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第11章 モンスター

高笑いの聖女

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「流石は、聖女様です!」

「ははは、私を大事にしないと知らないわよ?ふふふん。」

高笑いをかます、エメリア。

一度の大きな称賛に酔いしれてるのは、挫折や謙虚な心が無いからか?いや、有ったとしても、あの酔いに呑まれるのは、仕方がない。

若いのだから、大きな挫折をして大きな人になれば良いのだ。
が、それは元の世界での話。

蛮勇な世界では、一度の大きな挫折は死を招く。

肩書きが有っても、貴族主義な世界で血筋も無い小娘に価値が有るだろうか。

こんなに有名になっても、価値が無くなれば死ぬのだ。

子供であれ、俺には関係は無い。
ま、性格を見極めてから判断しよう。

「貴方も、私を敬いなさい!」

前言撤回、見捨てよう。

篤郎は笑顔で、エメリアに頭を下げた。

「凄いぞ、聖女様ー(棒っ)。」

「分かれば良いのよ!おほほほほほっ。」

馬鹿につける薬はないとあるが、薬はある。
それは、方って置く事が一番の薬になる。

要は、痛い目に合わないと理解出来ないのだ。
どんな人でも、その落とし穴に落ちる。
人として真価を発揮するのは、這い上がる時なのだから。

だが、前にも書いた世界。
有名に成りすぎたら、落ちる穴は深くなる。
だから、最悪でも斬首、悪くて刺殺、良くて毒殺、最高なら奴隷となる。

そんな、状況で助けるなど不可能だが、何かしら手助けはするかも知れない。
それは、結果を見てからになるだろう。ただし、今はDマイナスなのだが。

「国を救い、世界を救うのは私なのよ!」

「はい!」

「すごーい(棒)。」

「おほほほほほほほっ!」

もう一ランク下げとくか。
こうして、調子に乗ったエメリアは、

「今は仕方ないけど、端に座りなさいよ。」

「まっ、お優しい!」

「はい(棒)。」

元々、端に座って居たのだが、エメリアに言われると腹が立つ。

だからといって、言葉に出さない。
酷い事を受けた人の一番悪い処で、良い状況になれば元の事を忘れる。
忘れて、下に見て酷い言葉を言ってるのも、後に反省する事になる。

特に若い時に、やんちゃな事以上をした人は、後に後悔する。

その人が公正しても、虐められた人は許さない。
謝って許して貰える事は無い。
表面だけ許される事があっても、必ず見捨てる。

やられた者の気持ちと、やった側の気持ちは合うことが無いのは、上から見るのと、下から見るの位の差がある。

それが中間になる時はあるが、決して同じ場所に留まる事は無い。
それは、努力しないからであって、怠けるのは人の性でしかない。

その結果は、落とし穴に落ちる事に繋がる。

これは、長い長い人生の中で何度もある事だ。

『愚者は経験に学び、賢者は過去(本)から学ぶ。』と言う言葉がある。
人は賢者になる為に努力するが、賢者の道のりは長い。

だが、経験に学びながら経験を忘れてしまうのが人。

本当なら、努力をしていれば本にもなるのだが、成らないのは努力しないからだ。

若い時こそ、賢者か愚者かに分かれる。
だから、

「私しか居ないのよ!おほほほほほほほっ!」

も、経験になるのだ。
もちろん、失敗して学びになるのだが、今は無理な話だ。

彼女の過去に何が有るのかは知らない。
知らないから、判断は此れからになる。

過去を知っても、同情出来るかは此れからの行いなのだから。

間違ってはいけない。

助け合う世界などではないのだから。
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