3 / 7
徹底的にやります
しおりを挟む
フォルスト辺境伯領に帰り着いた私は、早速王国軍を迎え撃つ準備を始めました。
といっても既にイザベルたちによってあの出来事がお父様に届いていたらしく、私がすることはほとんどございませんでした。
本当に手際が良すぎて私のやることが減って困ってしまいますわね。
「それではお父様、行ってまいります」
「ああ、好きにしろ。後の事は私たち大人がなんとかする」
お父様はそう微笑むと、机の上に広げられた書類を指先で叩きます。
その書類にはこの国をずっと外敵から守ってきた四大辺境伯全ての血判が押されていました。
さすがお父様。
イザベルたちを鍛えた本人だけはありますわね。
「我々と民が命をかけて長い間国を守ってきたというのに、中央の奴らはそれに全く報いようとはせず私腹を肥やし続けてきた」
四大辺境伯だけでは無く、中央に搾取されるだけの中小貴族たち。
彼らの訴えは王族にも届いていたはず。
でも彼らの取った行動はその是正ではなく、力を持った貴族の娘を人質の様に差し出せという命令でした。
私のように王子の婚約者にさせられた者はまだマシで。
中小の貴族の娘たちは、王都で私腹を肥やす商人や諸侯に強制的に嫁がされたりもしていたのです。
「徹底的にやってもよろしいのですわよね?」
扇で口元の笑みを隠すように私がそう尋ねると、お父様は静かに頷きました。
「ではお任せくださいまし」
『領主の許可』が出た所で私はお父様の執務室を後にします。
「イザベル」
「はい」
部屋を出て廊下を歩いていると、いつの間にかイザベルが私の後ろをついてきていました。
私ですら油断していると彼女の気配に気がつかないこともあります。
もし彼女が私の暗殺計画に関わっていれば、すでに私の命は無かったことでしょう。
「お父様から許可が出ましたわ」
「それでは」
「ええ、徹底的にやりますわよ」
「ですが、王国軍は無理やり徴収された民がほとんどです」
「わかってますわ。きちんと区別して潰しますから」
私はそうイザベルに告げると、出陣の準備をするために侍女たちが待つ私専用のドレッサールームに向かうのでした。
といっても既にイザベルたちによってあの出来事がお父様に届いていたらしく、私がすることはほとんどございませんでした。
本当に手際が良すぎて私のやることが減って困ってしまいますわね。
「それではお父様、行ってまいります」
「ああ、好きにしろ。後の事は私たち大人がなんとかする」
お父様はそう微笑むと、机の上に広げられた書類を指先で叩きます。
その書類にはこの国をずっと外敵から守ってきた四大辺境伯全ての血判が押されていました。
さすがお父様。
イザベルたちを鍛えた本人だけはありますわね。
「我々と民が命をかけて長い間国を守ってきたというのに、中央の奴らはそれに全く報いようとはせず私腹を肥やし続けてきた」
四大辺境伯だけでは無く、中央に搾取されるだけの中小貴族たち。
彼らの訴えは王族にも届いていたはず。
でも彼らの取った行動はその是正ではなく、力を持った貴族の娘を人質の様に差し出せという命令でした。
私のように王子の婚約者にさせられた者はまだマシで。
中小の貴族の娘たちは、王都で私腹を肥やす商人や諸侯に強制的に嫁がされたりもしていたのです。
「徹底的にやってもよろしいのですわよね?」
扇で口元の笑みを隠すように私がそう尋ねると、お父様は静かに頷きました。
「ではお任せくださいまし」
『領主の許可』が出た所で私はお父様の執務室を後にします。
「イザベル」
「はい」
部屋を出て廊下を歩いていると、いつの間にかイザベルが私の後ろをついてきていました。
私ですら油断していると彼女の気配に気がつかないこともあります。
もし彼女が私の暗殺計画に関わっていれば、すでに私の命は無かったことでしょう。
「お父様から許可が出ましたわ」
「それでは」
「ええ、徹底的にやりますわよ」
「ですが、王国軍は無理やり徴収された民がほとんどです」
「わかってますわ。きちんと区別して潰しますから」
私はそうイザベルに告げると、出陣の準備をするために侍女たちが待つ私専用のドレッサールームに向かうのでした。
1
お気に入りに追加
83
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

婚約破棄ですか。それでは真実の愛(笑)とやらを貫いていただきましょう。
舘野寧依
恋愛
真実の愛(笑)とやらに目覚めたとかで、貴族の集まる公の場で王太子様に婚約破棄されたわたしは、エヴァンジェリスタ公爵令嬢のロクサーナと申します。
王太子様に愛する男爵令嬢をいじめたとかで難癖をつけられましたが論破。
しかし、聞くに堪えない酷い侮辱を受けたので、公爵家ともども王家を見限ることにしました。
その後、王太子様からわたしの元に書状がたくさん舞いこんできますが、もう関わりたくもないですし、そちらが困ろうが知ったことではありません。
どうぞ運命のお相手と存分に仲良くなさってくださいませ。

婚約破棄……そちらの方が新しい聖女……ですか。ところで殿下、その方は聖女検定をお持ちで?
Ryo-k
ファンタジー
「アイリス・フローリア! 貴様との婚約を破棄する!」
私の婚約者のレオナルド・シュワルツ王太子殿下から、突然婚約破棄されてしまいました。
さらには隣の男爵令嬢が新しい聖女……ですか。
ところでその男爵令嬢……聖女検定はお持ちで?

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

【完結】勘違いしないでくれ!君は(仮)だから。
山葵
恋愛
「父上が婚約者を決めると言うから、咄嗟にクリスと結婚したい!と言ったんだ。ああ勘違いしないでくれ!君は(仮)だ。(仮)の婚約者だから本気にしないでくれ。学園を卒業するまでには僕は愛する人を見付けるつもりだよ」
そう笑顔で私に言ったのは第5王子のフィリップ様だ。
末っ子なので兄王子4人と姉王女に可愛がられ甘えん坊の駄目王子に育った。
婚約破棄からの断罪カウンター
F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。
理論ではなく力押しのカウンター攻撃
効果は抜群か…?
(すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる