鴉喰の華 ～日本に転生したのに、異世界に転移させられた！～

第１１章 モンスター

魔王なのに魔国で逃走

「うん、変わらんね。」

篤郎は、懐かしい街並みの中を闊歩していた。

馬車と言うのは、軽車両となる。要は車道で歩く事を強いられる。一般道路での通行は可能であり、速度は馬によって速さによる。ただし、時速３０キロは超えてはならない。

に該当する。

ダクネト国の首都を馬車で走るとは、東京の道を走るのに等しい事となる。

となれば、渋滞となる。

魔道車の渋滞だ。

そうなると、警察が駆け付ける事になり、篤郎は捕まる事となった。

「はい、此処に入って！」

「あ？めんどくさいな。」

「止まって！君、何処から来たのかね？」

「あ？何か違反でもしたか？」

「いや、違反は無いのだが、交通量の有る場所では迷惑なんだよ。」

「違反してないが、迷惑？で停めたのか？」

「駄目だよ、田舎の道じゃ無いんだから。」

「あっ？何だと、誰に言ってる？」

「あっ、そんな態度は駄目だよ。捕まえなくてはならなくなるよ？」

「くはっ。俺を捕まえるだと？」

篤郎の気が膨れると、フェイトは震えて尿を出した。

「あっ！汚ね！」

「フェイト、行け。」

フェイトは、震えたまま歩き出した。

「ちょ！停まりなさい！」

「停まれ！停止しなさい！」

と、フェイトを停めようとするのだが、人が何人居ても関係無しに歩く。
混乱があろうとも、篤郎に怒られるよりはマシなのだから。

「ちっ！『１０８より救援要請、マル被が指示に従わないで逃走。救援を求む。』」

無線で仲間を呼ぶ。
篤郎にしたら、この状況は許されない。王の帰還を妨げて要るのだから。

対して警官は、交通の安全の為に引き留めていたのだ。もちろん、篤郎の安全も確保されての事だ。
相反する事になると、騒動となる。

「ちぃ！面倒だ、駆け抜けろ！」

「イエス！サー！」

篤郎は、フェイトに活を入れて縦横無尽に走らす事となる。
そうなれば、警官にとっては害と見なし、追い掛ける事になる。

篤郎は逃げて、警官が追い掛けるのだ。

こうして、無駄な逃走が始まったのだ。