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第7章 魔王進行

バイシュ国滅亡

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ハイド8世が目覚めた時、何時もと違う物を感じていた。

「私は・・・」

「目覚めましたね、ハイドさん。」

ゴーレムの声を聞いて、顔を向ける。

「ハイドさん?余は!」

「国は占領しましたし、此処も私が居るからお分かりでしょう。」

「何時のまに・・・・」

「ふふ、マスターの所有物ですから、簡単に出来ます。」

「簡単に?マスター?!君のマスターとは!」

ハイドの脳裏には、篤郎の笑顔が浮かんでいた。間違いであればとも思ったが、

「藤並篤郎様です。あっ、リディシ国は既に篤郎様の物になりましたから。それと、服を着て広間に来てください。話しはそこでしますから。」

「なっ、訳が分からんぞ!」

と、ゴーレムに掴みかかる前に、ゴーレムは消えたのだ。

「な、何なんだ!悪い冗談か、誰か!服を持て!」

と、呼んだが誰も来ないのだ。諦めて服を取りに行くが、何処に有るのかも分からないでいた。

かなり探していたのだが、やがて頭にゴーレムの声が響いた。

(何をしてるのですか、もう貴方だけですよ。)

「服のある場所が分からないのだ!」

(遅いので、そのまま来なさい。)

「服が!服が!」

ハイドは、そのままの身なりで広間に現れたのだ。

「ここは!」

「王!」

数人がハイドの元に駆け寄ってくる。しかし、

「集まりました。では、説明に入ります。」

黒いゴーレムが、声を出していた。

「面倒なので、発言を許すまで禁止します。これは『命令』ですので、貴方方の現状も知れるでしょう。」

ゴーレムの言葉に、広間に居た全員は怒ったが、声が出ない現実にオロオロしだしていた。

「先ずは、私の新たなボディを送ります。」

王の座に現れたのは、女性のメイドが居た。

「私は、魔王様の配下でルナと言います。命令は私が出しますので、理解しなさい。」

ルナは足を組んだ。

「リディシに続いてバイシュも、魔国が支配しました。王と貴族の廃止、奴隷も選別しますが廃止します。次に兵士に成りたい人の再募集します。国の運営は此方で行います。」

驚愕な顔をする人々だったが、

「これは『命令』です。貴方方は平民に致します。発言を許します。」

声は出るのだが、反対も罵詈雑言の言葉も出なかった。ハイドは、

「ルナよ、私が平民になっては国は動かんぞ。」

「では、皆さんは城を出て、その目で確かめて下さい。そして、此処には戻らないで下さい。『命令』します。」

元貴族と王は出ていった。

「さあ、残った人達は新たな仕事を与えますから、安心して動いて下さいね。」

ルナと名乗った女性は消えて、黒いゴーレムが残った。城に残った人達が、混乱から日常に戻るまでに掛かった時間は、一時間である。そして、元々平民達の日常には変化は起こっていない。

町に出た元偉い人々は愕然となり、人混みに消えて行ったのだ。

『命令』の強制力を目の当たりにして、今までの王家や国に対した気持ちが何だったのか、悩むのであった。

「使える人は、どれぐらいでしょうね。マスターが終わるまでに選別出来れば良いですね。」

ルナの呟きは誰にも聞かれ無い。考えは電脳の渦に消えたのだから。





ーーーーーーーーーーーーーー




「どうなっているのだ!」

東のプレデート国の諜報部では、混乱していた。プレデート国では、王子の外交としてバイシュ国に行っていたのだ。その安否を諜報部で把握していたのだが、連絡が途絶したのだ。

「それが、連絡員だけではなく、バイシュ国から人が来ないのです。」

「だから、どうした!」

「もちろん、此方からは部隊を送ってますが、帰って来ないのです。」

「だから!」

「部隊の殆んど送ったのに、帰って来ませんでした。砦にも伝令の返事が来ません。」

「なっ!」

「送っても帰らないのは、どうすれば良いのでしょうか?」

兵士は上司に報告をしたのだが、絶望的な判断しか出来ない。

第一王子の安否が分からない状況が、確実に上官の首が落ちる事になる。

「とにかく、部隊の増加を送れ。他の部隊にも連絡を送るのだ。私は上に報告をする。」

「はっ!」

とにかく上官は、身の安全を確保するべくの報告である。
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