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二部1章 ラビニット

激戦、死の森 2

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『石橋を叩いて渡る』のは、知らない場所などに挑むのには丁度良い。

しかし、『石橋から鉄橋に作り替える』奴はヤバい。慎重な人物でも、用意周到な者でもない。オーバーキルを平然とする、本当にヤバい奴なのだ。
そんな人には、関わらない事をお勧めする。


「申告します!」

「何事だ!」

「人が住んでいた形跡が在りました!」

「それで?」

「周辺には人影も無いのですが、足跡が森に入っていた形跡が在ります!」

「ご苦労、引き続き探索をしろ!」

「はっ!」

リッカート男爵は、報告をスデゥーデン伯爵に伝えに行った。

「族の足跡か?」

「分かりませんが、人間らしき村が綺麗に消されているので、金龍の餌か怨みでやられたか。それでも、森の中に足跡が在りましたから。」

「此処で逃げ帰っては、王に怨まれるな。」

「もし、生きていてもこの道しか生きていても帰れんでしょう。」

「うむ。」

死の森に入るには、場所が決められている。
そこから外れた場所に消えた村が在ったが、その場所は特別である。
それは、死の森に被さった森に隠されていたのたが、その周辺には森が消えていた。
また、そこから入るように足跡が在ったのだ。

「人間が宝を奪えたのだ、我等が奪えないのか?」

「そ、そんな事はありません!」

「この好機に森に入らないのは、どう思う?」

「好機ならば、その好機を見過ごすのは良くありませんな。」

「そうよな。」

「王の身心に合うように、隊を森に送ります。」

「それでは、幕舎を建てないとな。」

「はっ!」

リッカート男爵は、優秀ではあったが有能な人物ではない。熊の姿をしてるが、優しい訳でもない。
リッカート男爵には、作戦があった。奴隷達を森に入らせて、賊の姿を捜す。ありふれた作戦である。

こうして、決死の捜索隊を組ませて奴隷達は、死の森に入った。

入ってから、不思議な事に魔物に遭遇することもなかった。

2日目に、不思議な場所に出たのだ。

空き地の奥に、巨大な黒い壁があるのだ。

奴隷達は、恐る恐る近付いたのだが何もなかった。一安心してから、隊に報告をしたのだ。

「報告します!」

「何か!」

「はっ!死の森の奥に建造物らしき物が発見されました!」

「なに!」

「ただ、報告では2日間森に入らなければならないと。」

「分かった、報告する。」

リッカート男爵は、賊の隠れ家を発見した事だと思っていた。

そのまま勘違いが、死への始まりだった。
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