なにそれ

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第1章

神様

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この話はきっとフィクションである。僕の母は、すごく綺麗で、すごく仕事が出来てかっこいい人だった、僕以外には。僕はダメなやつだった?そんなことない。勉強もできて、運動もできる。この世に完璧な人間がいないのは知ってる。でも、僕の母は、それを許さない。
テストの点数が悪いと怒られる。そんなのどの親だってそうだろ?でも、違う。90点だよ?学年1位だよ?これでは褒めては貰えない。全部100点じゃなきゃ、全部完璧じゃなきゃ。
「お母さん、おはよう。今日ね、友達と遊びに、、」
「ダメよ、頭の悪い友達と遊んだら、頭が悪くなるわ。勉強でもしてなさい。」
「はい、、。」
僕には自由などない。僕は母が嫌いだ。
昔は優しかったさ。ものすごく、綺麗な笑顔を見せてくれていた。でも父が亡くなった。仕事の帰りに信号無視した車に轢かれて、事故死だった。それは僕が生まれてすぐの話で、僕に父の記憶はない。
母が、悪い人では無いのは当然知っている。父が死んだ10年後のあの日、母から゛本当の笑顔゛は消えてしまったのだろうか。
母は、毎日働いていて、帰りが遅い。しかし、その隙に遊びに行くことは難しい。というかそもそも本当は友達なんて居ない。勉強をサボるための口実を作ろうとしているだけ。勉強をしなきゃいけない僕に、友達を作る余裕なんてなかったんだ。僕は1人で、地獄の日々を過ごしている。2月9日。あと10日後は僕の誕生日だ。母は祝ってくれるのだろうか。覚えていてくれるのだろうか。僕のこと、見えているのだろうか。
゛神様がいたらこの生活から解放してくれるだろうか。゛
2月15日。今日なにかおかしかった。
「おはよう、お母さん。」
「あら、おはよう」
「今日友達と遊びに、、、、行きたいんだけど。」
「わかったわ、楽しんでらっしゃい」
この世界に革命が起きたのかと思った。そして僕は思った。゛神様は本当にいたのだと゛
でも僕は友達なんていないから、いざ、遊びに行く許可が降りると何もすることが無い。でも今は神様が味方してくれている。思い切ってクラスの子が遊んでいるところに行ってみよう。
「すぐるくん、ぼ、僕も遊びに、ま、混ぜてよ!」
「おう!もちろんいいよ!」
「あ、ありがと!」
今日は本当についてる。最高に楽しい日だ。
゛神様、ありがとう゛
僕は今までの分、思い切り、飽きるほど遊んだ。
そして家に帰った。
夜になり、いつまで待っても母は、帰ってこなかった。
「仕事が忙しいのかな。」
今日は母の機嫌も良かったし、帰ってくるのが少し楽しみだった!

「母は死んだ」
10年前から重度の病気を患っていたらしい。医者からはもう治ることは無いと。
僕は祖母に引き取られた。祖母はすごく優しくて、なんでも買ってくれて、なんでも褒めてくれた。
誕生日も祝ってくれた。
すごく幸せな生活を送ることが出来た。
やっぱり゛神様゛は居たんだなと思った。
母は死んだ。やっと自由になれた。やっと笑顔で暮らすことが出来る。
゛本当の笑顔で゛
僕は頭が良く、礼儀もできて、真面目で優秀だったから、いい学校に入学することが出来た。入学後も友達が沢山できて、頼れる存在になった。僕はすごく幸せだ。でも何かの違和感が消えない。
「今の僕を見たら、母はなんて言うかな、やっぱりまた怒るのかな、、。それとも、、また昔みたいに優しく褒めてくれるのかな。」
「何も分からないよ、、。」
何も分からない。もう、母は死んだ。
僕を苦しめていた母が死んだ。それによって僕は自由になったと思った。でもそれは大きな間違いだった。母が死んでも自由なんてもんは手に入らなかった。手に入ったのは、ほんの少しの幸せと、無限の悲しみ。母の厳しさは最高の優しさだった。
゛神様゛なんていなかった。
゛神様゛は僕から両親を奪った。僕が欲しかった1番の幸せを奪った。
゛神様゛は゛神様゛を名乗る最悪の゛悪魔゛だった。
「あぁ、僕の本当の笑顔は偽物だった。」

「デュシェンヌの笑顔?なにそれ」


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