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第11章 モンスター

面倒な逃避行 8

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「晩御飯は何かな~♪」

「なんどすやろ~♪」

「ご飯、ご飯、ご飯まだニャか~♪」

馬車の中では、女達の謎の歌が流れていた。

「おい、まだ3時にもなって無いよな?」

「は、はい。まだ2時過ぎです!」

「何故に、飯に固執してるの?」

「さ、さあ?」

篤郎とぬらりひょんは、この事態に困惑をしていた。
この状況も、自覚無い篤郎が起こしたのだ。

だから、知らないのだ。飯に魅力された女の恐さが・・・・

「ま、魔王様、何やら寒気が・・・・」

「ブルル、確かにな。こんなに良い天気なのに寒いな。」

「わ、私、先に良い場所を見つけておきます!」

「あっ!逃げた・・・・」

何でも出来る篤郎とて、人の機微には疎い。
それに、臆病でもあるのだ。もちろん、異性には弱いのだ。

だが、それは場合による。

安全で平和ならそうなのだが、異世界で魔王となれば立場がある。それが原因では無いが、異性には気を付けているのが現状である。

エメリアは黙っていれば美少女になるのだが、篤郎にとってはお子さまであり生意気な小娘でしかない。

普段は、エメリアには御座なりに扱うのだが、この狂気の叫びにはビビっていたのだ。

「何で、晩飯の歌なんか・・・・怖い!」

やがて歌は、怨みの様相を見せて行った。
感激とか待っているとかでは無くて、食わさないと殺す的な歌になってるのだ。

それを、三人の女が馬車中で歌っているのだから、恐い。

「こ、恐いぞ!早く見つけてくれよ、ぬらりひょん!」

もちろん、この恐さが馬にも伝わり、普段以上の速さを出しての走行となった。

「このままでは、俺が食い殺される!何を作るか考えないと!」

そして、ぬらりひょんが戻る頃には篤郎が知恵熱で苦しみ、馬が疲れ過ぎて止まるアクシデントになった。

「ご飯はどうするのよ!」

「食わせろニャー!」

「晩飯ー!」

「な、この事態をどうすれば!」

ぬらりひょんは困ったのだが、カバンからバーベキューセットが出てきて、難を逃れる事になった。

「ま、魔王様!」

「晩飯・・・晩飯・・・・」

馬も篤郎も、食欲旺盛な女性に振り回されたのだった。

「やっぱり、主様の手料理の方が良いですなー。」

「手抜きニャ!旨いけど手抜きニャ!」

「手料理ね。確かに美味しかった。食べるためにわ!」

もちろん、女性なので補正はした。
食いながら喋る事は問題では無い。大食いしながら喋るので、汚いのが実情なのだ。

優雅な食事風景では無い、餓鬼が食べる風景なのだから。

『ギシャシャシャシャ!』

えーと、女性・・・・
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