4 / 7
私が倒してしまっても良いのでしょ?
しおりを挟む
「それでは皆さん、作戦通りにお願いしますわね」
私がそう告げると王国軍を迎え撃つフォルスト領軍が一斉に見事な動きで持ち場へ移動していきます。
兵のほとんどは、日頃は畑を耕し猟をしている領民たちでした。
だけれど長い間、この地で外敵を相手に戦い続けてきた者たちです。
一度も戦を経験していない王国軍のような烏合の衆である寄せ集めとは練度が違います。
少し高台となった場所から王国軍の上げる土煙が見えてきました。
斥候に放った侍従の話から、予想通り騎兵部隊の先頭で駆けてくるのがガラハッドであることは伝わってきております。
しかし、血気に逸るせいか後方の歩兵部隊が付いてこれていないらしく、騎馬部隊だけが突出してしまっているらしいのです。
「愚かですね」
「いかがいたしましょう」
「そうですわね。でしたら――」
私は斥候からの報告を元に作られた戦況を描いた地図を指さしながらイザベルに応えます。
「あの方たちは私たちを甘く見すぎているようですから、ありがたくその騎馬部隊を殲滅しちゃいましょう」
私はイザベルを通じて各部隊に指示を伝えると、自らも軍馬を駆って丘を駆け下りていきます。
目標は先頭を目を血走らせて向かってくるガラハッド。
「アンネ様、回りの雑兵は我々が」
「別に全員私が倒してしまっても良いのでしょ?」
「それでは私たちの溜飲が下がりませんので」
「そうね。わかったわ」
そんな話をしているうちに、各部隊と打ち合わせした作戦開始地点をガラハッドの騎馬部隊が通過します。
その場所は山を切り開いた幅100メートルほどの道で、我が領へ攻め込むにはそこを通るしかありません。
「いまよ!」
伝令役に送り込んでいた侍女の一人の号令と共に山陰に潜んでいた我が軍の別働隊が動きます。
彼らは騎馬部隊が通り過ぎた後に壁を築き、騎馬の退却を阻止すると同時に最終的に岩を崖上から落とすことで道を完全に塞ぎ後方から遅れて来る部隊を足止めする役割をになっています。
王国軍とはいえ、そのほとんどは何の罪も無い国民です。
後のことを考えれば彼らをこんな戦で失うのは国家の損失でしかありません。
ですのでなるべく被害を少なくして、主に叩くのはその頭に決めていました。
「ここまでは作戦通りですわね」
こんな作戦は戦に慣れている相手には効くはずもありませんが、功に焦って怒りに我を忘れているガラハッドのような者は簡単に嵌まってくれるので笑いが止まりません。
ですがガラハッドたちはそんなことにも気づかず、私めがけて今も一直線で突き進んできています。
「猪武者とはあのような者の事を言うのでしょうね」
全く周りが見えていない様な者が、この王国の最強を名乗っていたなんて。
「本当の最強というものを見せてあげましょう。皆、行くわよ!」
「「「はい!」」」
私の号令と共にイザベルをはじめとした侍女たちが散会していきます。
私には及ばないものの、彼女たちもお父様が鍛えた一騎当千の猛者たちです。
なんの心配もいりません。
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!! 小娘ぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
「あらあら、そんなに大声を上げられては迷惑ですわよ」
「黙れ!! 死ねぇぇぇい!!」
他の者たちに脇目も振らず、私に向かって一直線に突っ込んできたガラハッドの攻撃を、私はいつぞやと同じように軽いステップで躱します。
本当にわかりやすい太刀筋ですこと。
これでしたら辺境の野蛮な部族の兵士の方がまだ工夫を凝らした戦い方をいたしますわよ。
私は思わずため息をこぼしてしまいました。
私がそう告げると王国軍を迎え撃つフォルスト領軍が一斉に見事な動きで持ち場へ移動していきます。
兵のほとんどは、日頃は畑を耕し猟をしている領民たちでした。
だけれど長い間、この地で外敵を相手に戦い続けてきた者たちです。
一度も戦を経験していない王国軍のような烏合の衆である寄せ集めとは練度が違います。
少し高台となった場所から王国軍の上げる土煙が見えてきました。
斥候に放った侍従の話から、予想通り騎兵部隊の先頭で駆けてくるのがガラハッドであることは伝わってきております。
しかし、血気に逸るせいか後方の歩兵部隊が付いてこれていないらしく、騎馬部隊だけが突出してしまっているらしいのです。
「愚かですね」
「いかがいたしましょう」
「そうですわね。でしたら――」
私は斥候からの報告を元に作られた戦況を描いた地図を指さしながらイザベルに応えます。
「あの方たちは私たちを甘く見すぎているようですから、ありがたくその騎馬部隊を殲滅しちゃいましょう」
私はイザベルを通じて各部隊に指示を伝えると、自らも軍馬を駆って丘を駆け下りていきます。
目標は先頭を目を血走らせて向かってくるガラハッド。
「アンネ様、回りの雑兵は我々が」
「別に全員私が倒してしまっても良いのでしょ?」
「それでは私たちの溜飲が下がりませんので」
「そうね。わかったわ」
そんな話をしているうちに、各部隊と打ち合わせした作戦開始地点をガラハッドの騎馬部隊が通過します。
その場所は山を切り開いた幅100メートルほどの道で、我が領へ攻め込むにはそこを通るしかありません。
「いまよ!」
伝令役に送り込んでいた侍女の一人の号令と共に山陰に潜んでいた我が軍の別働隊が動きます。
彼らは騎馬部隊が通り過ぎた後に壁を築き、騎馬の退却を阻止すると同時に最終的に岩を崖上から落とすことで道を完全に塞ぎ後方から遅れて来る部隊を足止めする役割をになっています。
王国軍とはいえ、そのほとんどは何の罪も無い国民です。
後のことを考えれば彼らをこんな戦で失うのは国家の損失でしかありません。
ですのでなるべく被害を少なくして、主に叩くのはその頭に決めていました。
「ここまでは作戦通りですわね」
こんな作戦は戦に慣れている相手には効くはずもありませんが、功に焦って怒りに我を忘れているガラハッドのような者は簡単に嵌まってくれるので笑いが止まりません。
ですがガラハッドたちはそんなことにも気づかず、私めがけて今も一直線で突き進んできています。
「猪武者とはあのような者の事を言うのでしょうね」
全く周りが見えていない様な者が、この王国の最強を名乗っていたなんて。
「本当の最強というものを見せてあげましょう。皆、行くわよ!」
「「「はい!」」」
私の号令と共にイザベルをはじめとした侍女たちが散会していきます。
私には及ばないものの、彼女たちもお父様が鍛えた一騎当千の猛者たちです。
なんの心配もいりません。
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!! 小娘ぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
「あらあら、そんなに大声を上げられては迷惑ですわよ」
「黙れ!! 死ねぇぇぇい!!」
他の者たちに脇目も振らず、私に向かって一直線に突っ込んできたガラハッドの攻撃を、私はいつぞやと同じように軽いステップで躱します。
本当にわかりやすい太刀筋ですこと。
これでしたら辺境の野蛮な部族の兵士の方がまだ工夫を凝らした戦い方をいたしますわよ。
私は思わずため息をこぼしてしまいました。
2
お気に入りに追加
83
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m


婚約破棄……そちらの方が新しい聖女……ですか。ところで殿下、その方は聖女検定をお持ちで?
Ryo-k
ファンタジー
「アイリス・フローリア! 貴様との婚約を破棄する!」
私の婚約者のレオナルド・シュワルツ王太子殿下から、突然婚約破棄されてしまいました。
さらには隣の男爵令嬢が新しい聖女……ですか。
ところでその男爵令嬢……聖女検定はお持ちで?

嫁ぎ先(予定)で虐げられている前世持ちの小国王女はやり返すことにした
基本二度寝
恋愛
小国王女のベスフェエラには前世の記憶があった。
その記憶が役立つ事はなかったけれど、考え方は王族としてはかなり柔軟であった。
身分の低い者を見下すこともしない。
母国では国民に人気のあった王女だった。
しかし、嫁ぎ先のこの国に嫁入りの準備期間としてやって来てから散々嫌がらせを受けた。
小国からやってきた王女を見下していた。
極めつけが、周辺諸国の要人を招待した夜会の日。
ベスフィエラに用意されたドレスはなかった。
いや、侍女は『そこにある』のだという。
なにもかけられていないハンガーを指差して。
ニヤニヤと笑う侍女を見て、ベスフィエラはカチンと来た。
「へぇ、あぁそう」
夜会に出席させたくない、王妃の嫌がらせだ。
今までなら大人しくしていたが、もう我慢を止めることにした。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています

婚約破棄されたので王子様を憎むけど息子が可愛すぎて何がいけない?
tartan321
恋愛
「君との婚約を破棄する!!!!」
「ええ、どうぞ。そのかわり、私の大切な子供は引き取りますので……」
子供を溺愛する母親令嬢の物語です。明日に完結します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる