謎の能力【壁】で始まる異世界スローライフ~40才独身男のちょっとエッチな異世界開拓記! ついでに世界も救っとけ!~

骨折さん

文字の大きさ
上 下
23 / 93
竹の壁の章

それぞれの仕事

しおりを挟む
 二人のエルフを助けた次の朝。

「Yo¬ee」

 謎の言葉で俺に話しかけてくる。
 二人は笑顔なので悪口を言っているのではないと思う。多分。
 リディアとは言葉が通じるのだが、この二人の言葉は理解出来ない。
 リディアと二人の差は何なんだろうか? 彼女の話ではここにいる全員がこの世界の共通語を話しているらしい。
 
 まぁ、意志疎通はリディアを介せば問題無い。
 
「ふふ、おはようございますって言ってるだけですよ」
「そ、そうか」

 どうせ俺の言葉も通じないんだ。
 思いっきりいい笑顔で手を振っておいた。
 さてと、今日も色々とやることがあるぞ。
 四人で一緒に朝食を食べながら話すことにした。

 今日の朝食はリディアとミァンが用意してくれた。
 竹壁は食器としても利用出来るからな。
 細くて長い竹はコップ、大きくて太い竹は食器に加工してある。
 今日の朝ごはんはパンが出てきた。いつの間にか作ったのか。

「ミァンは王都では食堂で働いていたんです。酵母がないからふっくらしてませんが、きっと美味しいですよ」
  
 おぉ、本職の方でしたか。これはありがたい。
 他にも肉と野草が入った具沢山のスープ、カエデの樹液を入れた甘いお茶、デザートまであった。
 カエデの樹液はまるでメープルシロップのような味がする。それをミンゴにかけて食べるそうだ。
 
「わぁ、すごく美味しいです」
 
 リディアはシロップをかけたミンゴを気に入ったみたいだ。
 とてもいい笑顔をしている。
 
「cesks фayyb」

 食事を終えるとラルクが話しかけてくる。
 リディアの話では彼は雑貨屋を営んでいたそうで手先が器用みたいだ。
 竹を使って生活雑貨を作ると提案してきた。
 
「すごいな。それじゃお願いしようか」
「ふふ、任せてくれって言ってます」

 仲間が増えたことで、やれることの幅が広がった。
 ちなみにこんな感じで分担を決めることにした。

・朝。8時起床。
 俺とラルクは風呂から水を抜いて掃除した後、新しい水をためる。
 リディアとミァンは朝ごはんを作る。
 朝食を摂ったら四人で森を捜索する。期限は今まで通り午後2時までとした。

・2時から7時。
 拠点に戻り体を休める。自由時間ではあるが、仕事をしても構わない。
 ここでラルクは竹細工の他、家具を作ってくるるそうだ。
 俺は夜の入浴のために風呂桶に水を張って石を焼いておく。他にも雨が降っても入浴出来るよう、簡単な屋根を作ることにした。
 リディアとミァンは夕食の準備だ。

・7時から9時~11時。
 異形の襲撃に備える。早い時で襲撃は1時間程度で終わることもある。
 だが前回大群が押し寄せた時は、気がついたら深夜12時を回っていた。
 俺達が生き残るための最も大事な時間だ。

「……とこれが一日の大まかな流れになるだろう。他にも君達がしたいことがあるなら遠慮無く言ってくれ」

 リディアが二人に伝えると、にっこり笑って頷いてくれた。
 彼らの満足度を上げることが俺の力にもなるからな。

 今度はラルクとミァンが謎の言葉でリディアに話す。
 お? 早速リクエストか?
 だがミァンの言葉を聞いたリディアの顔が真っ赤になったぞ。
 どうしたんだろうか?

「あ、あのですね。したいことが3つ程あるみたいです。出来たら拠点の中で栽培したいものがあるって」

 いいんじゃないか? 拠点を広くしたことで、ある程度ではあるが土地に余裕はあるし。
 ミァンのリクエストらしいが、カエデの木を植えたいとのことだ。
 シロップを作りたいんだな。これは俺も賛成だ。

「いいよ。森に行ったらカエデの若木を見つけようか」
「はい! 伝えておきますね!」

 リディアの言葉を聞いたミァンは安心したように笑顔を見せる。

「次ですがラルクさんがナイフを欲しいと言ってます。黒曜石を多めにストックしてくれると助かるって」
 
 なるほど、職人さんだもんな。
 仕事道具は必要だろう。
 今あるナイフ……と言っていいのか分からんが、手持ちの黒曜石は料理や獣の解体で使っている。
 あまり数の余裕が無い。

「うーん、約束は出来ないけどさ、なるべく見つけられるよう努力するよ。時間が出来たら皆で川に行ってみよう」
「はい、伝えておきますね」

 ラルクも黒曜石が簡単に見つかるとは思っていないようで、納得した顔をしてくれた。
 
 では最後のリクエストを聞くとするか。
 
「あ、あのですね。二人は恋人同士なのですが……」

 らしいね。昨日そんなことを言ってた気がする。
 だがリディアが顔を赤くする理由が分からんぞ。

「久しぶりにしたい……そうなのですが、ご迷惑ではないかって」
「したいって何がしたいんだ?」

 とセクハラじみたことを聞いてみる。
 リディアはMっ気が強いようなので、つい苛めたくなってしまう。
 うりうりー、何がしたいのか言ってみろよー。

「エ、エッチがしたいって……」

 だよねー。二人も恋人なら仕方ないだろう。
 狭い拠点ではあるが、二人の声を聞かないよう努力しよう。

「いいよ。自由時間になら好きにして問題ないから。二人に伝えてくれ」
「そ、そんな……。恥ずかしいですぅ」
 
 とセクハラ伝言ゲームをやらせてみる。
 リディアってかなり大胆だと思うんだけど、自身は恋愛慣れしていないらしく、こういった話題も初めてらしい。
 
 うーん、仕方ないな。
 
「リディア?」
「な、何です……。って、んー!?」

 二人の前でリディアを抱きしめてキスをする。
 驚いたようで初めは抵抗していたが、次第とうっとりした顔で舌を絡め始めた。
 
 ラルク達も驚いた顔をして俺達を見つめている。
 二人には言葉が通じないが、一応言っておこう。

「俺達を見れば分かるはずだ。リディアは俺の恋人でね。夜は好きにさせてもらう。だから君達も自由に楽しんでくれ」

 最後にウインクをしておく。
 二人は安心したようにお互いの手を握りしめていた。

「ライトさぁん。もっとぉ」

 とリディアは火がついてしまった模様。
 二人が見ているにも関わらず、俺の口を吸い続けた。

「ぷは。こら、これから森に行くんだろ。さぁ、お仕事だ」

 絡みつくリディアを離し、俺達は初めて四人で森に向かった。


しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...