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3巻

3-2

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「もしかして君、姿を消していたのか?」

 魔族は多種多様。そしてその能力も多種多様だ。
 そう考えれば、姿を消せる能力を持っている魔族がいても不思議ではない。

「なっ!?」

 そんな何気ない俺の質問を聞いた途端、額に怒りマークを浮かべていた少女の足がピタリと止まった。
 それどころか顔色を一瞬で青ざめさせ、ゆっくりと後ずさりを始める。

「な、な、な、なんのことか我にはさっぱりじゃが?」

 あからさまに挙動不審となった少女は、そう言ってくるりと俺たちに背を向ける。

「きょ、今日のところはこれくらいで許しておいてやるのじゃー!!」

 そしてそんな三下悪役のような捨て台詞を残し、突然走って逃げ出した。
 街の雑踏の中、すぐにその小さな背中は人混みで見えなくなってしまう。
 俺たちは魔族少女の突然の反応に唖然としつつ、見送るしか出来なかった。

「……魔族に能力を聞くのはタブーとか、そういうルールでもあるのか?」

 俺は傍らのニッカに尋ねる。
 だが彼女は小さく首を振った。

「そんな話は聞いたことはありませんけど……でも、能力スキルってあまり人に知られたくないものですから」
「だから逃げちゃったのかもね」
「それはそうかもしれないな」

 自分の能力を人に教えるというのは、場合によっては自殺行為になりうる。
 現にニッカとグラッサは、彼女たちのスキルがバレて利用されることを恐れ、王都から逃げることになったのだ。
 実際に王都では、そのせいで色々面倒に巻き込まれる羽目はめになったわけで。

「しかし、気配すら俺に気付かせず完全に姿を消す能力か……」

 魔都とも呼ばれるこのカーザリアに入ってから、俺はそれなりに気を張っていた。
 初めて来る土地でもあるし、ルチマダほどではないにしても、かもし出す気配だけでもかなりの強者だとわかる魔族がそこかしこを闊歩かっぽしているような場所だ。
 更に言えばここは奴の――ルチマダの本拠地だ。
 奴は倒したが、その仲間や信奉者がこの魔都にいないとは思えない。彼らがもしドワーフ王国での一件を知れば、かたきである俺を倒そうと襲いかかってくるだろう。
 だからずっと気配探知に加え魔力探知も発動しつつ警戒は続けていたのだが……そのどれにも、あの少女は引っかからなかった。

「やっぱり魔族ってのは底が知れないな」

 あのレベルの隠密おんみつスキル持ちが沢山いるとしたら、俺でも不意打ちを防げる自信はない。
 ニッカたちを不安にさせたくはないが、彼女たちにも少しは警戒しておいてもらった方が良いだろう。

「俺にすら気付かれない力を持った魔族がいるってわかっただけで収穫だな」
「トーアさんに気付けなかったなら、私たちが気付くはずもありませんね」
「そうだよ。石を蹴ったのは悪かったけど、あんな変な所に人が隠れてるなんて誰も思わないじゃん。隠れるならもっと隅っこの方に隠れてればいいのにさ」

 グラッサは、少女に頭ごなしにしかられたことを少し根に持っているようだ。

「それはそうかもしれないけど、これからはもう少し注意はしておいた方が良いだろうな」

 グラッサの気持ちもわからないでもない。
 だが突然石をぶつけられた魔族少女の気持ちを考えると、彼女を悪くも言えない。

「それはそうと、そろそろ宿探しに戻らないと日が暮れちまうぞ」

 俺は曖昧あいまいな笑みを浮かべながら、二人の背中を軽く手のひらで押したのだった。


「なんとか宿が見つかってよかったですね、トーアさん」
「ああ、本当にな」

 俺たちがやっと宿を決めることが出来たのは、陽が傾きかけた頃だった。
 しかし取れたのはたったの一部屋。
 しかもダブルベッドが一つだけの狭い部屋しか取れなかったのである。

