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4話【豹変②】

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ゴツゴツとした石を乱雑に木の棒に巻き付けた
即席の石棍棒を片手に、赤ずきんちゃんが狼を見下ろしていた。

「どうしたの?頭痛いの?」

ニコっと笑いながら狼に話しかける。
その笑みが逆に狼の恐怖心を駆り立てる。

狼は無理矢理に上体を起こし、森の奥へ逃げるように駆け出した。
赤ずきんちゃんは、やれやれと困ったように笑うと、ゆっくりと狼の後を追う。

「狼さん狼さん、どこに行ったの?」

地面に散っている狼の血を見つけては、クスッと笑いながら
石棍棒で木々を払い、狼の後を追っていく。

やがて赤ずきんちゃんの追手を拒むかのように
道は荒れ、木々の棘も激しくなっていく。

「まるで獣道だね、、あれ?」

道の険しさに気を取られていた為か、ふと足元に目を落とすと
先ほどまで続いていた狼の血の跡が途絶えている。

辺りを見渡してみるも、それらしき血の跡もない。
赤ずきんちゃんは少し不機嫌そうに、周辺の木々を払いのけ
キョロキョロと周りを見渡しながら、ゆっくり前進する。

だが、不思議な事に狼の足跡もない。
しゃがみ込み、地面を触ってみるも温もりもなく、狼を追う手段を失ってしまった。

「どこに逃げたんだろう…もう!」

目の前に聳え立つ、大きな木に腰掛け大きなため息を一つ零す。

「あーあー、おばあちゃんに貰ったお洋服もボロボロだよ」

ここまでの道のりで、スカートの裾や靴はボロボロになっていた。
石棍棒を横に起き、ほつれたスカートの裾を整える。

「お腹が空いたなぁ、リンゴでも食べようかな」

ポツリとそう呟くと、赤ずきんちゃんは籠の中のリンゴを一つ取り出し
服の袖でリンゴを磨き、一口齧る。

「あーあー…もう諦めてお家に帰ろうか…」

ぼやきながら上に伸びをし、ふと頭上を見上げた瞬間
赤ずきんちゃんの表情が固まる。

先ほどまで追っていた狼が、自分が腰かけている大木の上の幹に潜んでいた。
目が合ったその瞬間には、もう狼はこちらに飛び掛かっていた。

すぐさま石棍棒に手を伸ばすも、間に合わず。
狼は赤ずきんちゃんを押し倒し、その両足で、赤ずきんちゃんの腕にのしかかる。

先ほどまでの弱気な狼の姿はそこには無く
獰猛な爪と牙を光らせ、赤ずきんちゃんを睨みつけていた。

「へぇ…狼って木登り…するんだ?」
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