謎の能力【壁】で始まる異世界スローライフ~40才独身男のちょっとエッチな異世界開拓記! ついでに世界も救っとけ!~

骨折さん

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竹の壁の章

言葉の壁

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「んん……。ライトさん……」

 可愛い寝言を言いながらリディアは俺の腕枕で眠っている。 
 昨日は森でエルフを助けた後、かなり盛り上がってしまった。
 
 さてと、そろそろ起きないと。
 恐らくエルフ達の呪いは解けているはずだ。
 リディア以降、初めて見つけた生き残り。
 きっと俺達の仲間になってくれるだろう。

 リディアのおでこにキスをすると彼女はにっこり笑って目を覚ました。
 
「おはよ。エルフ達の様子を見にいきたい。リディアも準備してくれ」
「ごめんなさい、ちょっと先に行ってて下さい。まだ腰が抜けちゃってて。ライトさん、酷いですよ。あんなに舐めるなんて」

 何を舐めたのかは秘密だ。
 昨日の余韻が残っているのか、彼女の腰はまだ痙攣している。
 俺がやり過ぎたのか、リディアが感じやす過ぎるのか。
 とにかく今は少し休ませてあげよう。

 一人、寝床を出て服を着る。
 エルフ達は隣の小屋で眠っているはずだ。
 目覚めていたら、出来るだけもてなしてあげよう。
 
 そう思いながら小屋の中を覗くと……。

「Лεεεεー!?」
「μεθ μθμー!」

 ――ボフゥッ

 エルフ達は目覚めていたが、訳の分からん言葉を発し枕を投げつけてきた!?
 な、なんだ? 一体何があった?
 
 エルフ達の表情だが、明らかに怯えている。
 二人は抱き合いながらガタガタと震え、女に至っては涙を流していた。

「お、落ち着いてくれ。俺は君達の味方だ」
「JamsΨ、scgaф!」

 また謎の言語で俺を威嚇してきた。
 な、なんなんだよ。言葉が通じないのか?
 でもおかしいぞ。リディアは目覚めたら俺の言葉を理解していた。だが彼らの言葉は一切理解出来ない。

「な、何があったんですか!?」
「リディア! た、助けてくれ!」

 騒ぎを聞きつけリディアがヨタヨタと歩いてきた。
 エルフ達だが、リディアの姿を見た瞬間、安堵したように見えた。

「大丈夫ですよ。この人はライトさん。異邦人ですが、信頼出来る方です」
「ξ^μμη? avviщ」

 リディアの言葉は通じるみたいだ。
 エルフ達は次第と落ち着きを取り戻す。
 でも何故俺の言葉が通じなかったのだろうか?
 
「なぁリディア。この二人ってちゃんと言葉を喋ってるのか?」
「え? どういうことですか? ちゃんと公用語で話してますよ。ライトさんだって同じ言葉で話してますけど……」

 リディアは不思議そうな顔をしている。
 つまり俺達は同じ言葉で話しているが、意味が通じるのはリディアだけということか?
 これはどうしたものか。リディアの言葉の通りだとエルフと意志疎通を図るにはリディアを介さなければならない。
 通訳みたいなもんか。

「すまないが、俺は彼らの言葉が理解出来ない。だからリディアが彼らに伝えてやって欲しい」
「そ、そうなんですか? 分かりました」

 俺達は小屋を出て焚き火を囲みながらお茶を飲む。
 リディアの話では彼らは恋人同士であり、リディアと同じく王都で生活していたと。

「覚えているのは異形に襲われる場面だけだそうです。目が覚めたらここにいたと」
「そうか。リディアと同じだな。なぁ、彼らに伝えてやってくれ。君達さえ良ければ、ここで一緒に異形と戦って欲しいと。家も用意するし、食糧の心配もないってさ」

 リディアはエルフ達に話しかける。
 エルフ達は彼女の言葉を聞いて笑顔で頷いてくれた。

「二人ともここに居たいそうです!」
「そうか! ありがたい! でさ、彼らの名前は? 言葉が分からなくても名前くらいは知っておく必要があるだろ?」

 リディアは男がラルク、女がミァンだと教えてくれた。
 彼らの参入で戦略が倍になったな。
 俺は二人に右手を差し出す。これから共に異形と戦う仲間なんだ。
 言葉は通じなくても友情くらいは仕草で伝えることが出来る……と思ったのだが。

「yaaaμー」

 彼らは俺の手を取らなかった。
 それどころか、深く頭を垂れる。
 っていうか、土下座したぞ。

「リディア……。一体何を言ったんだ?」
「あ、あのですね。なんか変に伝わっちゃったみたいで。ライトさんのことを神の遣いだと思ってるみたいです」 
 
 神の遣いって。
 まぁ、変な神様に呼び出されてここにいるのには違いないけどな。

「や、止めてくれ。俺は普通の人間なんだからさ。そ、そうだ! 今日から君達もここに住むんだったら小屋を用意しなくちゃ! せっかくだし、拠点も少し広げてみるか!」

 拠点に住む人数も倍になったことですし。
 少し広めに作り直してもいいだろ。
 
【壁!】

 ――ズゴゴッ!

 15メートル四方を壁で囲う。
 四人ならこれくらいでいいだろ。
  他にもラルクとミァンのために大きな小屋を作ってやろう。 
 ついでに俺達の小屋も作り直しておいた。

「avvvva!?」
「kkunl! viaos!」

 二人が驚いてるけど。
 何て言っているのだろうか?

「あ、あの、二人は神の御業だって言ってます。他にもライトさんに忠誠を誓うとか……」
「止めさせてくれ……」

 どうやらえらい誤解をされているようだ。
 逆に言葉が通じないからこそ、俺に神性でも感じているのか?
 
 とにかく俺はようやく新しい仲間に出会うことが出来た。
 過酷なこの世界で共に生きる仲間をな。


 ◇◆◇

☆現在の村民数3人。
・リディア:村民満足度6/50
・ラルク:村民満足度1/50
・ミァン:村民満足度1/50
・総村民満足度:8/50

☆現在の物質
毛皮25枚:様々な獣から剥いだ物。保温性が高い。
・燻製肉:200キロ程度貯蔵してある。リディアの精霊魔法により腐敗を遅らせている。貴重なタンパク源。
・ミンゴのジュース:樽に一杯程。ミンゴを絞り水で薄め、さらに細かくした茶葉を混ぜている。
・種芋:十個程度保存してある。味はヤマイモに近い。
・ナババの実:100キロ程度貯蔵。この世界のパンの原料となるが、加工に時間がかかるらしく実のまま保管してある。
・塩:少量
・カエデの樹液:2L程
・毛皮の下着:ライト、リディア共に三着ずつ。
・毛皮の布団:敷き布団、掛け布団共に四対ずつ。 
・竹槍:20本。地球の竹より頑丈であり、そう簡単に折れることはない。
・弓:リディア作成。現在庫は5丁。
・矢:リディア作成。300本。

☆現在の拠点
・竹壁
・225㎡(15m×15m)

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