霧崎さんは好かれたい

夜桜アイル

文字の大きさ
上 下
3 / 4

3話:霧崎さんはギルドに入りたい(前編)

しおりを挟む
突然だが、私の学校では、お昼はお弁当を食べる人は3割。
残り7割。つまり半数より少し多くの学生が、学食を利用する。

私は、いつも母の手作りのししゃも弁当だが
もしかして、食堂に行けば友達作れるんじゃ?

私、霧崎 朱莉は後世に語り継がれるレベルの神の天啓をひらめく。
勿論、学食での脳天シミュレーションにも問題は無い。

一人でテーブル席に座り、相席を狙う。
相席になった人は、私に何気なく会話を振る。
そして、生まれる〝友情〟

完璧だ。
私のシミュレーションに穴は無い。

〝キーンコーンカーンコーン〟

脳天で華麗な勝利を決めている私に、戦のベルが鳴る。

―お昼だ。

勝利を確信し、学食代と母に昨晩渡された300円を握り締め。
いざ学食へと、勇猛に足を運ぶ。

渡り廊下を、今日は何食べるー?なんて会話を交わすクラスメイトたちが駆けていく。
フッ、青い青い。私にはクラスメイトがまるで、初めての戦に向かう弱卒にしか映らぬ。


食堂へと続く渡り廊下を吹く春風は、私の勝利を既に祝福するかのようで、いつもより心地よい。
10分程度、祝福の風を浴び、私は戦場である食堂へ着く。

食券を買うため食券機の列に並ぶ。
ワイワイガヤガヤ、とても賑わっている。

そうか、これがギルドか…。
明日から、いや今日から私もギルドメンバーの一員か…。

そんな妄想に花を咲かせていると、気づけば食券を買う番が回って来た。
まるで歴戦の勇者のように、落ち着いた面持ちで私は300円を投下する。

今日は300円だし…一番安いラーメンにしておこう。
ま、これからはこのギルドに入り浸るしな…すまない、ししゃも…。

私は、脳内でししゃもへと黙祷を捧げる。
そして目を見開き、ラーメンへ指を伸ばす。

「え…?」

ラーメンのボタンへ触れる手前で、私は驚愕する。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

《冷姫》に告白をした結果泣かれてしまったが、その後積極的に話しかけてる件

ひならむ
青春
 勝負に負けて、あの《冷姫》に告白することになりました…。思い切って告白してみたら何故か彼女は泣いていて…僕みたいな奴に告白されるなんて泣くほど嫌ですよね!すみません!  取りあえず、家で懺悔しよう…。 でも、次の日から《冷姫》は積極的に話し掛けてきて…。    この物語は、少しのすれ違いから愛の重い彼女に押されていく主人公を描いたストーリー…にするつもりです。 現在第1章進行中。2章は、イチャラブ予定。 恋愛モノは初投稿です! 駄作ですが、暇な時間に少し読んでいただけたら幸いです! ⚠︎誤字脱字や、感想お待ちしてますっ! なろうにも投稿しております。

SING!!

雪白楽
青春
キミの音を奏でるために、私は生まれてきたんだ―― 指先から零れるメロディーが、かけがえのない出会いを紡ぐ。 さあ、もう一度……音楽を、はじめよう。 第12回ドリーム小説大賞 奨励賞 受賞作品

