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9.リザードマン達の反応
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俺は目を覚ました―――はずだったのだが、何も見えなくて真っ暗だ。
……ああ、こんな事、前もあったな。
スライム形態の俺はこんな感じなんだっけ。
……って、それはつまり、今の俺はスライム形態になっているということか?
俺、今どうなっているんだ?
不思議に思った俺は、リザードマンへの擬態を試みる。
すると、次第に体が作られていくのを感じ、途中から目が見えるようになっていく。
そして、目に入ったのは、周囲を埋め尽くすリザードマン達だった。
「……おお、リザークの姿に戻ったぞ!」
そう一人のリザードマンが叫ぶと、「おおー!」と騒ぐリザードマン達。
……えっ、何これ、どういう事?
ここ、リーサの家だよな?
リーサも子供達もいるし、多分そうなんだろうけど、そんな家に満員電車並みに大勢のリザードマン達が詰めかけているのが意味が分からない。
状況がさっぱり分からないでいると、近くにいたリーサが声をかけてきた。
「リザーク、良かった、目が覚めて」
「……心配をかけたな。でも、このリザードマン達は一体……?」
「みんな、リザークを心配してお見舞いに来てくれたのよ。どうしても、ケガを治してくれた恩を返したいって」
ケガを治してくれた恩、か……。
……いや、それよりも、このリザードマン達は俺の正体を知った訳だよな?
なんで、それなのに普通に心配してくれるんだよ!?
「そ、それはありがたいんだが、良いのか? 先ほどの姿で分かったと思うが、俺、スライムだぞ? リザークじゃないんだぞ?」
「事情はリーサから聞いている。クロコダイルからリーサを助けてくれたのだとか。本当にリザークには頭が上がらない」
リザードマンの中でも一際体が大きな人がそう言って、感謝の意を示してきた。
他のリザードマン達も「ありがとな!」「本当に助かった!」と感謝の意を示してきたり、「スライムって柔らかいのか?」「どうやって姿変えているのー?」とスライムの体に興味津々だったり。
まるで嫌がる素振りを見せない。
……いや、普通、気味悪がるだろっ!
少なくとも人間だったらさ。
このリザードマン達の感性、どうかしているんじゃないか?
……まあ、悪い気はしないけどさ。
それから、俺は周りのリザードマン達と和やかに会話を楽しんだ。
スライムの体に興味を持つリザードマンが多いようで、俺が緑色の触手を出すと、触手をつんつんと触って楽しんでいたり。
あとは他の生物に擬態できることを伝えると、やってみせてほしいというので、巨大カマキリとか、後はクロコダイルに擬態してみせたりした。
……あっ、ちなみにクロコダイルを「捕食」はしていないのだが、リードのクロコダイルとしての体を仮面の力で吸収しきったことで、リードのクロコダイルの体に擬態することができるようになったみたいだ。
その姿を見たリードは驚きの表情と共に、俺に近付いてきて何かをしようとしたようだが、あひゃひゃとその場で笑い転げてしまい、リードの何らかの行動は未遂に終わるのだった。
ちなみにクロコダイルの体でも目は見えるし苦労はしなそうだったりする。
でもやっぱりリザードマンの体の方がしっくりくるので、リザードマンの体にすぐに戻すことにした。
リザードマンの村で過ごすのだから、その方が自然でもあるしな。
そんな感じで俺のありのままの姿を見せた後、俺は改めてリザードマン達に向き直り、お願いをすることにした。
「俺はこんな感じのスライムではあるが、みんなと一緒に暮らしていきたいと思っている。どうか一緒に住まわせてもらえないだろうか?」
俺がそう言うと、みんなきょとんとした表情をして、一瞬静まりかえる。
そしてその後、「今更何言ってるんだよ!?」「水臭いぞ、リザーク!」「当たり前だろ!」とか大声で言われて、周りのリザードマン達にもみくちゃにされた。
スライム姿の俺を見ても抵抗なさそうな所からなんとなくわかってはいたが、どうやらいらぬ心配だったらしい。
リーサが言っていた通り、俺の事はみんな受け入れてくれたようだ。
驚いたのは、リーサの子供、リムとリーゼも俺がスライムであるということを受け入れていることだ。
普通、そんな異物を見たら、怖くて泣きだすと思うのだが、そんな素振りは全然見せなかった。
まあ、心配そうな表情で「おとーさんはおとーさんなんだよね?」と聞いてはきたけどな。
その質問に「もちろん、俺はリム達のお父さんだ」と返事をすると、安心したような表情で、後は他のリザードマン達と一緒にこの場を楽しんでいた。
また、せっかくリザードマン達が集まってくれているので、俺の正体については、リザードマンだけの秘密にしてもらうことを約束してもらった。
他の種族にそのことが広まったら、俺を排除しようとする勢力が動き出すだろうからな。
その心配について話すと、「仲間を売り渡すようなことはしない。心配するな」と真剣な表情で答えてくれたので、多分大丈夫だろう。
このリザードマン達の集いはしばらく続き、子供達が寝る時間になって、ようやくお開きとなった。
ちなみに俺は明日から村のリザードマン達に、リザードマンとしての暮らし方を叩き込まれるらしい。
望む所である。
~~~~~
一方、時は少しさかのぼり、その日の夕方頃のこと。
リザークによって洗脳されたクロコダイル、ワニダとワニジは、リザークに命じられるがままに、クロコダイルの町へと無意識に歩かされていた。
そしてしばらく歩き、リザードマンの村から距離が離れた所で、突然ワニダ達の洗脳が解かれる!
「……ハッ!? ど、どこだ、ここは!?」
突然目が覚めたように感じたワニダ達は、その場でキョロキョロと辺りを見渡す。
そして、クロコダイル族の中心地、クロコ町の近くの道にいることを確認したのだった。
「クロコ町の近くの道にいるようだな。……でも、一体どうなったんだ? 確かオレ達はあの恐ろしいバケモノに負けたはずだろ……?」
「オレもよく分からねえ。ただ、そのバケモノに襲われたというのは本当らしい。ワニラの姿が見えないし、さらったはずのリザードマンの姿も見えない」
「……どうやらそのようだな。なんでオレ達が無事なのかはよく分からないが、とにかく、助かったんだ。今日はさっさと町までズラかるか」
「そうだな。ちょっとオレも休みてぇ……」
疲れ果てた顔をして、ため息をつくクロコダイルの二人。
そして、そのままクロコ町へと急ぎ足で向かう事にした。
それから数分後、ワニダ達はクロコ町の入口までたどり着く。
そして、見張りのクロコダイルから声をかけられたようだ。
「よう、ワニダ、ワニジ。何か良い収穫はあったのか? それに、ワニラの姿が見えないが、どうした?」
「ああ、それはだな……あひゃひゃひゃ!?」
ワニダが見張りのクロコダイルに事情を話そうとすると、強烈なくすぐったさを感じ、事情を話すどころではなくなってしまう。
ワニジも同じく事情を話そうとするのだが、ワニダと同じく、地面に転がって笑いこけ、事情を話すどころではない。
「……そ、そんなにおかしくなる位何かがあったのか?」
「あひゃひゃひゃ、あひゃひゃひゃ!?」
「違う、違うんだ!」と訴えようとしても、それすら許されず、ただニヤニヤした顔で笑い続ける二人。
こりゃ話を聞いても無駄だと悟った見張りのクロコダイルは、とりあえず中に入れと、ワニダ達を町の中に通す。
笑いがようやくおさまってきたワニダ達は、正気に戻り、あのバケモノに関する事は一切話せなくされていることを悟る。
そして、それはあのバケモノの能力のせいであり、自分達が未だにバケモノの手の中にあることを嫌でも実感した。
ワニダとワニジは、その瞬間から、あのバケモノに今後一切関わらないことを誓いあうのだった。
もう二度と、リザードマンの村には行くまい、と。
……ああ、こんな事、前もあったな。
スライム形態の俺はこんな感じなんだっけ。
……って、それはつまり、今の俺はスライム形態になっているということか?
