私は国籍・戸籍がない

mhiray

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4.手続き

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そして、そのーー特別な存在。が今後の生活に係わるとは知らず、私は、小学校6年を迎えた。

 ある日祖母が家へ来た。
 
 「中学校の手続きしに、市役所行くよ。」

 (中学入るのに手続き必要なの?)

と思いながらも私は、
 
 「分かった。」

 市役所に到着するなり、戸籍課担当者と市議会議員が、そこにいた。

 「お待ちしておりました。どうぞ、おかけください。」

 そのまま席に座り、また難しい話が繰り広げられた。

 祖母、「中学校の手続きまでしていただいて、本当にありがとうございます。東京ではここまで親切にして下さる方は居なかったので、心から感謝します。」

 私は何も出来ずただただ隣に座って、黙々とやりとりを聞いていた。
 この頃から、徐々に感じ始めた。

    ( 私って問題児なの?)

  そして市議会議員と戸籍担当が言った。

 「これからの手続きの方法を紹介したいと思います。みささんの今後の生活にも関わってくる問題です。早急に対処して、戸籍を取得しましょう。」

 祖母、「そうですねぇ。一刻一刻と迫っていますからね…。この子のお母さんが動けば早い話なんですが…」

 「仕方ないですよ。旦那さんから逃げて来たんです。ほかに手立てはないか探って行きましょう。」
 
 祖母、「宜しくお願いします。」

 私は、どんな手続きが必要なのかなと思いながらも私は、聞かなかった。
 聞いてはいけない様な気がして…。

 その日、中学校への入学の手続きを済ませ、
 「これで中学校は心配ないわね。」

 私、「うん…トリマー無理かもね。」

 そう。中学校へ入学が出来てもトリマーの専門学校へ行けるか分からず、祖母も言葉を飲み込んだ。
 
 そして月日が経った、確か寒い時期。
祖母から、「家庭裁判所に、4人で話をしに行くわよ」
 
 と言われた。

 (またかよ…なんかバタバタしてない?疲れて来たな)

  まだ小6だった私は、振り回されてばかりで徐々に怠さを感じて来ていた。毎回難しい話。毎回私には理解出来ない話。
 小6ながらも役所の人間の対応の悪さにこの頃から気付き始めた。

 家裁当日。

 「この子が、戸籍無い方ですね?」

 「はい。宜しくお願いします。」

 家裁、「では、詳しく聞いてもよろしいでしょうか?なぜ、ミサさんが戸籍無いのかを。」

 父、「そうですね。内縁の妻、つまりミサの母には旦那がいまして、僕も最初は旦那がいると思わず、一緒になってしまいました。」
 
 家裁の人はメモを取って、はいはい。聞いていた。その前で私も黙々と聞いていた。

 父、「ミサを授かった時に、いきなり家に ドンドンドン ともの凄い勢いで家の扉を叩いて来て、扉を開けたら見知らぬ男性がいました。その時は何も知らず、どちら様ですか?と聞いたところ、ヴィーの旦那だよ!って言われて、その日は扉を閉めて内縁の妻に事情を聞きました。」

 母は、旦那が不倫をし、種違いの私の兄と姉を連れて逃げて来たと言う。そして、兄と姉はフィリピンに送り、母は日本へ戻って、当日働いていたスナックで父と知り合ったというものでした。 
 
 一緒に住むようになり、母は父に旦那がいると言わず兄達の存在も隠していた。その事実を知った父は、母とは別れず今の私が産まれた。

 母「離婚してくれない。ミサの存在知ったら、何されるか分からない。」

 父「怖い人で、〇すぞ!とも言われて、家を出てはまた、家を見つけ出されて。結局大家さんにも出て行ってくれと言われてしまいました。」

 (そんな怖い人がいるなんて…)

  家裁「なるほど。事情は良く分かりました。なので、この子の現在父であるヒロさんと認知が出来ないと言う事ですね。」

 「はい。」

 家裁「では、今後の手続きとしての話をしますね。今後の必要な手続きと言うのは、2通りあります。母であるヴィーさんが、旦那さんと離婚をする。これが一番早い手立てです。二つ目、ミサさんとヴィーさんの旦那さんに認知をしてもらい、私の子供ではありませんという証言してもらう必要があります。」

   父、「それが出来ないんです。離婚はしてくれないし、ミサの存在も知られてしまうので。」

 家裁「…そうなんですよね。ただ今の状況だといつまで経っても戸籍取得は出来ないと思います。この2通りの事を考えてはくれませんか?」

 父と母、祖母は、黙ってしまった。小6ながらも私は悟った。
 
 (これ簡単な問題じゃないんだ。どうすれば良いのかな?)

  と。その日はその2通りの事を聞いて私達は家裁を後にした。

 家へ帰宅して、3人で揉めていた。

 ーーここから狂い始める。私の人生が…
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