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第10章 アルテウル

王都に行って

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この日の王都の門前では、人だかりが出来ていた。

動物が引かない馬車に、透明な板に鉄のボディ。タイヤも木ではない。全ては未知の物体に人が乗っているのだ。

そんな未知の物体に、誰もが不思議に思って見に来ていたのだ。

「あっ、書状を忘れた。」

「アツロウ様、このコインを憲兵にお渡し下さい。」

「これを?了解。」

門兵からあっさりと抜けて、入場した。
篤郎にとっては久しぶりの事なのだが、レオンにとっては初めての事であった。
見られているのに、車の中から外を見ているのだ。それは、レオンだけでは無い。
エメンストもダルメイレットもガラレストもアミレミアも見ていたのだ。それに、お尻が痛く無く、居心地が良いのだ。
外よりも、中の方が凄いと騒いでいたのだ。

1度目はスピードに狂喜して、今回は乗り心地を実感した。

それと、あの糞の臭いとガラゴロの音も無い空間は、とても快適なのだから。
それに、快適な温度にも驚いている。まさに『魔法の箱』に捉えていたのだから。

もちろん、憲兵の検閲でも騒動はあった。

槍で車を牽制しようとして車を突いたのだが、槍の先が割れてしまう事態となり、憲兵が慌てる事となった。



王都に入ってからも、人は追い掛けて来たのだが、貴族街に入った頃には誰も着いて来れなかった。

先ずは、エメンストさんの実家に行った。

荷物を降ろしてから車を『四次元部屋』に戻すと、別れた。

篤郎の行き先は、病人達が居る『民街』に行った。レオンは篤郎に引っ付いたままだったので連れて行くしかなかった。

まずは乞食というか、家が無い人達を献身的に治療を行った。

もちろん、炊き出しも同時に行っていた。レオンが、おにぎりと汁を渡している。此で怖い人対策もバッチリなのだ。

そして、貧困層から治していった。良く偉い人が先に治すのが、と言っているが、あれは意味が無い理論だ。重要な人物を処置したら、次に重傷者から処置を開始するのが医者の手引きになる。

しかし篤郎の治療では、底辺から治療を行う。

王とか貴族は後回しなのだ。

その為、民の治療が順調に行われていた。
貴族達は面白く無くて、兵隊を動員したのだが、篤郎を捕らえる事が出来なかった。

そう、兵の家族達は民街に住んでいる。病気になった家族も多く居たのだ。

指揮官よりも兵隊の気持ちを優先した訳は、篤郎を捕まえるのが兵だからになる。
篤郎を捕まえる事になれば、家族の命が助からない。
当然だが、篤郎を逃がす事になる。

大規模な捜索も、ほとんどがヤラセなのだ。

篤郎が居場所は、兵達には分かっていたのだから。
次々に治療していくので、誰もが篤郎を支持している。

貧困層から商街そして、下級貴族へと動いた。レオンは貧困層で終わらない炊き出しを続けている。



篤郎の狙いは、民や兵達の心を掴む事だ。
王族が最後にしてるのも、篤郎から見た重要性は、民になっている。
その中でも貧困層の病気は重大な案件だった。
体力も対抗も無いのだから、パンデミックが起こるのを避けるのが重要になるからだ。

篤郎の無秩序な行動にも、実は・・・・が存在するのだ。
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