俺、今どうなっているんだ?
不思議に思った俺は、リザードマンへの擬態を試みる。
すると、次第に体が作られていくのを感じ、途中から目が見えるようになっていく。
そして、目に入ったのは、周囲を埋め尽くすリザードマン達だった。
「……おお、リザークの姿に戻ったぞ!」
そう一人のリザードマンが叫ぶと、「おおー!」と騒ぐリザードマン達。
……えっ、何これ、どういう事?
ここ、リーサの家だよな?
リーサも子供達もいるし、多分そうなんだろうけど、そんな家に満員電車並みに大勢のリザードマン達が詰めかけているのが意味が分からない。
状況がさっぱり分からないでいると、近くにいたリーサが声をかけてきた。
「リザーク、良かった、目が覚めて」
「……心配をかけたな。でも、このリザードマン達は一体……?」
「みんな、リザークを心配してお見舞いに来てくれたのよ。どうしても、ケガを治してくれた恩を返したいって」
ケガを治してくれた恩、か……。
……いや、それよりも、このリザードマン達は俺の正体を知った訳だよな?
なんで、それなのに普通に心配してくれるんだよ!?
「そ、それはありがたいんだが、良いのか? 先ほどの姿で分かったと思うが、俺、スライムだぞ? リザークじゃないんだぞ?」
「事情はリーサから聞いている。クロコダイルからリーサを助けてくれたのだとか。本当にリザークには頭が上がらない」
リザードマンの中でも一際体が大きな人がそう言って、感謝の意を示してきた。
他のリザードマン達も「ありがとな!」「本当に助かった!」と感謝の意を示してきたり、「スライムって柔らかいのか?」「どうやって姿変えているのー?」とスライムの体に興味津々だったり。
まるで嫌がる素振りを見せない。
……いや、普通、気味悪がるだろっ!
少なくとも人間だったらさ。
このリザードマン達の感性、どうかしているんじゃないか?
……まあ、悪い気はしないけどさ。
それから、俺は周りのリザードマン達と和やかに会話を楽しんだ。
スライムの体に興味を持つリザードマンが多いようで、俺が緑色の触手を出すと、触手をつんつんと触って楽しんでいたり。
あとは他の生物に擬態できることを伝えると、やってみせてほしいというので、巨大カマキリとか、後はクロコダイルに擬態してみせたりした。
……あっ、ちなみにクロコダイルを「捕食」はしていないのだが、リードのクロコダイルとしての体を仮面の力で吸収しきったことで、リードのクロコダイルの体に擬態することができるようになったみたいだ。
その姿を見たリードは驚きの表情と共に、俺に近付いてきて何かをしようとしたようだが、あひゃひゃとその場で笑い転げてしまい、リードの何らかの行動は未遂に終わるのだった。
ちなみにクロコダイルの体でも目は見えるし苦労はしなそうだったりする。
でもやっぱりリザードマンの体の方がしっくりくるので、リザードマンの体にすぐに戻すことにした。
リザードマンの村で過ごすのだから、その方が自然でもあるしな。
そんな感じで俺のありのままの姿を見せた後、俺は改めてリザードマン達に向き直り、お願いをすることにした。
「俺はこんな感じのスライムではあるが、みんなと一緒に暮らしていきたいと思っている。どうか一緒に住まわせてもらえないだろうか?」
俺がそう言うと、みんなきょとんとした表情をして、一瞬静まりかえる。
そしてその後、「今更何言ってるんだよ!?」「水臭いぞ、リザーク!」「当たり前だろ!」とか大声で言われて、周りのリザードマン達にもみくちゃにされた。
スライム姿の俺を見ても抵抗なさそうな所からなんとなくわかってはいたが、どうやらいらぬ心配だったらしい。
リーサが言っていた通り、俺の事はみんな受け入れてくれたようだ。
