鴉喰の華 ～日本に転生したのに、異世界に転移させられた！～

第１１章 モンスター

天罰

「あれは夢だ、あれは夢だ、あれは夢だ・・・・」

「くそー！ヘリで追い付かない！」

魔道ヘリは、馬車を追っている。
空を飛ぶ、世にも珍しい馬が馬車と共に空を走っている。

夢と言えば良いのか・・・・・

とにかく、離されているのだが、何とか馬車を追っているのだった。




「魔王様、空飛ぶ物が遠下がっています。」

「あいよ。ま、魔法で被害も無くなったし、ルナを探すか。」

篤郎は、空の上から人形体を探していた。
人形体とは、簡単な動作可能なゴーレムである。
ただし、ルナ達と意識は共有されているので、緊急時にはルナ達と話す事が出来る。

もちろん、篤郎は知らない事だが、人形体の多くは警備隊が管轄してる。
警官は警備隊の一部であり、逃げなければ人形体に直ぐに会えた事を記しておく。

現在は、人形体も警官と合流して篤郎を追っている。

だから、探した所で人形体は居ない。

篤郎の行動は、まさしくアホである。

「居ないなー。」

「こちらも居ませんぞ。」

「フェイトは？」

「私の目では、下を見る事が出来ません！サー！」

篤郎は知らない。警官に捕まれば早くルナ達と出会える事に。

「くそー！街を回るぞ！」

「サー！イエス、サー！」

「むう、目が疲れますな。」

「頑張ってくれ、ルナ達に会えば苦労も報われるぞ！」

「頑張りますぞ！」

と張り切ったのだが、探しても会えるはずが無い。
探しても見つからない焦りが、篤郎の暴走をさらに進める。

「ルナ達に会えない？あのルナは幻？」

「主様！主様！ぬらりひょんさん！主様が！」

「な！魔王様！お気を確かに！魔王様！」

精神を病むと、いきなり落ち込む。
落差があるので見分け辛いのだが、鬱に入った状態だ。
初期段階だとしても、楽観視はしてはいけない。此処で失敗すると鬱状態になり、戻るのに時間が掛かる。

鬱は精神を病む病気だが、多くは自分を攻めてしまって自我を保てない状態である。
姿形に拘らないので、見分けられない病気でもある。

もちろん、この世界にもあるのだが、鬱になる前に死んでしまうので精神病などの存在は理解していない。

軽い鬱は多いのだが、それ以上な事が起こるので鬱になる暇がないのが真実だ。

「ルナ達が居ないのなら、レオンも居ない・・・・」

「落ち着いて！魔王様！」