鴉喰の華 ～日本に転生したのに、異世界に転移させられた！～

第７章 魔王進行

邪魔者リターン

起きて見ると、男の人に看病されているようだ。

「坊主、目が覚めたか。身体は大丈夫か？」

「ええ、大丈夫です。」

勢い良く起き上がると、ライッツは慌てて篤郎の身体を抑える。

「急に起きるのは、良くないぞ！」

本当に心配をしてくれる。ありがたいと篤郎は思った。

「すみません。」

だから篤郎は、はにかみながら答えた。篤郎とて、礼儀には礼儀にをの心はある。だから、

「あいつ生きてたの？面倒だね。」

「そうですね。」

「ちょっと！大きな声で、そんな本当の事を言わない。」

の声には、逆に引いてしまう。

「あの人達は？」

「すまん！あれは俺達のパーティーで、偉そうなのがリーダーなのさ。」

篤郎は、女達には不信感しかない。それに対してライッツさんは良い人だ。どうも、このパーティーは、我儘な女達に男達が苦労している様だ。後は想像出来たので、

「何時もお疲れ様です。私を介抱して頂きましてありがとうございます。」

「えっ！何で分かったの。」

「見たら分かりますよ。」

「分かりますか。」

「ええ、でも関係は分かりませんが。」

「関係ですか・・・・」

「あっ、変なことを聞きました、すみ・・」

「理由はロエット・ラビッツのお爺様のエイリッヒ・ウル・ラビッツ様が、政界を追われた事から始まります。私達の親はエイリッヒ様の奴隷でした。優しく親達を平民にして、お金を渡して店を持たせたのです。その恩義を持ち続けた親達が、没落したエイリッヒ様達を助けて来ました。しかし、ロエット様の親つまりはエイリッヒ様の子は夫婦と子を暗殺されました。ロエット様は奥方のカテリーナ様によって隠されて、無事でした。エイリッヒ様とロエット様を匿いながら、お世話をしてきたのです。冒険者もロエット様の夢です。」

不意に雰囲気を変えたライッツは、ロエットの過去から今までの事を話し出したのだ。篤郎はあんぐりと口を開けて、ロエットの恥ずかしい過去を知ることになる。それどころか、誰もそれを止めようとしないのだ。

「何なんだ？」

篤郎は何が起こっているのか分からなかった。ただ、解っているのは、篤郎に嘘は着けないのと、知りたい事を教えてくれた事だけなのだ。それも『命令』しなくても、話した時点で教えてくる。そして、他の人が話を中断させる事もしないのだ。

「ラ、ライッツ～！」

話が終わるとロエットはライッツに飛びかかり、足蹴にしてきた。それを眺めながら、ルナのやっている事が何となく理解はした。当然、原因を知りたい篤郎は、調べようとしたが、ガサガサ、ガサガサと草木が騒いだ。

「誰だ！」

篤郎は問いかけると、

「私は、リザイア・ログイシュ中央憲兵隊長補佐だ！」

の声と、リザイアが現れたのだ。

「なっ？！」

「お懐かしいです！アツロウ様！」

リザイアは涙を流しながら、篤郎に突進した。

「抱きつくな、裏切り者！」

「嫌です！もう二度と離れません！」

「離せ～！」

「絶対離しませ～ん！」

カオスにカオスを重ねてしまったようだ。
篤郎にとって、最悪の事態となった。