驚いたのは、リーサの子供、リムとリーゼも俺がスライムであるということを受け入れていることだ。
普通、そんな異物を見たら、怖くて泣きだすと思うのだが、そんな素振りは全然見せなかった。
まあ、心配そうな表情で「おとーさんはおとーさんなんだよね?」と聞いてはきたけどな。
その質問に「もちろん、俺はリム達のお父さんだ」と返事をすると、安心したような表情で、後は他のリザードマン達と一緒にこの場を楽しんでいた。
また、せっかくリザードマン達が集まってくれているので、俺の正体については、リザードマンだけの秘密にしてもらうことを約束してもらった。
他の種族にそのことが広まったら、俺を排除しようとする勢力が動き出すだろうからな。
その心配について話すと、「仲間を売り渡すようなことはしない。心配するな」と真剣な表情で答えてくれたので、多分大丈夫だろう。
このリザードマン達の集いはしばらく続き、子供達が寝る時間になって、ようやくお開きとなった。
ちなみに俺は明日から村のリザードマン達に、リザードマンとしての暮らし方を叩き込まれるらしい。
望む所である。
~~~~~
一方、時は少しさかのぼり、その日の夕方頃のこと。
リザークによって洗脳されたクロコダイル、ワニダとワニジは、リザークに命じられるがままに、クロコダイルの町へと無意識に歩かされていた。
そしてしばらく歩き、リザードマンの村から距離が離れた所で、突然ワニダ達の洗脳が解かれる!
「……ハッ!? ど、どこだ、ここは!?」
突然目が覚めたように感じたワニダ達は、その場でキョロキョロと辺りを見渡す。
そして、クロコダイル族の中心地、クロコ町の近くの道にいることを確認したのだった。
「クロコ町の近くの道にいるようだな。……でも、一体どうなったんだ? 確かオレ達はあの恐ろしいバケモノに負けたはずだろ……?」
「オレもよく分からねえ。ただ、そのバケモノに襲われたというのは本当らしい。ワニラの姿が見えないし、さらったはずのリザードマンの姿も見えない」
「……どうやらそのようだな。なんでオレ達が無事なのかはよく分からないが、とにかく、助かったんだ。今日はさっさと町までズラかるか」
「そうだな。ちょっとオレも休みてぇ……」
疲れ果てた顔をして、ため息をつくクロコダイルの二人。
そして、そのままクロコ町へと急ぎ足で向かう事にした。
それから数分後、ワニダ達はクロコ町の入口までたどり着く。
そして、見張りのクロコダイルから声をかけられたようだ。
「よう、ワニダ、ワニジ。何か良い収穫はあったのか? それに、ワニラの姿が見えないが、どうした?」
「ああ、それはだな……あひゃひゃひゃ!?」
ワニダが見張りのクロコダイルに事情を話そうとすると、強烈なくすぐったさを感じ、事情を話すどころではなくなってしまう。
ワニジも同じく事情を話そうとするのだが、ワニダと同じく、地面に転がって笑いこけ、事情を話すどころではない。
「……そ、そんなにおかしくなる位何かがあったのか?」
「あひゃひゃひゃ、あひゃひゃひゃ!?」
「違う、違うんだ!」と訴えようとしても、それすら許されず、ただニヤニヤした顔で笑い続ける二人。
こりゃ話を聞いても無駄だと悟った見張りのクロコダイルは、とりあえず中に入れと、ワニダ達を町の中に通す。
笑いがようやくおさまってきたワニダ達は、正気に戻り、あのバケモノに関する事は一切話せなくされていることを悟る。
そして、それはあのバケモノの能力のせいであり、自分達が未だにバケモノの手の中にあることを嫌でも実感した。
ワニダとワニジは、その瞬間から、あのバケモノに今後一切関わらないことを誓いあうのだった。
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