「エキストラベッドはさすがになかったか」

 そもそもこの世界にエキストラベッドなどという概念がいねんがあるかは不明だったのだが、一応聞いてみたところ「そんなものはない」と言われてしまった。
 ダブルベッドはもちろんニッカたちに使ってもらうので、俺は一人、床で眠ることになる。
 一応寝袋は持っているのでそれにくるまるつもりだが……それはそれで寂しくはある。
 ともかく、そんな部屋の中、俺たちは街で買い込んだ食料を食べながら、歩き回って疲れた足を休めていた。
 初めて来る街で、しかもこれだけ賑わっているとなると、他の地では見たこともない商品を扱っている店もいくつかあった。
 宿を探しながらもそんな店を見て回ったせいで余計に疲れがまったが、それはそれで楽しくもあり、旅の醍醐味だいごみともいえよう。

「さすが魔族の国ですね。魔物素材で作ったものが、どの店にも置いてあって驚きました」
「しかも相場がプレアソール王国の半額以下だから、色々買っちゃった」

 二人の乙女おとめは、ダブルベッドの上で戦利品を並べながら楽しそうにおしゃべりをしている。
 前世であればそこに並んでいるのはブランドもののバッグや服、アクセサリーだったろう。

「このカースウルフのきばで作ったナイフ、早く使ってみたいなぁ」
「こっちのアースゲーターの籠手こてならそのナイフも防げるかな?」
「その籠手いいよね。私も欲しかったけど、ちょっと装備するには重いかなって。ほら、私って速さ重視だからもう少し軽くないと」

 だがさすがにこの世界の女子。
 しかも冒険者ともなると、買ってきたものは実用性重視のものばかりで、俺的にはちょっと微妙な気持ちにさせられた。

「だよね。グラッサの場合は魔物の後ろに回り込んで切ったらすぐに離れなきゃいけないし、これだと重いかも」
「そうそう。あたしは攻撃魔法とか使えないから、どうしても近づいて攻撃しないといけないし、一撃で相手を倒せるほど強くもないから」
「失敗したら反撃受けちゃうかもしれないしね」
「だからなるべく軽くて丈夫なものにしたいんだ」
「でもだったら、フラウバードの骨で作った胸当てでもよかったんじゃない? あれは軽かったし」
「うーん、あれはサイズがね……ニッカの胸ならちょうど良かったかもしれないけど、あたしにはちょっと大きかったから」

 しかし話の内容が乙女の会話とは思えないほど殺伐さつばつとしている。
 後ろに回り込んで切るとか反撃されるとか笑いながら話す系女子怖い。
 あと、胸当てのサイズとかの会話は俺がいない所でやってほしい。
 俺がそんなことを考えながら、屋台で買ってきたノンアルコールビールのような謎の飲み物を飲んでいると、突然グラッサが黙り込む。

「トーア。チェキから連絡が来たよ」

 しばらく黙っていたグラッサが、俺の方を向いて自分の腕を持ち上げた。
 そこには『誓約せいやくの腕輪』がまっている。
 本来は『誓約の指輪』というドワーフ族が結婚の際に作る、離れていてもドワーフ同士であればお互いの意思疎通そつうが可能になる魔道具だ。だが、魔族であるルチマダがそれを模倣もほうして作ったために技術が足りず、腕輪サイズになってしまったものである。しかしドワーフ族以外は使うことが出来ないその魔道具を奴がなぜ作ろうとしたのかはもう知るすべはない。


 ドワーフではないグラッサにとっては、何の役にも立たないただのアクセサリーでしかないはずだった。しかし、一方的ではあるがドワーフの血を引くチェキから腕輪を着けているグラッサへの連絡に使えることが判明したため、身に着けてもらっておいたのだ。
 それが早速役に立った。

