上 下
113 / 505
第7章 魔王進行

ミッション

しおりを挟む
空の移動は鬱陶しかった。

とにかく、女達が喧しく元気だった事が問題であった。お嬢のロエットは、実は高所恐怖症だと分かり、リザイアよりも激しく掴まってくるのだ。

役得?革と鉄の部分鎧と武器を持っていなければ、久しぶりに堪能はできただろう。そんな甘いモノでは無いが。

他は空の遊覧を楽しんでいた。リザイアも泣き止んで、初めての空を楽しんでいたからだ。

その姿を見れば、普通の男なら落ちていただろう。とにかく、あざとい。力ある男にすり寄る女が、リザイアになる。奴隷の身分も捨てて、敵に寝返った女を忘れるほど、お人好しではない。

一度、敵か裏切ったと理解した者を許せないのは、やはり昔が影響しているのだろう。男になって良かったのは、理論的に考えれる自分が大きい。篤郎の考えは、女性は感情が優先してしまい、物事を見てしまうが、男性は何も考えない時は感情が先走るが、一度理解出来れば理論的に動く。冷静に動くになると、女よりも男の方が恐ろしいからだ。

そして、其よりも降りた場所が問題があった。
何故か大きな穴に降りるのだ。更に、場所が不明なのである。

「ねえ、段々と暗くなっているけど。」

「「は、はぁ。」」

冒険者達は心細くなり、リザイアは篤郎に怖いアピールをしていた。本来なら、篤郎の嫌いな部類の人間が、篤郎の側に居るの事を止めてくれるのだが、ルナはそうしなかった。それは、篤郎が読んだ膨大な書物が関係する。イエスマンだけを集めた組織は、衰退する運命になる。考えが違う人をブレーンに入れる事によって、見直しや隠れた課題を浮き彫りにしてくれる。ルナは、篤郎の苦手と嫌いなタイプを、浮き彫りにしたいのだろう。

分かっているから、リザイアは鬱陶しいし、冒険者の女達は嫌いだ。また、ライッツは有能であるが、無能なお嬢が居るから有能なのだ。だから、不要ではなく、ライッツとローグウェルが使えるかの確認が必要になる。だから、ライッツは篤郎に、

「何処に向かっているのですか?」

と聞けるのだ。有能か無能なのかは、命が掛かってこそ本領発揮するものだから。まだ時が必要としている。

暗い中を降りたのは、一時間は掛かっただろうか。光は子蜘蛛に任せて、穴を調べてみる。地面は水で濡れている。暗い中でも自生する草もあったので、篤郎は率先して収集にあたっていた。

リザイアと『チーム・ラビッツ』は武具を構えて、警備をしだしている。

「な、何で暗い穴蔵に降りるんだい。」

ロエットは小声で話している。冒険者としての資質は持っているようだ。レディが後ろに来て、脳に直接話してくる。

(後はこちらで収集します、マスター。)

(おっ?ルナからか。)

(はい。ここはダンジョンでないのに、独特な生体体制があります。)

(蜘蛛系がいるのか?)

(奥に行ってませんが、居そうです。)

篤郎は立ち上がって、

「よし、先に進むぞ。」

と、篤郎は元気良く歩いて行った。

「ア、アツロウ様!?」

「シー、リザイア様声が大きい。」

仕方無しに、皆が付き添った。篤郎が納得しなければ、帰れる雰囲気ではないからだ。

「しかし、何ですかここは?」

もっともな質問であったが、篤郎は、

「知らん。」

の一言を言ったまま、先々と進んだ。リザイアは篤郎の姿を知っているが、冒険者達は良くは知らない。冒険に似つかわしく無い、普通の衣服に素手なのだ。モンスターに遭えば即死する姿なのだから。だが、リザイアも驚く事を行う。それは、何度かの曲がり角で起こった。

「キォシャアァァァ!」

と大型の虫モンスターとの遭遇であった。先頭は篤郎だから、戦闘するのだが、

「うあぁぁぁぁぁ!」

とリザイア達が言う中で、篤郎は動いた。モンスター名は、キラーセネビー。簡単に言えば、大百足の姿をしているが、人間の2倍はあるだろう。身体も鉄と同じ硬さはある。勿論A級のモンスターに分類される。硬くて体力もあり、色々と体液が厄介なのだ。
篤郎は手刀にした手を、横に払ったのだ。

「レディ、回収な。」

『了解♪』

篤郎はキラーセネビーの横を歩いていた。と、キラーセネビーの胴体が静かに別れて崩れかけた処を、ゴーレムのレディが消した。

「「「「うそー?!」」」」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

別に構いませんよ、離縁するので。

杉本凪咲
恋愛
父親から告げられたのは「出ていけ」という冷たい言葉。 他の家族もそれに賛同しているようで、どうやら私は捨てられてしまうらしい。 まあいいですけどね。私はこっそりと笑顔を浮かべた。

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜

福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。 彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。 だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。 「お義姉さま!」           . . 「姉などと呼ばないでください、メリルさん」 しかし、今はまだ辛抱のとき。 セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。 ──これは、20年前の断罪劇の続き。 喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。 ※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。 旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』 ※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。 ※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

夫から国外追放を言い渡されました

杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。 どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。 抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。 そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った

五色ひわ
恋愛
 辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。 ※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話

処理中です...