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見たことがない人でした。
びっくりしたわたしは口をパクパクさせるしかありませんでした。
「おっとっと、驚かせたかな?ごめんよ?」
今夜の星空みたいな黒いマント、白い手袋、ライオンのたてがみみたいな金色の髪。
わたしはまだなにが起きているか分からずにいました。
「ぼくは“しあわせピエロ”。聞いたことはないかな?」
わたしは首を横に振ります。
「おやおや残念。まずはごあいさつからだな。」
外を見るためにわたしが少しだけ開けた窓をもっと開けて縁側に座ったピエロさんは、空っぽだった手から
“ポン”
“ポン、ポン、ポン”
次々に鳩が出てきました。
「わぁ!すごい……」
マジックなんて初めて見るわたしは、思わずそう言いました。
ピエロさんが手で合図すると、さっき出てきた鳩が一列に並んで同じ方向に首を振りました。
次にピエロさんが手をたたくと、それに合わせてダンスを踊り始めました。
わたしがそれに見とれていると、次にピエロさんが空っぽの手からこんどはサッカーボールを出しました。
ピエロさんはそれで玉乗りを始めました。
時々落ちそうになったり、片足だけで乗ったりしていました。
その顔がおもしろくて、わたしは笑ってしまいました。
「喜んでもらえたみたいだね、よかった♪」
15分ほどの小さなサーカスをしたピエロさんは、ボールと鳩にピエロさんが着ていたマントを被せました。
次にそのマントをめくった時には、全部消えていました。
驚いたわたしを見たピエロさんは得意顔で言いました。
「ピエロは何だってできるんだ」
「……何でも?」
ポツリとそう言ったわたしの頭に、ピエロさんは左手を乗せて優しく言いました。
「ああ、何でも。きみの願いだって叶えてあげるよ」
「じゃあ、お父さんとお母さんにもう一度会いたい!わたしをここから連れ出して!」
わたしは震える声で言いました。
びっくりしたわたしは口をパクパクさせるしかありませんでした。
「おっとっと、驚かせたかな?ごめんよ?」
今夜の星空みたいな黒いマント、白い手袋、ライオンのたてがみみたいな金色の髪。
わたしはまだなにが起きているか分からずにいました。
「ぼくは“しあわせピエロ”。聞いたことはないかな?」
わたしは首を横に振ります。
「おやおや残念。まずはごあいさつからだな。」
外を見るためにわたしが少しだけ開けた窓をもっと開けて縁側に座ったピエロさんは、空っぽだった手から
“ポン”
“ポン、ポン、ポン”
次々に鳩が出てきました。
「わぁ!すごい……」
マジックなんて初めて見るわたしは、思わずそう言いました。
ピエロさんが手で合図すると、さっき出てきた鳩が一列に並んで同じ方向に首を振りました。
次にピエロさんが手をたたくと、それに合わせてダンスを踊り始めました。
わたしがそれに見とれていると、次にピエロさんが空っぽの手からこんどはサッカーボールを出しました。
ピエロさんはそれで玉乗りを始めました。
時々落ちそうになったり、片足だけで乗ったりしていました。
その顔がおもしろくて、わたしは笑ってしまいました。
「喜んでもらえたみたいだね、よかった♪」
15分ほどの小さなサーカスをしたピエロさんは、ボールと鳩にピエロさんが着ていたマントを被せました。
次にそのマントをめくった時には、全部消えていました。
驚いたわたしを見たピエロさんは得意顔で言いました。
「ピエロは何だってできるんだ」
「……何でも?」
ポツリとそう言ったわたしの頭に、ピエロさんは左手を乗せて優しく言いました。
「ああ、何でも。きみの願いだって叶えてあげるよ」
「じゃあ、お父さんとお母さんにもう一度会いたい!わたしをここから連れ出して!」
わたしは震える声で言いました。
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