「なんて言ってきたんだ?」
「ちょっと待って」

 そしてグラッサは、中空を見て数秒してから俺の方を向く。

「入城の許可をもらったから、今からでも魔王城に来てほしいってさ」
「わかった。それじゃあすぐに行こうか」

 どうやら俺たちも魔王の城に入ることが出来るらしい。

「宿泊出来る部屋も用意してくれてあるって」

 これで床で眠る必要もなくなったな。

「それじゃあ、この宿はどうします?」

 ニッカがそう言って首を傾げる。
 せっかく見つけた宿だが、城に泊まれるならもう必要はない。

「もったいないが金だけ払って引き上げよう」
「わかりました。じゃあ荷物を片付けてすぐに出る準備しますね」

 俺たちはそう決めると、早速ベッドの上やテーブルに広げたゴミや街で買ったものを片付ける。
 それから宿の主人に宿泊費を払って「知り合いの家に泊まることになったから」とだけ告げて宿の外に出た。

「夕方ですけど人通り多いですね」
「そうだな」

 ニッカの言う通り、もうすぐ日が暮れるというのに、未だに道行く人の数は減ったように感じない。
 昼間は見かけた走り回る子供たちの姿は流石に見当たらなくなったが、違いはそれくらいだ。

「酒場とかも結構あるみたいだしな。これからは大人の時間ってことだろ」

 魔王城に向かう道すがら、活気付く魔都の姿にキョロキョロしつつ足を進める。
 やがて魔王城が見える大通りに出た。
 通りの左右には多くの屋台が並び、昼間と違って大人たちがジョッキを片手に酒を楽しんでいる姿がそこかしこに見える。

「美味しそうなにおい。どこの店だろ」

 屋台から流れてくる香りに、グラッサが鼻をひくつかせ、ニッカも目を輝かせる。

「夜のお店も王国で見たことがないものばかり扱ってるみたいですね。気になっちゃいます」
「さっき飯は食べたばっかりだろ」

 ふらふらと屋台に引き寄せられていくグラッサとニッカの首根っこを掴んで引き戻す。
 たしかに初めてぐ美味しそうな匂いがそこら中から流れてきて、かれる気持ちはわからなくもない。
 だが今は寄り道をしている暇はない。

「チェキをいつまでも待たせるつもりか?」
「そ、そうだった」

 なにせ『誓約の腕輪』での通信は一方通行である。
 つまりチェキに、こちらからいつ頃到着するかを連絡する手段がない。

「どうせしばらくはここにいるんだから、明日の夜にでも来ればいいじゃないか」
「だよね」
「じゃあ急ぎましょう」

 俺たち三人はそううなずき合うと、居並ぶ屋台に後ろ髪を引かれながらも一路魔王城へ向かうために足を速めた。


 しかしそんな俺たちを待っていたのは、意外な風景だった。

「なんだこりゃ」

 魔王城の前にある正門前広場へたどり着いた俺は、そこを埋め尽くす魔族の群衆に目を見開いた。
 チェキ達と一緒に馬車で昼間訪れたときも人は多かったが、今はその比ではない。

「広場でお祭りか何かやっているんでしょうか?」

 ニッカが人混みの先を見ようと、その場でピョンピョン跳ねる。
 だが背の低い彼女がいくら飛び跳ねても、人の山の向こう側は見えない。
 背の高い魔族が多いせいで俺ですら数メートル先くらいしか見えないのだから当然だ。

「それにしては雰囲気がおかしいよね」
「だな」

 広場にこれだけ沢山の人が集まるようなもよおものがあるのなら、周囲はもっと楽しそうで活気溢れる雰囲気になるはずだ。
 だが人々の顔に浮かんでいるのは、どちらかというと楽しそうなものではなく困惑に近いものだ。
 それどころか、涙を流して悲しんでいる人もいる。
 流石にこれはおかしい。

「ちょっといいですか?」

 気になった俺は嫌な予感を覚えつつ、近くにいた身長二メートルくらいのがっしりとした体格の女性魔族に声をかけてみた。
 頭に一本角を生やして青い肌をした姿は、まるで昔話に出てくる青鬼のようだ。

