上 下
60 / 505
第4章 冒険の始まり

冒険なんだよね?

しおりを挟む
目が覚めると草の上だった。床も壁も屋根も無くなっている。目が覚めたのが最後だったのか、他のメンバーは地面で正座をしていた。分かっているのは、何かを失敗したのだろうか。

私以外で失敗する者は、デュースかミソオだろう。意外ならハルやラップだろう。ラッツは失敗だけはしない。ただし、ギャンブルは除くけどね。ま、あたしでは無いから良いけどね!
エミーは、のそっそりと起き上がって大きな欠伸をして見せた。

「アツロウさん、エミーが起きましたよ。」

「お疲れ、痺れているから気を付けろよ。」

「みたいですね。」

「「「「いだだだ!」」」」

正座から解放された五人は、とにかく地面を這い回っている。

「だから、正座は少しの時間でも辛いと言ったのに。」

「あだだだ。こんなに辛いとは知りませんよ!あだだだ。」

「いだだだ!エルフにこんな辛い事を!」

「ハルは、もう少しやる?」

「嫌です!あだだだ。」

和気藹々としながら、話をしている。エミーは不思議で仕方なかった。
何故落ち着いて話をしているのかが。

6人は必死に視線を反らしていた。エミーの顔を見ない様にしながら会話をしている。ちょっとした遊びなのだが、熾烈を極めていた。エミーの顔なのだが、白い肌は所々にしかない。様は落書きをしてしまったのだ。額にミミズや怒りマークが多数あり、目はパンダの様になり頬にはナルトや星等が描かれている。鼻も黒くなり、髭も多様に書かれている。喉や下顎、男爵髭にピエール髭。既に原型が分からない程になっているのだ。見たら笑うので、誰が最初に笑うかゲームをしていたのだ。
エミーの顔を見ない。

「おはよう!」

エミーは元気良く挨拶するが、誰も目線を合わせない様にして、

「「「「「おはよう、エミー。」」」」」

「うん?なんだかヨソヨソしい感じがするんだけど。」

「そうかな。」

「そんな筈はないよ。」

「そうだよ、エミー。」

睨み付ける様にして、みんなを見ていた。

「誰も、あたしの顔を見てくれないよね?」

エミー以外で誰も答を言う者は居ない。

「ねえ!こっちを見てよ!」

余計に反対を向かれてしまった。

「飯の準備でもしようかな。」

篤郎は上手く離れた。

「私も手伝います。」

ハルも篤郎に着いて行った。

「私も行こうかなー。」

「デュースじゃ無理なんで、あっしが行きやすよ。旦那ー、手伝います!」

ラッツは逃げた。

「そんなー。」

落ち込むデュースを他所に、ミソオとラップは火をお越し直している。エミーに背を向けて。

「デュース?」

エミーはデュースの肩を掴んだ。

「ひぃ!」

「おかしくない?」

「な、なんで?」

「あたしの顔を見ないなんておかしいよね。」

「さ、さぁ。たまには、あるんじゃないかなーって?」

怒りが溜まってしまったのか、デュースを向かせたが、

「ねぇ、デュース?」

「何かな?」

「なんで、目を閉じているのかな?」

「そ、そんな日もあるじゃない?」

「ははははははは、無いよね。」

「あ、あるかもー。」

プチっ。

エミーの堪忍袋の緒も切れた。

「目を見ろー!」

「はい!」

デュースは目が開いたが、目線は上の方を見ていた。いや、顔がエミーを拒否したのだ。

「見てよ!」

「うん。はい!」

エミーの目の前にはデュースの髪を見ていた。

「む。」

「良い天気だよねー。」

「天気の前に、顔を見せろー!」

「見せる!」

目を瞑ったままでエミーの顔辺りを向いた。

「目を見せろー!」

デュースの弱点である、脇を攻撃しだした。

「ぎゃあー!あはははははははは!」

「どうだー!」

「やめ、ギャハハハハハハハハハ!」

「どうだ!」

エミーのどや顔にデュースの笑いは止まらなかった。

「うぇ、ギャハ!ゴボッゴホッゴボッゴホッ。アハハハハハハハ!」

「えっ、ちっと。デュース、どうしたの?」

「顔、ギャハハハハハハハハハ!か、ゴボッゴホッゴボッゴホッ!」

不適な言葉を聞いて、自分の鞄から手鏡を取り出した。

「な、なんなの!」

エミーの声にみんなが笑い出した。

「成功ですね、旦那。」

「お前達が酷いだけだぞ。」

「ウププププププププッ.」

「笑いを堪えると体に悪いぞ、ハル。」

「「ギャハハハハハハハハハ!」」

朝から賑やかであった
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

無属性魔法を極めた俺は異世界最強!?

