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1.スライムの体
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目が覚めたはずなのに、真っ暗だ。
おかしい。
……ここはどこなんだ?
そもそも、俺、今まで何してたっけ?
一週間位前の事までは覚えているんだけど、最近の事を考えようとしても、モヤがかかった感じになって何も思い出すことができない。
思い出すのはできそうにないし、とりあえず状況を確認してみるか。
とにかく、この暗闇から抜け出さないと何も分からないままだしな。
こうして俺がこの場から動こうとすると、なんか地をはっていくような独特の感覚がした。
そして、硬い何かにぶつかる。
真っ暗だから、その硬い何かが何なのかは全く分からない。
というか、情報がなさすぎて、何も分からなくて気が狂いそうになる。
とにかく、情報が欲しいっ!
(リザードマンの死骸を「捕食」しますか? ▶YES NO)
俺の必死な思いが通じたのか、急に頭の中にそのようなメッセージが浮かんできた。
……ん?
リザードマンの死骸を捕食……?
どうやら、ぶつかった硬いものはリザードマンの死骸だったらしい。
というか、リザードマンって、ゲームの世界で出てくるモンスターの名前だよな?
なんでそんなものにぶつかったのかよく分からない。
よく分からないけど、このまま考えていてもラチがあかないし、とりあえず「捕食」というものをしてみよう。
という訳で、答えはYESで!
俺がそう念じると、俺の中に硬いものがどんどんと入っていく。
恐らく俺の体の中にリザードマンの死骸が入ってきているんだろうが、そもそも俺の体の中に死骸が入ってくる意味が分からない。
別に口を開けて食べているというような感じでもないし、そんなことをしている実感もないから、食べているのとはまた違うんだろうか?
(リザードマンの死骸の「捕食」を完了しました)
(リザードマンの死骸を「捕食」したことにより、リザードマンへの「擬態」が可能になりました)
……どうやら考え事をしているうちに捕食とやらが終わったらしい。
って、なんだかしれっとよく分からないことが書いてあるんだけど!
リザードマンへの「擬態」?
俺がか?
一体どうしたらそんなことができるのかよく分からない。
よく分からないし、できるものならやってみろって言いたい所だ。
(リザードマンへの「擬態」を実行します)
……って、おいおい、本当にできちゃうのかよ!?
俺がそんなことを思っているうちに、体の感覚がみるみるうちに変わっていく。
そして、ある時突然、俺の目に光が差した。
俺の目にまず飛び込んできたのは、雲一つない青空。
そして周囲に高くそびえ立つ木々。
どうやら今は昼間だったらしい。
というか、昼間なのにずっと何も見えなかったのってどういうことなんだよ?
そもそも、今の俺ってどうなっているんだ?
俺は恐る恐る自分の体を見てみる。
すると、目に映ったのは、緑色の鱗と淡黄色の皮膚をしたトカゲの上半身と、緑色のドロドロした塊になっている下半身だった。
その塊は活発に伸び縮みして、トカゲの上半身につながるのであろう、体の部位を作り続けている。
その様子を見て、俺は確信した。
あっ……、今の俺ってスライムに転生したんだな、と。
人間だったはずの俺がスライムに転生した経緯は分からない。
だけど、今までのよく分からなかった状況は、全て俺がスライムだったからで説明がつくんだよな。
スライムには目がないから、モノを見ることはできない。
……まあ、ゲームによっては目がある場合もあるが、この世界のスライムには目がないんだろう、きっと。
あと、地をはうような感覚も、スライムが移動しようとしたらそうなるのが自然だし。
スライムって不思議生物だから、なんでも食べちゃいそうだし、リザードマンの死骸を食べることも想像できなくはない。
溶かして体に取り込むような感じだろうから、食べるイメージとは程遠かったことの説明もつく。
でも、まさか擬態までできるとはな……。
にわかには信じがたいが、でもこうして着々とリザードマンの体が作られているのを見ると、擬態ができるというのは本当なのだろう。
少し待っていると、トカゲの下半身もしっかりと作られたし。
作られたばかりの頃はスライムのドロドロした感じの脚だったけど、ちょっとすれば、トカゲっぽい感じの脚になったしな。
リザードマンへの擬態が完全に終わったことで、緑色のドロドロした塊もいつの間にかなくなっていた。
まあ、なくなったというよりかは、全てリザードマンに擬態した体に成り代わったと言った方が正確だろうか。
リザードマンへの擬態が終わったっぽいので、俺は体を動かしてみることにした。
……うん、人間の頃と動きに大差はないみたいだ。
大きな尻尾が生えているのが気になる位で、それ以外はほとんど違和感はない。
動きを一通り確認し終わった俺は、次に周辺の地面を見てみた。
すると、リザードマンの持ち物だったものらしき、武器や防具、服などが落ちていた。
もちろん、遠慮なくいただくことにするし、すぐに身につけさせてもらうことにしよう。
リザードマンの体とはいえ、さすがに裸のままでいるのは恥ずかしいからな……。
という訳で、俺は早速、防具や服を身に着け始める。
擬態はかなり正確に行われていたようで、身に着けようとした防具や服のサイズはピッタリだった。
短剣を腰に下げてから、今度はあちこちに散乱している物に視線を移す。
多分このリザードマンは何者かに襲われたんだろうな。
茶色のショルダーバッグらしきものが落ちているのだが、ズタズタに引き裂かれていて、もはやバッグとしては使えなさそうだし。
それと物があちこちに散乱している感じからして、バッグの中身が何かの獣に漁られたとみて間違いなさそうだ。
落ちているものの中に食べ物らしきものは一切見当たらなかったしな。
食べ物がないとはいえ、何かの薬が入っている瓶だったり、何かの本だったりと、色々と使えそうなものがゴロゴロと落ちているんだよな。
なんとかして持ち運ぶことはできないだろうか?