「なんだい?」
「どうして皆さんここに集まっているんですか?」
「ん? そうか。アンタは帝国の人じゃないんだね」
「ええ、プレアソール王国から来ました」
「ああ、あの人間族の国の。それじゃあ知らなくても仕方ないか。実はね……」

 女性は少しだけひざを曲げ俺と目線を合わせてから、小さな声で教えてくれた。
 その内容は俺が予想していた通り――

「魔王様がお亡くなりになったんですか!?」
「しーっ。本当の話かどうかはわからないから、あんまり大きな声を出さないでおくれよ」
「すみません」

 俺は少しわざとらしくしすぎたかと反省しつつも、深刻な表情を作りながら話の続きを聞いた。

「そういう話が夕方くらいから魔族の間で噂になっててね。こうやってみんな、王城の前に自然と集まってきたってわけさね」
「そうだったんですね。それで王城からは何か発表はあったんですか?」
「ないね。あったら『本当かどうかわからない』なんて言うはずがないだろ」
「たしかにそうですね。色々教えていただいてありがとうございました」

 俺は女魔族にお礼を告げると、ニッカたちに振り返って肩をすくめてみせる。
 そして周りに聞こえないように二人に女魔族から聞いた話を伝えた。

「どうやらどこからか魔王様のことがれたっぽいな」
「そうだったんですね。それで心配してこんなに人がいっぱい集まって……魔王様はとても慕われていたんですね」
「この国は良くも悪くも魔王が全てだからな。その魔王が崩御したという噂が本当なら、国自体が傾きかねないって、皆知ってるのさ」

 改めて見てみれば、広場に集まる人々の表情の奥に不安が見え隠れしているのがわかる。

「でもこれじゃあ城に近づけないよ」

 ニッカと同じように飛び跳ねて、魔王城正門の様子を見ようと頑張っているグラッサが困ったようにまゆを寄せた。
 たしかにこの状況だと、魔王城に近づくことも難しい。
 ただでさえ力の強い魔族たちが大勢広場に集まっているのだ。
 それを押しのけて正門に近づくのは、至難しなんわざだろう。
 もちろん本気を出せば出来ないことはないが、騒ぎを起こすのは本意じゃない。
 それにもし門までたどり着けても、魔族たちが押し寄せている中で門を開けてくれる可能性は低いだろう。

「他に入り口でもあればな」
「ぐるっと回って探してみます? 裏門とかあるかもしれませんよ」
「そっちにも人がいっぱいいるんじゃない? それにチェキが話を通してくれてるのは、正門の守衛さんだけかもしれないし」

 チェキからの連絡は、あれ以降入っていない。
 彼女が俺たちを城に入れるように手配してくれたと言っても、本来向かうはずのない裏門の守衛にまでそれが伝わっている可能性は低い。
 それにもしかしたら、チェキが門の中で俺たちの到着を待っていてくれる可能性もあるが、現状を伝える術もない。

「なんとかして騒ぎを起こさずに正門から入る必要があるが……ん?」

 正門まで穏便おんびんにたどり着く方法を、俺が考えているときだった。
 俺たちの横を一人の幼い魔族が通り過ぎていくのが目に入った。
 そして彼女は、そのまま人混みの中に飛び込んでいく。
 だが俺たちですら越えることが出来ないでいる人々の壁を、小さな彼女が突破出来るはずもない。
 何度も人混みに押し返されながらも、それでも彼女はあきらめずに突入しては弾き返されを繰り返す。

「通してくれなのじゃ」

 しかし彼女の声はざわめきにかき消され人々には届かない。
 やがて体力か気力が尽きたのか、彼女は地面にぺたりと座り込んで泣き出してしまった。

「ううっ、どうなっておるのじゃ。これでは帰れないではないかぁ……ぐずっ」

 鼻水をずずっと吸い、流れ出る涙を腕でゴシゴシとぬぐうその顔には見覚えがあった。

「あの子は……」

 俺がそう呟くと、ニッカもグラッサも彼女に気付いたようだ。

「グラッサが石を当てちゃった子ですね」
「ほんとだ。何してるんだろうね」

 やがて少女はとぼとぼと人混みから離れると、広場のわきに立つ街灯の下にしゃがみ込んだ。
 俺はそんな彼女が気になって声をかけようと一歩踏み出し――次に起こった出来事にその足を止めた。

