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第11章 モンスター

影の戦い

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旧アルテウル神国に入った、エメリア一行が見たのは凄惨な町であった。

前は綺麗な町だったのだろうが、家は燃えて殆ど原型を残していなかった。
そして、黒い染みが至るところに見られる。

「アンデットは、やはりアルテウルの首都ね。」

「では、アルテウル様が魔王の手に?」

「考えたく無いけど、アルテウル様も助けなくてはならないわ。」

エメリア達は、キツイ顔をしながら元が町を見ていたのだ。
この町には、アンデットは居ない。
篤郎がこっそり『エクソシスト』を掛けているからだ。

勇者として誰もが大事にしてたのは最初だけで、今は何処に居ても無視される存在になっていた。

篤郎の動向を見ていた者も、使えないとして聖女に降っていた。

よって、篤郎に監視の目は無くなった。
居ても居なくても、エメリアの演説は続いた。

「此処を、新たな拠点とします!伝令を出しなさい。」

「はっ!」

「他は瓦礫を片付けを!」

「はっ!」

指示も直ぐに行える。
それに、人を動かす事を理解しはじめていた。

信頼と信用、そして地位とパーソナリティーこそが大人数を動かすのに、それが必要なのだと。

エメリアは、14歳の小娘だ。
聖女として、絶大な支持も得ている。
そして、的確に指示も出せる様になった。

カリスマを手に入れたのだ。

高笑いも奇行も、今は聖女様だからになっている。

絶対的の信頼を得た今では、エメリアを塞ぐ者は居なかった。
そう、今だけなのだが。







ーーーーーーーー







10キロ先に篤郎は居た。
アンデットの群れと言うか、アンデットに埋め尽くされている状態に頭を痛めていた。

「死者もアンデットになってるよ。」

教会に埋葬されるのは、土葬である。『人は土に還して、魂は天に昇る。』と言う教えだろう。

今の日本なら火葬だが、昔は日本も土葬になる。
理由は簡単で、火を燃やす方が難しいのである。
火を起こす木は、日常の原料である。
死者に使える程の、木材となると無理になる。

それに、燃やしても黒炭となり、大変に臭いのだ。
此れは、骨にする為の火力が足りない事が原因となる。

だから、昔の時代には一般的では無いのだ。

よって、アンデットとなる死体は沢山あるのだ。

「はー、面倒だよ。『エクソシスト』!『エクソシスト』!『エクソシスト』ー!」

普通なら、此処はボーナス地となっている。

アンデットに効率の良い、倒し方をしてるのだから。
万のアンデットも一発で浄化してるのだから。
経験値としたら、凄いはずなのだ。

だが、篤郎にはどうだろうか?

経験値が入っても、ボーナスポイントが有っても見えないギルドカード。
武器も持たずに、龍をペットにして魔族を従え、人を従えた。武器が無くても、神を殴って泣かして正座もさせる。

レベルが有るのなら、今のレベルはどうなるのか。

もはや、ヤバいのである。
それでも、

「ほい、『エクソシスト』!はい、『エクソシスト』!やっ、『エクソシスト』!あらヨット、『エクソシスト』!」

と、エメリアの露払いをしているのだ。
溢れたアンデットも、浄化されて消えて行く。

「はー、面倒だった。」

「おい!何をしてくれる!」

後ろから、声がしたので振り返る。
そこに居るのは、昔の映画で見たドラキュラの姿をした人がいた。

「何って、アンデットを浄化してるんだよ。『エクソシスト』!」

「貴様が聖女か?」

「いや、俺は男だし。」

「・・・・、そうだな。」

ドラキュラさんは、何かを考えていた。

面倒だな。

篤郎の頭に、その事が横切った。
だから、

「貴様・・・・」

「『エクソシスト』。」

淡い光が、ドラキュラさんを包んだ。

「消えたな。そうか、消えるんだ。」

そう言うと、エメリアの処に帰って行った。
篤郎が去った土地は、清浄な空気が流れていた。

・・・・・・吸血鬼死亡
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