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冒険者ギルド
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おばあさんが言った通り、大通りを8分ほど歩くと明らかに冒険者ギルドっぽい小綺麗な建物があった。
看板にも日本語ではない言語で『冒険者ギルド・ファング』と書かれている。
木製の扉を開くと、正面には受付、右側には大きなボードに依頼書のようなものが貼り付けられていた。
「いらっしゃいませ、ご利用は初めてでしょうか?」
受付に近づくと、丸眼鏡をかけたケモ耳のお姉さんがそう言う。
「はい…」と短く返すと、ケモ耳のお姉さんが「では、この水晶に手を当ててください」と紫色とその中に青色が広がったような模様の水晶。
言う通りに手を当てると、水晶が淡く光を出して、目の前に不透明な空中に浮かぶ薄い板が浮かび上がる。
「はい、ありがとうございました。これが貴方のステータスになります」
ステータスには基本的な自分の能力値の情報や称号、職業が記載されている。
「…ッ」
名前欄には『司』ではなく『ロウ・スローウィン』と記載されている。
この世界での俺の名前なのか…?
「どうかなされましたか?あら、あなたスローウィンの戦士なんですね!」
スローウィンの戦士?スローウィンとは国の名前なのか?…それとも村の名前だったり…?
「そうだ」
「スローウィンの方は筋力が高く冷静で、皆剣の腕が立つと有名ですから!期待していますよ!」
スローウィンとはどこかの地名らしい。背中に大剣を軽々と振るえたのは筋力のおかげなんだろうか。
「これがあなたのギルドカードです!ギルドの登録は完了いたしましたので、依頼を受ける際は右側にある掲示板から依頼書を持ってきていただければ受けることができますよ!」
ギルドカードは免許証のようなカードで名前、役職、討伐数などが勝手に記載されている。
このギルドカードがあるお陰で討伐数の虚偽報告などの犯罪が大幅に軽減されたらしい。
掲示板を見てみると、色々な種類の依頼があった。薬
・草、毒消し草の採取。報酬銅貨10枚
・近隣に生息する長牙牛5頭討伐。報酬銅貨25枚
・薬の生成の手伝い。報酬銅貨20枚
・森に出た魔斬蟷螂1体討伐。金貨2枚。
こんな感じの依頼が沢山あるが、この中では魔斬蟷螂の討伐が圧倒的値高い。
魔斬蟷螂とは聞いたことがないが、こんなに報酬が高いということはそれ相応に強いのだろう。
「そこの方、よろしければわたしと組みませんか?」
後ろから声がしたので振り返ると、そこにはフード付きの長いコートを着た人がいた。
声的に男性ということは分かる。
「失礼しました。わたしはリムという魔術師です」
流れるように一礼する彼からは、何故か気品さを感じる。
「あぁ…えっと、俺はロウ・スローウィン、戦士です」
慣れない自己紹介をして、こちらも一礼する。
「わたしは近接が苦手で…そこでお力をお借りしたくて一緒に来ていただけませんか?」
俺の手を両手で握って、上目遣いで言ってくるリム。
フードから見える瞳は黄金で、とても美しい。
「分かりました。俺で良ければ…」
ぐいぐいと詰めるリムに押され、つい合意してしまう。
「本当ですか!よろしくお願いします、ロウさん」
こうして、司ことロウは突如現れたリムと名乗る魔術師と初の依頼を受けることとなったのであった。
看板にも日本語ではない言語で『冒険者ギルド・ファング』と書かれている。
木製の扉を開くと、正面には受付、右側には大きなボードに依頼書のようなものが貼り付けられていた。
「いらっしゃいませ、ご利用は初めてでしょうか?」
受付に近づくと、丸眼鏡をかけたケモ耳のお姉さんがそう言う。
「はい…」と短く返すと、ケモ耳のお姉さんが「では、この水晶に手を当ててください」と紫色とその中に青色が広がったような模様の水晶。
言う通りに手を当てると、水晶が淡く光を出して、目の前に不透明な空中に浮かぶ薄い板が浮かび上がる。
「はい、ありがとうございました。これが貴方のステータスになります」
ステータスには基本的な自分の能力値の情報や称号、職業が記載されている。
「…ッ」
名前欄には『司』ではなく『ロウ・スローウィン』と記載されている。
この世界での俺の名前なのか…?
「どうかなされましたか?あら、あなたスローウィンの戦士なんですね!」
スローウィンの戦士?スローウィンとは国の名前なのか?…それとも村の名前だったり…?
「そうだ」
「スローウィンの方は筋力が高く冷静で、皆剣の腕が立つと有名ですから!期待していますよ!」
スローウィンとはどこかの地名らしい。背中に大剣を軽々と振るえたのは筋力のおかげなんだろうか。
「これがあなたのギルドカードです!ギルドの登録は完了いたしましたので、依頼を受ける際は右側にある掲示板から依頼書を持ってきていただければ受けることができますよ!」
ギルドカードは免許証のようなカードで名前、役職、討伐数などが勝手に記載されている。
このギルドカードがあるお陰で討伐数の虚偽報告などの犯罪が大幅に軽減されたらしい。
掲示板を見てみると、色々な種類の依頼があった。薬
・草、毒消し草の採取。報酬銅貨10枚
・近隣に生息する長牙牛5頭討伐。報酬銅貨25枚
・薬の生成の手伝い。報酬銅貨20枚
・森に出た魔斬蟷螂1体討伐。金貨2枚。
こんな感じの依頼が沢山あるが、この中では魔斬蟷螂の討伐が圧倒的値高い。
魔斬蟷螂とは聞いたことがないが、こんなに報酬が高いということはそれ相応に強いのだろう。
「そこの方、よろしければわたしと組みませんか?」
後ろから声がしたので振り返ると、そこにはフード付きの長いコートを着た人がいた。
声的に男性ということは分かる。
「失礼しました。わたしはリムという魔術師です」
流れるように一礼する彼からは、何故か気品さを感じる。
「あぁ…えっと、俺はロウ・スローウィン、戦士です」
慣れない自己紹介をして、こちらも一礼する。
「わたしは近接が苦手で…そこでお力をお借りしたくて一緒に来ていただけませんか?」
俺の手を両手で握って、上目遣いで言ってくるリム。
フードから見える瞳は黄金で、とても美しい。
「分かりました。俺で良ければ…」
ぐいぐいと詰めるリムに押され、つい合意してしまう。
「本当ですか!よろしくお願いします、ロウさん」
こうして、司ことロウは突如現れたリムと名乗る魔術師と初の依頼を受けることとなったのであった。
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