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第5章 村を作ろう!

村の滅亡

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元々の村の人数は55名であった。現在の生存者は15名。村の崩壊でしかなかったのは、誰でも理解していた。まともな建物も半壊の教会のみ。血の臭いで他の脅威を呼び寄せる状態でもあるのだが、篤郎だけは違っていた。
モンスターの死体は直ぐに消えたのだ。

「取り敢えず、家々の使える物や必要な物を集めていろ。」

の篤郎の提案は受け入れられて、村人達は崩壊した家を調べていた。受け入れられない現実と共に。
生き残った人には、安堵と死の現実もあったが、遺体がないので、言われた事をしているだけであった。
篤郎が馬車と共に戻ると、村人と必要な物を集める事が出来た。日が暮れる頃になって、誰かのお腹がなった。

「今日はこれまでだな。飯の用意をするか。」

この時になって、村人達は絶望が襲ってきたのだ。食料がないのだから。

「飯なんてどうするのですか?食料もありませんよ?」

「食料はある。後は場所なんだが、ここら辺で良いか。」

篤郎はマトックを構えると、振った。
特に振られてもと思っていた、村人達は気にもしていなかったが、振った後は目を見開いていた。夕暮れで最後に見たのは、瓦礫の跡が残る場所が、綺麗にまっ平らになっていたのだ。
気持ちが良い程に、篤郎以外は目を見開いていた。
次いでに、前に見せた店を出したのだ。

「入るぞ。」

篤郎の言葉に促される様にしてみんなが店に入った。
そこは、昼の様に眩しい光がある部屋であった。次に真新しいテーブルと椅子があり、壁も見た事がない仕様になっていた。床にしても靴で踏んでも良かったのかと考えてしまう程だ。

「適当に座ってくれ。あ、あと呼び忘れた奴も連れてきな。」

と篤郎は言うと奥に消えた。安全と綺麗が重なり、飯も食べれると分かると教会の残っていた人も呼びに行ったのだ。
篤郎はシチューと米に決めて取り掛かった。
仕込みを終えてから、食堂に出ると生き残りの内訳が分かった。大人の男が二人に女が二人。子供の男が五人と女が四人、乳飲み子が男も女が一人づつであった。

「ふむ、先に風呂に入れ。赤子が先だからな。子供達はラッツ達が入れろ。」

男達を連れて風呂場に行き、使い方を説明する。シャワーの使い方を言い、温度の変え方は教えなかった。湯の温度は38度に設定しており、赤子の洗い方を説明するが、理解されなかった。様は篤郎が入れなくてはならなくなったのだ。
昔の赤ちゃんの死亡率は高い。死亡の大きな原因は不清潔が大きい。湯に入れる行為は、産まれた時には入れられたが、その後は湯ではなく水に入るのが当たり前なのだ。ようは身体に悪い。
更に服の洗濯も病気と密に関わるのだ。短命の理由は、不潔が関わっているからだ。適度の清潔こそが長生きの秘訣に繋がってくる。食材も大きく関わるが、先ずは清潔を教える事が大事なのだ。

「赤ちゃんを洗う時には、優しく洗う事が大事だ。洗う為には、マッサージをするようにする事も忘れないように。石鹸を使うが直接ではなく、布に馴染ませてから水を良く含ませて、泡立ててから洗うように。耳を洗う場合は、水が入らないようにして別の布で拭きます。」

等の豆知識を披露しながら、親達に見せて洗った。もう一人は親達に洗わせた。間違いを起こさない様に、厳しく行った。また、親達も同様に洗う様に言った。服は魔法で綺麗にした。
篤郎の大変な事はこれだけではない。食事を整えて、子供達に食べさせて、大人達が風呂から上がったのを確認してから、お風呂に三組に分けて篤郎が入れた。石鹸を使う等の事をしていなかった者に教えるのは大変疲れる。
篤郎はマシンの様に洗った。男も女も分け隔て無く洗ったのである。
疲れたよりも無表情で現れてから、寝床を作ったのだ。みんなの疲れはピークだったのだろう。明かりを消す前にはみんなが寝ていた。
篤郎は外に出て、馬達に労を労っていた。

「本当にご苦労様。」

馬達を撫でた。

「名前を贈らしてくれ。君達はーー。」
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