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第7章 魔王進行
ハイド一家
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篤郎は今の現状が謎になっていた。
「リザイア、これは夢?」
「は、はははは。現実です。」
何が起こったのかは、一目瞭然である。
「ご注文の品は以上ですね。他にもご注文がありましたら、お呼び下さい。」
と、ロイシュナー・ハイド8世は、注文した食事を出して行ったのだ。夢と思うのは、この宿屋には他にも居てはいけない者がいたのだから。
「ち、お父さん、エンデミオ兄さんの様子を見てきて。」
「またか、エーリカ。」
「几帳面だから。」
「分かった。親方には言っといておくれ。」
「はーい。」
父と娘の語らいなのだろうか。和気藹々とした愛嬌のある笑い顔をしていた。
ローカイナの町に宿泊しろとレディに言われて来たが、異世界の宿屋と違う、高級なホテルか旅館に居る。豪華なホテルには、露天風呂を含む大浴場があり、大広間では食事が出来るのだ。また、各階には共有男女トイレもあり、部屋も広く畳の部屋もある。
まず、チェックインして部屋に通されると、部屋の利用方法を説明される。荷ほどきしたら風呂にいかされる。ここで部屋着と服の交換をする。服は直ぐにクリーニングされて部屋に届けられる。
風呂が終わると食事にだ。
軽く遊べる場所があり、買い物も出来るのだ。
だから宿屋は至れり尽くせりなんだが、それ以上に悩んでいたのは、バイシユ国の国王一家が一回の宿屋の下働きしているのだから。
王と王子と王女が居たのだ。間違いなく、それ以外も居ると考えるのが自然である。目立ちたく無い篤郎は、食堂を直ぐに出て部屋に戻る。大きい宿屋なんだから、従業員も沢山居るはずなのだから、出会う確率は少ないはず。
受付や部屋に通した仲居さんでは会っておらず、食堂のみで見つけたのだ。他で会う事はない。
「お布団を引きに来ました。」
すっと障子が開くと、優雅な出で立ちと、結われた髪方と御淑やかな着物が正座していた。新しい人形の様に思えた。
「はい、お願いします。」
頭を上げた仲居さんと目が合う。
「あら、アツロウ様。お久しぶりです。」
にこやかにして言われた。
誰だと考えて居ると、即嫌な事を描いた。
「ま、まさか・・・」
「ま、お分かりですか。ロイシュナーの妻のイバウナです。」
と、頭を下げた。嫌な汗を流しつつ、篤郎も正座になり頭を下げる。
「お、お久しぶりです。」
「これは、これは、ご丁寧にありがとうございます。」
「いえいえ!こちらこそ、なんかスミマセン。」
「ま、おほほほほほ。」
「あ、あははははは。」
篤郎よりは、心が強いのだろうか。潔いよりも、凛とした出で立ちは、妃の時よりも貫禄がある。そして、優しく丁寧で笑顔があるのだ。女将としてもおかしく無い逸材だ。
「楽しんでますね。」
「はい、楽しいです。親子楽しく、人生をやり直していますから。」
母は強しの言葉が頭をよぎる。自身には得られなかった、母の強さなのだろう。それと、イバウナの悲観的ではなく、楽天的な思想を持っていたのだろう。
本当に良い母親なんだろう。
「これを。」
篤郎は金貨を一枚渡す。
「アツロウ様、多すぎますよ。銀貨を一枚でお願いします。」
そうして突き返してきた。指導が良いのだろう。付け届けは本来は、中身を出さない。出す場合は、
「それで、他の方にも分けて下さい。」
と、言う。粋な大人のやり方でもある。
「多いですが。」
「良い空間を提供してくれる労いですよ。」
「有り難く、頂きます。」
これが特別ですよの、言葉遊びになる。粋な客に粋な仲居。旅の醍醐味になる。ただし、お金がある前提の遊びだ。なければ、そんな事をしなくて良い。粋な遊びとは、見栄ではなく余裕が成せるのだから。
「あ、食堂で旦那さんと娘さんを見ましたよ。」
「そうですか。息子達も夫婦で働いてますから。」
「そうなんですか!」
「はい。楽しく家族総出で頑張っています。最初は恨みましたが、今では天職につけて嬉しいです。本当にありがとうございます。」
