霧崎さんは好かれたい

夜桜アイル

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3話:霧崎さんはギルドに入りたい(前編)

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突然だが、私の学校では、お昼はお弁当を食べる人は3割。
残り7割。つまり半数より少し多くの学生が、学食を利用する。

私は、いつも母の手作りのししゃも弁当だが
もしかして、食堂に行けば友達作れるんじゃ?

私、霧崎 朱莉は後世に語り継がれるレベルの神の天啓をひらめく。
勿論、学食での脳天シミュレーションにも問題は無い。

一人でテーブル席に座り、相席を狙う。
相席になった人は、私に何気なく会話を振る。
そして、生まれる〝友情〟

完璧だ。
私のシミュレーションに穴は無い。

〝キーンコーンカーンコーン〟

脳天で華麗な勝利を決めている私に、戦のベルが鳴る。

―お昼だ。

勝利を確信し、学食代と母に昨晩渡された300円を握り締め。
いざ学食へと、勇猛に足を運ぶ。

渡り廊下を、今日は何食べるー?なんて会話を交わすクラスメイトたちが駆けていく。
フッ、青い青い。私にはクラスメイトがまるで、初めての戦に向かう弱卒にしか映らぬ。


食堂へと続く渡り廊下を吹く春風は、私の勝利を既に祝福するかのようで、いつもより心地よい。
10分程度、祝福の風を浴び、私は戦場である食堂へ着く。

食券を買うため食券機の列に並ぶ。
ワイワイガヤガヤ、とても賑わっている。

そうか、これがギルドか…。
明日から、いや今日から私もギルドメンバーの一員か…。

そんな妄想に花を咲かせていると、気づけば食券を買う番が回って来た。
まるで歴戦の勇者のように、落ち着いた面持ちで私は300円を投下する。

今日は300円だし…一番安いラーメンにしておこう。
ま、これからはこのギルドに入り浸るしな…すまない、ししゃも…。

私は、脳内でししゃもへと黙祷を捧げる。
そして目を見開き、ラーメンへ指を伸ばす。

「え…?」

ラーメンのボタンへ触れる手前で、私は驚愕する。
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