鴉喰の華 ～日本に転生したのに、異世界に転移させられた！～

第８章 魔王討伐

篤郎について？

「ただいまー。」

俺は久しぶりにバイト先に顔を出せた。３ヶ月もの間も空けたので、忘れられたのかも知れない。

「篤郎様！」

「アツロウ様？えっ！うそ！」

セキちゃんの顔は待ってましたと云う顔をして、リザイアは何で帰って来たのの顔をしていた。

元から信用も信頼もしてないので、捨てたいのだが、ルナが許可してくれない。

だが、忠誠を認めても龍に恋愛感情は持てない。

「親方と話しをしてくるよ。」

「分かりました、篤郎様。それと、お帰りなさい。」

「ありがとう。」

俺は親方のいるプレハブに向かった。リザイアは、

「ダリルごめん、アツロウ様が帰って来たの。」

「何をさ、リザイア？アツロウが何だって？」

「違うの、分かってダリル。」

本当に屑に慕われるのは迷惑なんだがな。セキにでも排除を頼むかな？どちらかと云えば、俺の手で葬りたいのだが・・・・・・

プレハブに誰も居なかったので、現場に足を向ける。

３ヶ月もあれば、基礎から建物に移り、屋根壁は出来上がっている。中は内装業に一任して、外の土方は庭等の造形に移る。

「お久しぶりです、親方。」

「お、アツロウじゃないか。聞いたけど、用事とやらは終わったのか？」

「無事に終わりました。それよりも、あの新人達は？」

「ああ、シンヤとフミオか。あそこで頑張っているぞ。」

「えっ？まだ、居るの。」

「それなんだが、シンヤ達が治ったら、今度はマユコ達が寝込んでな。最近の勇者って、軟弱なんだな。」

「あらら。じゃ、魔王退治には行けてないんだ。」

「そりゃ無理だ。それと、これを預かってるのだが。」

レルビッチ親方は封筒を、篤郎に渡した。

「なんすか？プレゼント？まさか、請求書とか？って、これって？」

「列車の旅だってよ、魔王様。」

レルビッチ親方は笑顔だった。





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ここで言って置かなければならない事がある。篤郎の事だ。

魔国の国土が既に世界の４分の３を占めているのは、諸兄の皆様にはお知らせしたし、征服されて奴隷となった国民は知っている。

戦争らしい事も行われずに、高度な文明も手に入れつつある世界で、ただ一人把握出来てない者がいる。

それが篤郎だ。

何故、理解出来ないのか？簡単に云えば、言葉に不自由な事が無い為に起こる違和感を感じられない事が不幸の始まりと云えよう。

良く分かる様に例えると、北海道の人が沖縄に行ったとする。風土は変わっても住んでいる日本から出た気はしないだろう。何故なら日本語が普通に話せて、聞こえるからだ。ご飯も多少は変わっても、大きく変わらない。安定して日常があるからだ。

急激に変わったのは世界であり、篤郎にとっては日常を取り戻した感じなのである。

更に広範囲で喋る言語が統一されて、服装もルナによって現代風になり、食べる物も現代風になると外国感が無くなり遠くに来た感じが無くなる。

東京から北海道や沖縄なら日本だが、韓国や台湾に行けば海外になる。言葉が違い、匂いも食べ物も変わる為だ。それを無くなると、人間はどうなるのだろうか？

さて、篤郎の覚えている情報とは、リデッシとバイシュを占領で止まっている。意図的に隠していて、まさか東ビーデル国まで来てる事などとは思ってもいない。

普通、一般的に考えても理解は出来ない。
それをルナが成し遂げたのだが、その偉業も知らない。
だから、篤郎は今の居場所をはっきりとして無いし、ただのバイシュの新興した町程度に思っているのだ。そして、知らない旗を砦で排除してる事も知らない。

列車の旅。

篤郎にとって、魔国の真の旅で国土を知るのだった。