(落ちているものを「格納」しますか? ▶YES NO)
……へっ?
「格納」するか聞かれるってことは、持ち運びできるってことか?
使えそうなバッグなんてないのに……。
よく分からないけど、とりあえずやってみよう。
答えはYESで!
俺がそう念じると、俺の腕から緑色の触手がうにょんと突然出てくる!
そしてその緑色の触手が落ちている物の所まで伸びていき、次々と物を取り込んでは俺の体の中に戻っていく。
ついには辺り一面の落ちている物を全て拾い切ってしまった……。
あまりに信じられない様子に呆然とする俺。
そして、少し経って落ち着いてきた俺は、とある疑問を持つことになる。
――体に取り込んだのはいいが、取り出すことはできるものなのか、と。
試しに俺は薬瓶を取り出したいと念じると、体の中から緑色の触手が出てきて、俺の手に薬瓶を渡してきた。
どうやら、問題なく取り出すことはできるらしい。
とても便利な能力なんだろうけど、ちょっと見た目がなぁ……。
使う場面はだいぶ気を付けた方が良さそうだ。
俺がそんなことを心に誓っていると、近くから金属が激しく割れるような大きな音が響き、突然俺の視点が大きく変わった。
まるで、ジャンプして跳びはねたかのように。
……へっ?
一体何が起こったんだ?
あまりに突然の出来事にうろたえる俺。
そして、ふと地上をみると、巨大カマキリがリザードマンのお腹の辺りを切り裂き終わった様子が見えた。
あー、背後から巨大カマキリが俺の体を真っ二つに切って、俺の上半身が宙に浮いている状態なのか。
……って、それって冷静に考えてヤバくね?
いや、この状況もそうだけど、体を真っ二つにされて出血は一切せず、全く痛みを感じない俺の体って、一体どうなっちゃってるんだよっ!?
おかしい。
……ここはどこなんだ?
そもそも、俺、今まで何してたっけ?
一週間位前の事までは覚えているんだけど、最近の事を考えようとしても、モヤがかかった感じになって何も思い出すことができない。
思い出すのはできそうにないし、とりあえず状況を確認してみるか。
とにかく、この暗闇から抜け出さないと何も分からないままだしな。
こうして俺がこの場から動こうとすると、なんか地をはっていくような独特の感覚がした。
そして、硬い何かにぶつかる。
真っ暗だから、その硬い何かが何なのかは全く分からない。
というか、情報がなさすぎて、何も分からなくて気が狂いそうになる。
とにかく、情報が欲しいっ!
(リザードマンの死骸を「捕食」しますか? ▶YES NO)
俺の必死な思いが通じたのか、急に頭の中にそのようなメッセージが浮かんできた。
……ん?
リザードマンの死骸を捕食……?
どうやら、ぶつかった硬いものはリザードマンの死骸だったらしい。
というか、リザードマンって、ゲームの世界で出てくるモンスターの名前だよな?
なんでそんなものにぶつかったのかよく分からない。
よく分からないけど、このまま考えていてもラチがあかないし、とりあえず「捕食」というものをしてみよう。
という訳で、答えはYESで!
俺がそう念じると、俺の中に硬いものがどんどんと入っていく。
恐らく俺の体の中にリザードマンの死骸が入ってきているんだろうが、そもそも俺の体の中に死骸が入ってくる意味が分からない。
別に口を開けて食べているというような感じでもないし、そんなことをしている実感もないから、食べているのとはまた違うんだろうか?
(リザードマンの死骸の「捕食」を完了しました)
(リザードマンの死骸を「捕食」したことにより、リザードマンへの「擬態」が可能になりました)
……どうやら考え事をしているうちに捕食とやらが終わったらしい。
って、なんだかしれっとよく分からないことが書いてあるんだけど!
リザードマンへの「擬態」?
俺がか?
一体どうしたらそんなことができるのかよく分からない。
よく分からないし、できるものならやってみろって言いたい所だ。
(リザードマンへの「擬態」を実行します)
……って、おいおい、本当にできちゃうのかよ!?
俺がそんなことを思っているうちに、体の感覚がみるみるうちに変わっていく。
そして、ある時突然、俺の目に光が差した。
俺の目にまず飛び込んできたのは、雲一つない青空。
そして周囲に高くそびえ立つ木々。
どうやら今は昼間だったらしい。
というか、昼間なのにずっと何も見えなかったのってどういうことなんだよ?