イバウナは頭を下げた。声と表情は穏やかだ。色々を飲み込んで、頭を下げている。それだけで、胸に来るものがある。涙は流さないが。
「いや、仕事をしているのは、イバウナさん達です。私に言われても。」
「新しい国の王なのです。今は身分も隠されてますが、あまり低い言動は嫌味になります。王に言うのはと思いますけど。」
「ふふふ。それは、あなた方の狭い王なら威張ればいいさ。俺が作る・・・・・作る?いや、造られている国や王などは新しいモノになるのさ。」
「新しい?」
「威張らない、身分で偉そうにしないとかね。」
「そう、ですか。」
「ま、時代が急に進むだけだから、戸惑うけど。10年経ったら慣れるさ。」
「慣れますか?」
「この宿が良い見本だよ。」
「なるほど。そうですね、申し訳ございません。私はお布団を敷きます。」
イバウナという女性の頭の良さが伺える。相手の正体を知っている鑑定眼と、話を聞いて物事を捉える考察は凄い。逸材なのに、旅館に置いているのは不思議だ。ルナの思考は慎重なんだろう。
「頼みます。俺は土産物でも見てきます。」
「はい。」
部屋を出て、そのまま外に出た。
人の一生は、不確かなモノだ。平和で平凡で幸せな人生を送れる人は少ない。多くは何かあるのが普通だから。裕福な人が永遠に裕福な人生を送れない。裕福な人には裕福を維持する力を有し、貧困な人には貧困なりの生活がある。
他人を羨む者は、他人から羨まれる。人を見て、我が振り直せだけでなく、自分がする行動は、必ず他人から同じ事を思われる。気にしていてはならないが、有る事実を知ってる事が重要だ。当たり前の行動も、歪んだ人が見れば僻みになる。
それを乗り越えて生きるしか、人生はない。考えてる人も考え無い人も同じ様に生きる。考えても考えなくてもだ。
篤郎は、自分の行いを考えた。だが、今は人々に怨まれても、現状を変える事は出来ない。敵は巨大で狡猾なのだ。
平和とは難しいが、自分が納得できる生き方が出来る世界を造ろうと決意だけした。自分では出来ないからだ。
きっとしてくれるだろう!ルナが。
「リザイア、これは夢?」
「は、はははは。現実です。」
何が起こったのかは、一目瞭然である。
「ご注文の品は以上ですね。他にもご注文がありましたら、お呼び下さい。」
と、ロイシュナー・ハイド8世は、注文した食事を出して行ったのだ。夢と思うのは、この宿屋には他にも居てはいけない者がいたのだから。
「ち、お父さん、エンデミオ兄さんの様子を見てきて。」
「またか、エーリカ。」
「几帳面だから。」
「分かった。親方には言っといておくれ。」
「はーい。」
父と娘の語らいなのだろうか。和気藹々とした愛嬌のある笑い顔をしていた。
ローカイナの町に宿泊しろとレディに言われて来たが、異世界の宿屋と違う、高級なホテルか旅館に居る。豪華なホテルには、露天風呂を含む大浴場があり、大広間では食事が出来るのだ。また、各階には共有男女トイレもあり、部屋も広く畳の部屋もある。
まず、チェックインして部屋に通されると、部屋の利用方法を説明される。荷ほどきしたら風呂にいかされる。ここで部屋着と服の交換をする。服は直ぐにクリーニングされて部屋に届けられる。
風呂が終わると食事にだ。
軽く遊べる場所があり、買い物も出来るのだ。
だから宿屋は至れり尽くせりなんだが、それ以上に悩んでいたのは、バイシユ国の国王一家が一回の宿屋の下働きしているのだから。
王と王子と王女が居たのだ。間違いなく、それ以外も居ると考えるのが自然である。目立ちたく無い篤郎は、食堂を直ぐに出て部屋に戻る。大きい宿屋なんだから、従業員も沢山居るはずなのだから、出会う確率は少ないはず。
受付や部屋に通した仲居さんでは会っておらず、食堂のみで見つけたのだ。他で会う事はない。
「お布団を引きに来ました。」
すっと障子が開くと、優雅な出で立ちと、結われた髪方と御淑やかな着物が正座していた。新しい人形の様に思えた。
「はい、お願いします。」
頭を上げた仲居さんと目が合う。
「あら、アツロウ様。お久しぶりです。」
