上 下
264 / 505
第10章 アルテウル

戦争だよね?

しおりを挟む
「別れ道に出ましたが、どうされますか、アリテウル様?」

「下手に兵力を分けなくても、一部隊だけを見張らせれば良いでしょう。」

「分かりました。」

アリテウルは久しぶりの戦いに高ぶっていた。
そして、門に掛かる細い道を見て、作戦を考えているのだ。

「此れは弱りましたね。」

「如何いたしますか?」

「穴の深さも、通り道も狭いとなれば、策を考えなければ勝てないですね。」

「力推しを?」

「その前に、強固な壁を作りましょう。この距離では、相手も手が出せないでしょうが、万が一の防衛策も必要ですからね。」

神国側の軍隊十万の奴隷を使い、工事を進めていく。
しかも戦いも無く、無事に建てれるとなればドンドン進むのだが、到着から開始を始めるの行動を見ていたのは、アナスタシア達である。

「どうしますか?」

「今は動かなくても良いですが、もう少ししたら軽い攻撃を?」

「いや、監視だけで。」

「相手も監視を強化してますね。」

「では、手の者は?」

「かなり後方に下がってます。」

「撹乱しては、ですか?」

「いえ、撹乱はしません。」

「アナスタシア様が困っているのが結果ですよ。」

「なるほど。」

「監視を続けましょう。」

安易にアナスタシアは言ったが、内心はヒヤヒヤである。
神国は豊富な奴隷使い、短時間で木の壁を作り出していたのだ。攻撃準備をしながらも、道を広げる為の行動を開始しだしたのだ。

前回と違う動き、そして明確な団体行動を行う姿に疑問を持った。何かが違うのだと、アナスタシアは感じていた。

「私の作戦ミスですわ、アルケニー殿。」

「どうされました、アナスタシア卿!」

椅子から崩れる様に倒れる、アナスタシア。そして、アルケニーが駆け寄る。

「前回と違い、今回は指揮系統が纏まっています。これではダルテ達が危ない!」

「な、何を言ってるのですか?」

「此れでは奇襲も潜入も不可能だ!」

「何ですと!」

恐怖を感じたアナスタシアは、ポンコツと化した。







ーーーーーーーーーーーーーーー







「防御柵を更に高くして下さい。土台は魔法で固める様に。」

「はっ!」

最前線での陣頭指揮を行っていた、アリテウルはまさに戦の申し子の様な鬼才を示していた。

「敵は、力を過信して攻めて来ないでしょう。直ぐに柵で対処を!」

「攻めて来ない分、間者を紛れ込ませるのが敵の策になります。剣の柄に統一した色の紐を付けましょう。」

「土魔法を使える者と、魔力回復薬を増やして下さい。」

アリテウルからの案は、今の魔国の作戦を見越してであった。昔と今が違っていたら出来ない事だが、変わらなければ策は当てられる。

それが、経験からくる戦の駆け引きだから。

初戦はアリテウル軍の勝ちだ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

魔法のせいだからって許せるわけがない

ユウユウ
ファンタジー
 私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。  すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

処理中です...