「えっ」

 不思議なことに一瞬前まで確実に街灯の下にいたはずの少女が、突然その姿を消したのである。

「あの子、いきなり消えちゃったよ」
「えっ……ええっ!」

 グラッサたちも驚いているところを見ると、俺の見間違いではないことは確かだ。
 あの一瞬でどこかに移動した?
 いや、そもそも座り込んですぐに移動するとは考えられない。

「やっぱり彼女の能力は姿を消すことなのか」

 試しに魔力感知をしてみるが、あのときと同じように、彼女が消えた場所から反応は一切感じられない。

「昼間もあの力で隠れていたところにグラッサの石が当たったんですね」
「やっぱりそうだよね。あたし、蹴る場所くらい確認したもん」

 しかしどうしたものか。
 このまま彼女が姿を消した場所に近寄って声をかけて良いのだろうか。
 昼間の様子からすると、どうやら彼女は自分のその力を他人には知られたくないようだった。

「そっとしておいてやろうか」
「そうですね……でも私、少し気になったことがあるんです」
「何が?」

 ニッカの言葉にグラッサが続きを促す。

「さっきあの子が口にしてたことなんですけど」
「ん? たしか……帰れないとかなんとか言ってたけど、それがどうかした?」
「それって、もしかして魔王城に、ってことなんじゃないかなって」

 たしかに正門前には沢山の人が押し寄せていて近寄れない。
 だが、その広場の周りにある一般の建物の入り口まではふさがれてはいなかった。
 つまり、現状唯一『帰ることが出来ない場所』は魔王城だけである。

「だとすると、あの子は魔王城に住んでいるってことか?」

 巨大な魔王城の中にはきっと、住み込みで働いている者も多いだろう。
 たぶんそういった人たちの宿舎もあるに違いない。
 魔王城の雇用形態がどういうものかはわからないが、子供連れで働いている人がいても不思議とは思わない。
 前世でも、職場に育児施設が併設されているところもあったくらいだ。

「もしかして魔王様のお子さん……とか?」
「皇女様ってこと? いや、さすがにそれはないでしょ」
「でもしゃべり方とか、こういうと失礼だけどちょっと偉そうな感じだったじゃない?」
「そういえば『我』とか言ってたもんね――えっ、本当に?」

 ニッカの推理を聞いてグラッサの顔が青ざめる。
 もしあの少女が魔王の娘だとすれば、彼女はそんな身分の者に石をぶつけたということになる。

「とにかく本人に話を聞いてみよう。行くぞ」
「ええっ。あたしも付いていくの?」
「もしグラッサが不敬罪とかで処刑されそうになっても俺が助けてやるから」
「そんな怖いこと言わないでよ!」

 涙目で震えるグラッサ。
 だが俺はそんなことにはならないだろうと笑って告げる。

「大丈夫だって。昼間の様子を見る限り、あの子はそんな強権を振りかざすような子には見えなかったしな」
「で、でもさぁ」

 心配そうなグラッサに、俺は続けて提案を一つしてやることにする。

「そんなに心配ならさ。逆にここで彼女を助けてあげて、石をぶつけたことをチャラにしてもらえばいいんじゃないか?」
「そ、そうだね。うん。そうしよう」

 俺の提案に希望を見出したのだろう、グラッサは小さく握りこぶしを作って気合いを入れる。

「じゃあ行こうか」

 前にニッカも同じ仕草をしていたなと思い出しながら、俺たち三人は魔族の少女が消えた街灯の下へ向かったのだった。


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