライト様のあそこが私の大切なところに当たっておりまして……」

 ん? 大切なところって?
 も、もしかして……。
 いや間違いないだろう。ラミアの生殖器は前ではなく後ろにあるらしい。
 俺が乗っていた場所に大切なところが当たって気持ち良くなってしまったようだ。
 
「ごめんな、やっぱり歩こうか?」
「い、いえ! 大丈夫です! 当たらないように私も気をつけますから! さぁ、向かいましょう! 乗ってください!」

 と俺は再びアーニャに跨がることに。
 だが目的地に到着する前にアーニャは何度も達してしまい、その度に倒れることになる。
 なんか歩いた方が早かったんじゃね?なんて思ったがアーニャには伝えないでおいた。

しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

処理中です...