おれは農家の跡取りだ! 〜一度は捨てた夢だけど、新しい仲間とつかんでみせる〜

藍条森也
青春
藤岡耕一はしがない稲作農家の息子。代々伝えられてきた田んぼを継ぐつもりの耕一だったが、日本農業全体の衰退を理由に親に反対される。農業を継ぐことを諦めた耕一は『勝ち組人生』を送るべく、県下きっての進学校、若竹学園に入学。しかし、そこで校内ナンバー1珍獣の異名をもつSEED部部長・森崎陽芽と出会ったことで人生は一変する。  森崎陽芽は『世界中の貧しい人々に冨と希望を与える』ため、SEEDシステム――食料・エネルギー・イベント同時作を考案していた。農地に太陽電池を設置することで食料とエネルギーを同時に生産し、収入を増加させる。太陽電池のコストの高さを解消するために定期的にイベントを開催、入場料で設置代を賄うことで安価に提供できるようにするというシステムだった。その実証試験のために稲作農家である耕一の協力を求めたのだ。  必要な設備を購入するだけの資金がないことを理由に最初は断った耕一だが、SEEDシステムの発案者である雪森弥生の説得を受け、親に相談。親の答えはまさかの『やってみろ』。  その言葉に実家の危機――このまま何もせずにいれば破産するしかない――を知った耕一は起死回生のゴールを決めるべく、SEEDシステムの実証に邁進することになる。目指すはSEEDシステムを活用した夏祭り。実際に稼いでみせることでSEEDシステムの有用性を実証するのだ!  真性オタク男の金子雄二をイベント担当として新部員に迎えたところ、『男は邪魔だ!』との理由で耕一はメイドさんとして接客係を担当する羽目に。実家の危機を救うべく決死の覚悟で挑む耕一だが、そうたやすく男の娘になれるはずもなく悪戦苦闘。劇団の娘鈴沢鈴果を講師役として迎えることでどうにか様になっていく。  人手不足から夏祭りの準備は難航し、開催も危ぶまれる。そのとき、耕一たちの必死の姿に心を動かされた地元の仲間や同級生たちが駆けつける。みんなの協力の下、夏祭りは無事、開催される。祭りは大盛況のうちに終り、耕一は晴れて田んぼの跡継ぎとして認められる。  ――SEEDシステムがおれの人生を救ってくれた。  そのことを実感する耕一。だったら、  ――おれと同じように希望を失っている世界中の人たちだって救えるはずだ!  その思いを胸に耕一は『世界を救う』夢を見るのだった。  ※『ノベリズム』から移転(旧題·SEED部が世界を救う!(by 森崎陽芽) 馬鹿なことをと思っていたけどやれる気になってきた(by 藤岡耕一))。   毎日更新。7月中に完結。

恋とは落ちるもの。

藍沢咲良
青春
恋なんて、他人事だった。 毎日平和に過ごして、部活に打ち込められればそれで良かった。 なのに。 恋なんて、どうしたらいいのかわからない。 ⭐︎素敵な表紙をポリン先生が描いてくださいました。ポリン先生の作品はこちら↓ https://manga.line.me/indies/product/detail?id=8911 https://www.comico.jp/challenge/comic/33031 この作品は小説家になろう、エブリスタでも連載しています。 ※エブリスタにてスター特典で優輝side「電車の君」、春樹side「春樹も恋に落ちる」を公開しております。

イルカノスミカ

よん
青春
2014年、神奈川県立小田原東高二年の瀬戸入果は競泳バタフライの選手。 弱小水泳部ながらインターハイ出場を決めるも関東大会で傷めた水泳肩により現在はリハビリ中。 敬老の日の晩に、両親からダブル不倫の末に離婚という衝撃の宣告を受けた入果は行き場を失ってしまう。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

「史上まれにみる美少女の日常」

綾羽 ミカ
青春
鹿取莉菜子17歳 まさに絵にかいたような美少女、街を歩けば一日に20人以上ナンパやスカウトに声を掛けられる少女。家は団地暮らしで母子家庭の生活保護一歩手前という貧乏。性格は非常に悪く、ひがみっぽく、ねたみやすく過激だが、そんなことは一切表に出しません。

時々、僕は透明になる

小原ききょう
青春
影の薄い僕と、7人の個性的、異能力な美少女たちとの間に繰り広げられる恋物語。 影の薄い僕はある日透明化した。 それは勉強中や授業中だったり、またデート中だったり、いつも突然だった。 原因が何なのか・・透明化できるのは僕だけなのか?  そして、僕の姿が見える人間と、見えない人間がいることを知る。その中間・・僕の姿が半透明に見える人間も・・その理由は? もう一人の透明化できる人間の悲しく、切ない秘密を知った時、僕は・・ 文芸サークルに入部した僕は、三角関係・・七角関係へと・・恋物語の渦中に入っていく。 時々、透明化する少女。 時々、人の思念が見える少女。 時々、人格乖離する少女。 ラブコメ的要素もありますが、 回想シーン等では暗く、挫折、鬱屈した青春に、 圧倒的な初恋、重い愛が描かれます。 (登場人物) 鈴木道雄・・主人公の男子高校生(2年2組) 鈴木ナミ・・妹(中学2年生) 水沢純子・・教室の窓際に座る初恋の女の子 加藤ゆかり・・左横に座るスポーツ万能女子 速水沙織・・後ろの席に座る眼鏡の文学女子 文芸サークル部長 小清水沙希・・最後尾に座る女の子 文芸サークル部員 青山灯里・・文芸サークル部員、孤高の高校3年生 石上純子・・中学3年の時の女子生徒 池永かおり・・文芸サークルの顧問、マドンナ先生 「本山中学」

処理中です...