そもそも、今の俺ってどうなっているんだ?
俺は恐る恐る自分の体を見てみる。
すると、目に映ったのは、緑色の鱗と淡黄色の皮膚をしたトカゲの上半身と、緑色のドロドロした塊になっている下半身だった。
その塊は活発に伸び縮みして、トカゲの上半身につながるのであろう、体の部位を作り続けている。
その様子を見て、俺は確信した。
あっ……、今の俺ってスライムに転生したんだな、と。
人間だったはずの俺がスライムに転生した経緯は分からない。
だけど、今までのよく分からなかった状況は、全て俺がスライムだったからで説明がつくんだよな。
スライムには目がないから、モノを見ることはできない。
……まあ、ゲームによっては目がある場合もあるが、この世界のスライムには目がないんだろう、きっと。
あと、地をはうような感覚も、スライムが移動しようとしたらそうなるのが自然だし。
スライムって不思議生物だから、なんでも食べちゃいそうだし、リザードマンの死骸を食べることも想像できなくはない。
溶かして体に取り込むような感じだろうから、食べるイメージとは程遠かったことの説明もつく。
でも、まさか擬態までできるとはな……。
にわかには信じがたいが、でもこうして着々とリザードマンの体が作られているのを見ると、擬態ができるというのは本当なのだろう。
少し待っていると、トカゲの下半身もしっかりと作られたし。
作られたばかりの頃はスライムのドロドロした感じの脚だったけど、ちょっとすれば、トカゲっぽい感じの脚になったしな。
リザードマンへの擬態が完全に終わったことで、緑色のドロドロした塊もいつの間にかなくなっていた。
まあ、なくなったというよりかは、全てリザードマンに擬態した体に成り代わったと言った方が正確だろうか。
リザードマンへの擬態が終わったっぽいので、俺は体を動かしてみることにした。
……うん、人間の頃と動きに大差はないみたいだ。
大きな尻尾が生えているのが気になる位で、それ以外はほとんど違和感はない。
動きを一通り確認し終わった俺は、次に周辺の地面を見てみた。
すると、リザードマンの持ち物だったものらしき、武器や防具、服などが落ちていた。
もちろん、遠慮なくいただくことにするし、すぐに身につけさせてもらうことにしよう。
リザードマンの体とはいえ、さすがに裸のままでいるのは恥ずかしいからな……。
という訳で、俺は早速、防具や服を身に着け始める。
擬態はかなり正確に行われていたようで、身に着けようとした防具や服のサイズはピッタリだった。
短剣を腰に下げてから、今度はあちこちに散乱している物に視線を移す。
多分このリザードマンは何者かに襲われたんだろうな。
茶色のショルダーバッグらしきものが落ちているのだが、ズタズタに引き裂かれていて、もはやバッグとしては使えなさそうだし。
それと物があちこちに散乱している感じからして、バッグの中身が何かの獣に漁られたとみて間違いなさそうだ。
落ちているものの中に食べ物らしきものは一切見当たらなかったしな。
食べ物がないとはいえ、何かの薬が入っている瓶だったり、何かの本だったりと、色々と使えそうなものがゴロゴロと落ちているんだよな。
なんとかして持ち運ぶことはできないだろうか?
(落ちているものを「格納」しますか? ▶YES NO)
……へっ?
「格納」するか聞かれるってことは、持ち運びできるってことか?
使えそうなバッグなんてないのに……。
よく分からないけど、とりあえずやってみよう。
答えはYESで!
俺がそう念じると、俺の腕から緑色の触手がうにょんと突然出てくる!
そしてその緑色の触手が落ちている物の所まで伸びていき、次々と物を取り込んでは俺の体の中に戻っていく。
ついには辺り一面の落ちている物を全て拾い切ってしまった……。
あまりに信じられない様子に呆然とする俺。
そして、少し経って落ち着いてきた俺は、とある疑問を持つことになる。
――体に取り込んだのはいいが、取り出すことはできるものなのか、と。
試しに俺は薬瓶を取り出したいと念じると、体の中から緑色の触手が出てきて、俺の手に薬瓶を渡してきた。
どうやら、問題なく取り出すことはできるらしい。
とても便利な能力なんだろうけど、ちょっと見た目がなぁ……。
使う場面はだいぶ気を付けた方が良さそうだ。
俺がそんなことを心に誓っていると、近くから金属が激しく割れるような大きな音が響き、突然俺の視点が大きく変わった。
まるで、ジャンプして跳びはねたかのように。
……へっ?
一体何が起こったんだ?
あまりに突然の出来事にうろたえる俺。
そして、ふと地上をみると、巨大カマキリがリザードマンのお腹の辺りを切り裂き終わった様子が見えた。
あー、背後から巨大カマキリが俺の体を真っ二つに切って、俺の上半身が宙に浮いている状態なのか。
……って、それって冷静に考えてヤバくね?
いや、この状況もそうだけど、体を真っ二つにされて出血は一切せず、全く痛みを感じない俺の体って、一体どうなっちゃってるんだよっ!?
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