悪役無双

四季

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第7話

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 「坊ちゃまは旦那様や奥様、ウィリアム様の魔法をご覧になったことがありますよね?」

 「うん、ありゅよ」

 僕は今、セバスに魔法を教えてもらっている。といっても、使い方を教えてもらっているわけではない。魔法とは何なのか、どういうものなのかを教えてもらっている。
 使い方は3歳になったら教えてくれるらしい。

 「まず、魔法を使うためには魔力というものが必要なのです。この魔力というのは、世の中にあるエネルギーのようなものですな。
 この大気にも、大地にも、生物の中にも存在するのです。この魔力を使って魔法を使うのです。」

 「じゃあ、僕もう魔法使えりゅの?」

 「まあ焦らずお聞きください。
 わが国では生まれたとき、魔力封じをすることになっているのです。体の中の魔力というのは、生まれたばかりの赤子には負荷が大きいことがあるのです。ですから、魔力を作り出す器官を封じてしまうのです。
 3歳になると封印は解かれるようになっていますからご安心ください。」

 「むぅ、3しゃいまでおあずけ?」

 「残念ながらそうですな。
 ですが、お勉強は今からでもできます。3歳までに覚えれば、他人より早く魔法を使いこなせるようになりますぞ。」

 「うん、がんばりゅ」

 なんだ、3歳までは絶対に使えないようになっているのか。それならセバスもあんなに悲しそうな顔とかしないでいいのに。みんな使えないよって教えてくれたらよかったのに。
 僕がわがまま言ったからかな?
 まあいいか。

 「坊ちゃまは、旦那様とウィリアム様の魔法をどう思われましたか?」

 「どっちもすごかった!」

 お兄様が見せてくれるのは水や火や光をだす魔法だ。
 お父様は、水でいろいろな芸をして見せてくれる。

 「しかし、先日旦那様がお庭でお使いになった魔法と、ウィリアム様がお使いになっている魔法は根本的に違うものなのです。」

 「どうして?兄さまもお水を出したりしてりゅよ?」

 「ほほほ、そうですな。しかし、それ以上のことはできないのです。ここら辺は少し難しいかもしれませんな。
 先ほど魔力はどこに存在するとご説明したか覚えておりますかな?」

 「えーっとね、僕たちの中とか、大地とか、いろんなとこ」

 「そのとおりですな。ですが、魔力にも違いがあるのです。自然に生まれる魔力と、生物が作る魔力は似て非なるものなのでございます。

 自然から生まれる魔力というのは、属性を持たないのです。そのため我々の体にもなじみません。しかし多少使うことはできます。そして、その無の魔力を変換して水を出したり、光を出したりするのです。これは、ウィリアム様がお使いになる魔法ですな。生活魔法、などと呼ばれておりますな。

 そして我々の体内で作られる魔力、これを使うのが固有魔法と呼ばれるものです。体内で作り出される魔力は属性を持ち、それぞれの体によくなじみます。だからこそ、大きい魔法や精密な魔法が使えるのです。

 属性というのは、火・水・土・風・木・光・闇が基本5属性+2属性となっておりますが、氷や炎など特殊な属性を持っている方もおられますね。属性の数は無限にあるともいわれておりますので未発見のものなどもありますな。

 属性というのは、人によって違うと申しましたが、持っている数も違います。
 平民ならば1種類で、2種類ならば多いほうです。
 貴族ならば2~3種類が平均的ですが、4種類持っておられる方もおります。5種類以上になってくると、100年か200年に一人、」

 「僕は?」

 「属性は5歳になると開示できますので、それまでの辛抱です。ですから、基本的には、3歳から5歳の間に生活魔法を、5歳からは固有魔法を学習するようになっております。

 ちなみに、旦那様は水・風・光・炎の4属性を、奥様は火・風・氷の3属性、ウィリアム様は炎・氷・光の3属性をお使いになられます。皆様属性には恵まれておられるのですよ。」

 なるほど、家ってチート一族なのか。光とかってなんか特別な感じがあるけどそうでもないのかな?
 僕も属性何になるのか楽しみだな。

 「特殊な属性や多くの属性を持っているということは、習得に多くの時間を要します。ウィリアム様も苦労なさっていようですよ。ですが、ウィリアム様は才能あふれるお方ですから、すごい速さで習得なさっているようですよ。」

 やっぱりお兄様ってすごいんだ。神様が加護くれたって言ってたけど、大丈夫かな?
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