にこやかにして言われた。
誰だと考えて居ると、即嫌な事を描いた。
「ま、まさか・・・」
「ま、お分かりですか。ロイシュナーの妻のイバウナです。」
と、頭を下げた。嫌な汗を流しつつ、篤郎も正座になり頭を下げる。
「お、お久しぶりです。」
「これは、これは、ご丁寧にありがとうございます。」
「いえいえ!こちらこそ、なんかスミマセン。」
「ま、おほほほほほ。」
「あ、あははははは。」
篤郎よりは、心が強いのだろうか。潔いよりも、凛とした出で立ちは、妃の時よりも貫禄がある。そして、優しく丁寧で笑顔があるのだ。女将としてもおかしく無い逸材だ。
「楽しんでますね。」
「はい、楽しいです。親子楽しく、人生をやり直していますから。」
母は強しの言葉が頭をよぎる。自身には得られなかった、母の強さなのだろう。それと、イバウナの悲観的ではなく、楽天的な思想を持っていたのだろう。
本当に良い母親なんだろう。
「これを。」
篤郎は金貨を一枚渡す。
「アツロウ様、多すぎますよ。銀貨を一枚でお願いします。」
そうして突き返してきた。指導が良いのだろう。付け届けは本来は、中身を出さない。出す場合は、
「それで、他の方にも分けて下さい。」
と、言う。粋な大人のやり方でもある。
「多いですが。」
「良い空間を提供してくれる労いですよ。」
「有り難く、頂きます。」
これが特別ですよの、言葉遊びになる。粋な客に粋な仲居。旅の醍醐味になる。ただし、お金がある前提の遊びだ。なければ、そんな事をしなくて良い。粋な遊びとは、見栄ではなく余裕が成せるのだから。
「あ、食堂で旦那さんと娘さんを見ましたよ。」
「そうですか。息子達も夫婦で働いてますから。」
「そうなんですか!」
「はい。楽しく家族総出で頑張っています。最初は恨みましたが、今では天職につけて嬉しいです。本当にありがとうございます。」
イバウナは頭を下げた。声と表情は穏やかだ。色々を飲み込んで、頭を下げている。それだけで、胸に来るものがある。涙は流さないが。
「いや、仕事をしているのは、イバウナさん達です。私に言われても。」
「新しい国の王なのです。今は身分も隠されてますが、あまり低い言動は嫌味になります。王に言うのはと思いますけど。」
「ふふふ。それは、あなた方の狭い王なら威張ればいいさ。俺が作る・・・・・作る?いや、造られている国や王などは新しいモノになるのさ。」
「新しい?」
「威張らない、身分で偉そうにしないとかね。」
「そう、ですか。」
「ま、時代が急に進むだけだから、戸惑うけど。10年経ったら慣れるさ。」
「慣れますか?」
「この宿が良い見本だよ。」
「なるほど。そうですね、申し訳ございません。私はお布団を敷きます。」
イバウナという女性の頭の良さが伺える。相手の正体を知っている鑑定眼と、話を聞いて物事を捉える考察は凄い。逸材なのに、旅館に置いているのは不思議だ。ルナの思考は慎重なんだろう。
「頼みます。俺は土産物でも見てきます。」
「はい。」
部屋を出て、そのまま外に出た。
人の一生は、不確かなモノだ。平和で平凡で幸せな人生を送れる人は少ない。多くは何かあるのが普通だから。裕福な人が永遠に裕福な人生を送れない。裕福な人には裕福を維持する力を有し、貧困な人には貧困なりの生活がある。
他人を羨む者は、他人から羨まれる。人を見て、我が振り直せだけでなく、自分がする行動は、必ず他人から同じ事を思われる。気にしていてはならないが、有る事実を知ってる事が重要だ。当たり前の行動も、歪んだ人が見れば僻みになる。
それを乗り越えて生きるしか、人生はない。考えてる人も考え無い人も同じ様に生きる。考えても考えなくてもだ。
篤郎は、自分の行いを考えた。だが、今は人々に怨まれても、現状を変える事は出来ない。敵は巨大で狡猾なのだ。
平和とは難しいが、自分が納得できる生き方が出来る世界を造ろうと決意だけした。自分では出来ないからだ。
きっとしてくれるだろう!ルナが。
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