ないと
ファンタジー
異世界に行きたい ずっとそんな事を願っていたある日、俺は集団転移に遭ってしまった。 転移すると周り中草木が生い茂っている森林の中で次々とモンスターが襲ってくる。 それに対抗すべく転移した人全員に与えられているらしいチート能力を使おうとしたのだが・・・・・ 「魔法適正が『無』!?」

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました

空地大乃
ファンタジー
ダンジョンが当たり前になった世界。風間は平凡な会社員として日々を暮らしていたが、ある日見に覚えのないミスを犯し会社をクビになってしまう。その上親友だった男も彼女を奪われ婚約破棄までされてしまった。世の中が嫌になった風間は自暴自棄になり山に向かうがそこで誰からも見捨てられた放置ダンジョンを見つけてしまう。どことなく親近感を覚えた風間はダンジョンで暮らしてみることにするが、そこにはとても可愛らしいモンスターが隠れ住んでいた。ひょんなことでモンスターに懐かれた風間は様々なモンスターと暮らしダンジョン内でのスローライフを満喫していくことになるのだった。

神獣に転生!?人を助けて死んだら異世界に転生する事になりました

Miki
ファンタジー
学校が終わりバイトに行く途中、子供を助けて代わりに死んでしまった。 実は、助けた子供は別の世界の神様でお詫びに自分の世界に転生させてくれると言う。 何か欲しい能力があるか聞かれたので希望をいい、いよいよ異世界に転生すると・・・・・・ 何故か神獣に転生していた! 始めて書いた小説なので、文章がおかしかったり誤字などあるかもしてませんがよろしくお願いいたします。 更新は、話が思いついたらするので早く更新できる時としばらく更新てきない時があります。ご了承ください。 人との接し方などコミュニケーションが苦手なので感想等は返信できる時とできない時があります。返信できなかった時はごめんなさいm(_ _)m なるべく返信できるように努力します。

異世界に来たようですが何も分かりません ~【買い物履歴】スキルでぼちぼち生活しています~

ぱつきんすきー
ファンタジー
突然「神」により異世界転移させられたワタシ 以前の記憶と知識をなくし、右も左も分からないワタシ 唯一の武器【買い物履歴】スキルを利用して異世界でぼちぼち生活 かつてオッサンだった少女による、異世界生活のおはなし

迷宮最深部から始まるグルメ探訪記

愛山雄町
ファンタジー
 四十二歳のフリーライター江戸川剛(えどがわつよし)は突然異世界に迷い込む。  そして、最初に見たものは漆黒の巨大な竜。  彼が迷い込んだのは迷宮の最深部、ラスボスである古代竜、エンシェントドラゴンの前だった。  しかし、竜は彼に襲い掛かることなく、静かにこう言った。 「我を倒せ。最大限の支援をする」と。  竜は剛がただの人間だと気づき、あらゆる手段を使って最強の戦士に作り上げていった。  一年の時を経て、剛の魔改造は完了する。  そして、竜は倒され、悲願が達成された。  ラスボスを倒した剛だったが、日本に帰るすべもなく、異世界での生活を余儀なくされる。  地上に出たものの、単調な食生活が一年間も続いたことから、彼は異常なまでに食に執着するようになっていた。その美酒と美食への飽くなき追及心は異世界人を呆れさせる。  魔王ですら土下座で命乞いするほどの力を手に入れた彼は、その力を持て余しながらも異世界生活を満喫する…… ■■■  基本的にはほのぼの系です。八話以降で、異世界グルメも出てくる予定ですが、筆者の嗜好により酒関係が多くなる可能性があります。 ■■■ 本編完結しました。番外編として、ジン・キタヤマの話を書いております。今後、本編の続編も書く予定です。 ■■■ アルファポリス様より、書籍化されることとなりました! 2021年3月23日発売です。 ■■■ 本編第三章の第三十六話につきましては、書籍版第1巻と一部が重複しております。

~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神
ファンタジー
18歳の誕生日…先月死んだ、おじぃちゃんから1冊の本が届いた。 小さい頃の思い出で1ページ目に『この本は異世界冒険記、あなたの物語です。』と書かれてるだけで後は真っ白だった本だと思い出す。 本の表紙にはドラゴンが描かれており、指輪が付属されていた。 お遊び気分で指輪をはめて本を開くと、そこには2ページ目に短い文章が書き加えられていた。 その文章とは『さぁ、あなたの物語の始まりです。』と…。 次の瞬間、僕は気を失い、異世界冒険の旅が始まったのだった…。 本作品は『カクヨム』で掲載している物を『アルファポリス』用に少しだけ修正した物となります。

処理中です...