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二部1章 ラビニット

リバクゼルの後悔

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リバクゼルは、王族の住む部屋に向かった。

王族の住む、部屋に向かう為の部屋に。
王族だけが入る事を許された部屋であり、ソコからだけが全ての部屋に通じている。

ソコから、各部屋に声も通じる魔道具もある。

王妃達と息子娘達を呼び出すのが、リバクゼルの情けだろうか。

「カルレーゼ!カルレーゼは居るか!」

第1王妃カルレーゼを、呼びながら部屋に入った。
そこには、カルレーゼ妃達が雑談をしていた。

「おお、我が君。お帰りなさいませ。」

「「お帰りなさいませ。」」

三人の妃が、リバクゼルにおざなりな礼をした。

「下が騒がしかったのに、どうなさいました?」

「反乱とか?」

「いえ、父が何か?」

含み笑いをしながら、妃達は洋扇で口を隠した。

「ほう、妃達はどうなった知っていると?」

目を瞑って、リバクゼルが聞いた。

「我が君が、盗賊に負けたと聞いております。」

「王にしても、君ではダメだとか。」

「新たな王の為に、評議をしてるとか。」

そして、オホホホッと笑い、

「玉璽は、此処にあります。」

キピット第2王妃が、机に玉璽を置いた。

「次の王を決めないと。」

「そろそろ、下に行きませんか?」

またしても、オホホホッと笑った。

「ふー。何か、勘違いしてないか?」

リバクゼルが、ため息混じりにそう聞いた。
もちろん、王妃達は何を言ってるのかも分からない顔をしていた。

「私は、王では無い。」

「それなら!」

「間違っているのだよ。」

「何がよ!」

苛立った妃達に対して、冷たい目をしたリバクゼルが続ける。

「既に、王は止めたのだよ。此処に帰って来る前にな。」

「止めた?此処に?何を言っているの?」

「リ、リバクゼル王が狂われた?」

「誰に継承したの!」

怒りと困惑した妃達に対して、リバクゼルの顔は晴れやかである。

「我が主!篤郎様よ!」

「はっ?」

「頭、大丈夫?」

「次の王を決めないと。」

妃達が席を立ち上がると、部屋を出ようとしていた。

リバクゼルがその姿に怒りを顕にすると、懐から魔石を取り出して床に叩き付けた。

「最後の情けも尽きたか!ゴーレムよ!」

魔石が青い光を出して輝くと、魔石がゴーレムへと姿を変えた。

そして、一つの紋章が宙に描かれると、王都の全ての人に奴隷紋章を施されたのだ。

一瞬の事だがら誰も掛かったのも気付かないが、その限度や行動に出ている。

「此れからだな。息子娘を集めて、広間に来るのだ。」

「なに・・・はい。」

「わ、解りました。」

「急ぎましょう。」

妃だった人達は、スカートを上げて走って部屋を出るのだった。

「・・・・えっ?」

リバクゼルの思考が一端止まった。

お高く留まった貴族の令嬢が、スカートをたくし上げて走って行く姿を見るとは思わなかったのだ。

「あんなに動けるんだー。」

リバクゼルは、改めて自分の妻達の事を何も知らなかった事を実感したのだった。
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