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※5 後

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背中を洗われた後、背後から伸びてきたスポンジを思わず掴んでしまった。思い出したくもないが無数の鬱血痕が残る胸は確かに男に何度も触られたし、それ以上のことをされた。それでもやはり、洗われるのは嫌だ。
 男もまさか私が行動をおこすと思ってなかったのか、耳元でハッと息を吐いたのが伝わった。耳を掠める空気に肩が跳ねてしまう。それでも手を退けることもできず、膠着状態に陥ってしまう。背中に感じる濡れたシャツのぺたりとした感覚。男の胸の中にすっぽりと埋まってしまっている今の状況、この後どうなるかは全て彼に委ねられている。息をすることにさえ細心の注意を払う。


 意外なことに永遠に続くのかと思われた沈黙は、男がスポンジを手放したことで終わりを迎えた。
 これは、自分で洗ってもよいということなのだろうか?
 試しにゴシゴシと胸を擦ってみても特に男からは何も言われなかった。ひとまず、今は自分の体を洗うことに専念することにする。少しでも背後にいる男のことを頭の外に追いやりたかった。


 私が身体を洗っていると、急に髪の毛の間に手を通された。そのまま引っ張られるのではないかと身体を固くしたけれど、どうやら頭を洗ってくれるようだと頭皮に伝わる振動とシャワシャワとシャンプーが泡立つ音が教えてくれる。
 なんとか手を動かして身体を洗い終えると、じっとシャンプーが終わるのを待っていた。はじめは身構えていたものの、シュクシュクとリズムを刻む心地よい音と振動に気がついたら少しリラックスしてしまっていたようだ。ボーッとしてしまったようで、頭からお湯が降ってきたところでようやく現実に引き戻された。
 頭のてっぺんから体に乗っていた真っ白な泡が流されていく。でも、白い泡の下から出てきたのは赤黒い鬱血痕が散らばる汚い体で、いろんな体液がカピカピになってこびりついていた時よりはマシだけど、それでも悲しい。

「脚、開け」

 己の汚された身体にむけていた意識は肩越しに放たれた一言で浴室へと引き戻された。やはりここでまたこの男に犯されるのだろうか。
 何も答えられないでいると、

「早くしろ。孕みたくないんだろ。ここ、綺麗にしなくていいのか」

 ここ、と指し示された先に見つけてしまったまだ体に残る白。男の精液と私の体液が混ざっているそれ。ぼたぼたと滴り落ちるそれにくらりと目眩を感じる。目が覚めてからの一連の流れですっかり失念していたけど思い出した途端、言われたように早く綺麗にしなきゃという思考に取り憑かれる。

 後ろから伸びてくる男の手が私のそこに伸びる。その手を必死で止めて

「じ、自分でやります、から…」

 と言えば、好きにしろと言わんばかりに元の位置に私の顔の横を通って戻っていった。

 でもどうやって?中に指を入れるのだろうか?自分でやるとは言ったものの今まで自慰をしたこともなく、男に無理やり開かれたそこを触るのはとても抵抗がある。ある、けど…やらなければ妊娠してしまうかもしれない。そんなこと、考えるだけでも恐ろしい。
 やるしかないと腹をくくり、軽く足を開いて人差し指を秘部にそっと当ててみる。お湯のせいだけではないと嫌でも分かるヌルッとしたもので温かく潤っているそこにヌプリと第一関節を埋める。しかし、この先どうしていいのかわからない。自分の身体だけど、どうなっているのかわからないしこれ以上先に指を進めることは到底できそうにもない。

「なんだ、できないのか。それなら俺がやろう」

 あっという間に後ろから男の腕が私の秘部に伸びて、

「アッ、」

 つぷりとゴツゴツと骨張った指が侵入してきた。中指を奥までずっぷりと埋められる。キュン、と私の意思に反して男の指を締め付けてしまう。そのまま指を二本に増やされて中で鉤形に曲げたそれで膣壁を擦られる。

 ジュブジュプクチュクチャ

「~~っンア…!」

 嫌なのに、与えられる刺激に声が抑えきれずに漏れてしまう。あの夜散々教え込まれた膣を掻き回される感覚が快感に直結するようになってしまった。
 掻き出されて白く泡立ったものが視界に映る。目をそらそうとして、目の前に大きな鏡があることに気がつく。当然、そこにははしたなく脚を開いて白く粘ついたものでぐちゃぐちゃな秘部を男に弄られている私の身体が映っていた。もっと視線をあげると口を押さえて顔を真っ赤にしている自分がいた。鏡の中の自分は涙を浮かべているものの、それは恐怖からというより快楽からくるもののように見える。実際頭の中ではこんなに嫌だと思っているのに、身体は快楽を拾い上げているのだ。見たくない現実を否が応でも見せつけられる。
 私の顔のすぐ横、鏡越しに男と目が合と三日月に目を細める。そして唇を私の耳に近づけて、

 フッ

 息を吹きかけられた。瞬間、背筋をゾクゾクトした感覚が駆け上がりビクリと腰が跳ねる。

「っ!」

 ハァハァ

 荒い息を整えながら自分がイッてしまったと知る。くたりと身体から力が抜ける。背中を男に預け、腰に巻きつく男の左腕に支えられてなんとか椅子に座っている状態だ。

「これだけでイッたのか。仕込んだ甲斐がある」

 クツクツと楽しそうにうっすら笑う男を睨みつけても、あしらう様にお腹をさらりと撫でられるだけだ。タチが悪い。

「ンアッ、」

 撫でられただけで鼻につく声を上げてしまうのだから本当にタチが悪い。

「も、やダァ…」

 やめて欲しいと私の中を掻き回している男の手に止めようとしても、

「でもまだ中に俺のが入ってるぞ。孕んでもいいのか」

 こう言われてしまったら止めるに止められない。おまけに

「見てみろ俺の精液とお前の愛液が混ざって、やらしいな」

 見せ付ける様に白く濁ったネバネバとしたそれが絡み付いた指を閉じたり開いたりして見せつけてくるのだ。男の艶のある低い声とニチャニチャとした音に思考が溶かされていく。



 いつしか抵抗することを諦め、男の気が済むまでクチャクチャと中を掻き回されていた。口から漏れる嬌声も目の前の光景も全部現実のものだとは思えなくて、否、思いたくなくて私の頭は考えることを放棄することを選択したのだった。
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