鴉喰の華 ～日本に転生したのに、異世界に転移させられた！～

第１１章 モンスター

教会の戦い １

隠れる事をせずに篤郎は、教会の地下を探していた。

教会の地下と言えば、死者を埋葬する為の物だ。

これは、中世の時代では当たり前の様に行われていた。土葬では無く、遺体を布でくるみ安置していた。

中世の時代からの教会の地下に無数の遺骨がある。

その多くの理由は分かって無いが、聖人と同じなのか、エジプトの王の弔いと同じだったのか。
ロマンは尽きない。
が、これは事実の事である。

と、言ってもアルテウル教会の歴史は４００年前からであり、墓を教会の地下に造ってるとは考えられない。
地球の事とエレリーナが同じと考えられない。
特にアルテウルのお膝元の教会だ。


その理由は、あの時の美の神であるアルテウルが、死者を弔うかと言えば分かるだろう。

だから、教会に地下は無いし無かった。

だが、地下は存在しているし、反応も此処の下にある。

「ちっ。これは厄介だな。」

何が厄介かと言うと、地下を見つけるのに地下を掘らなくてはいけない。
それは、教会にダメージを与える事になるので、躊躇してしまうのだ。

腐ってても、美の神的な景観美は備わった教会だ。

この建物を建造した人物の苦労や、関わった人々の苦悩や喜びがある。

それを思うと、壊してはならないと思う。

豪華絢爛の教会で、白い壁に血の黒ずんだ染み。

荒れた椅子に調度品達。

それでも、元は素晴らしい美品だったのは分かる。

そして、何千後したらこれらの価値は天文学的な数字をだすのだろう。

人類の宝とも言えるだろう。

篤郎は、目を閉じて右手を胸に当ててから、大きな深呼吸をした。

「終わり、はっ！」

篤郎は、赤い大理石に目掛けて、拳を振り下ろした。

無慈悲な篤郎の拳は、床を突き抜けて地下が姿を表した。
そして床が壊れて、篤郎は落ちた。


城には影響も無かったが、教会は震度７のダメージを受ける事になった。
無事だったのに、半壊となった教会が残ったのだ。