転生国主興国記

hinomoto

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本章

眷属

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突然現れた美女に犬と執事が馬鹿になりました。
犬は馬車に入れて欲しいのか、鳴いてうるさい。
執事は御者席から後ろに振り返る事が多くなり、御者をするのに適していない状況です。
アイは久しぶりの肉体でナインを抱いていました。最初は嬉しくて、ついそのまま堪能するつもりが、即座に後悔してました。
究極には足りませんが、究極に近付ける努力の賜物がアイの新機体なのだ。
魔力を抜きにしたら世界最強じゃないかな。うん。
だって、抱かれて死にかけました。
魔力を入れなきゃとか考える前に意識が無くなりなしたから。
首を絞められて落ちる感じに似ていたわ。
苦しいとかじゃなくて、越えたら気持ちいいのよ。
あれに似た感じだわ。
因みに、乳は筋肉とか考えてたら死ぬよ?鋼鉄の鎧だね。皮膚は有るけど脂肪ないから。
揺れる物体じゃないから、揺れない物体だから。
残念感が強いですが、抱っこされてます。
当然、ペット枠の二匹には怨まれてます。
どう考えてもおかしいよね?

ガタゴトではなくてパカッパカッ進みます。
だって、車輪は木とか鉄じゃないもん、ゴムだよ、強化ゴム。
スプリングもリムも付けてるから、心配なんかあり得ないよ。
安全設計も完璧ですよ、アイさんの作りは。
ま、ゴーレム馬も全て俺の魔力でアイさんが動かしてるし、悪意ある悪魔や天使にイタズラさせませんけどね。
悪魔は綱を引いたり左右に振っているが意味がなく、犬は引かれたりしてるけど傷は直ぐに治るから問題がないもん。
つ、罪作りなアイさんです。

「ありがとうございます、マスター。」

「やっと制御出来たね。」

「はい。話し方も変えましたが、違和感はありませんか?」

「ちょっと、ドキッとしちゃうけど概ね良いかも。」

「笑顔は出来てませんね。」

アイが言う。機体の顔は引きっていた。

「細かい所は要練習だね。」

「はい。力の出力も5%にします。肌触りは問題はないでしょうか?」

「う、うん。撫でてる時は良いけど、掴むと裏切られる感じが強いよね。」

「問題ありません。マスター用の機体も有りますから。」

ぼんっ。
真っ赤になるナイン。

「おま、おま、おま、」

「マスターの考えている事は全て知ってますよ。」

カーと頭から湯気が昇る。

「機体はマスターが成人してから出しますので、ご辛抱下さい。」

ガクッとなるが、俺の身体では仕方ないな。
ま、見て楽しむかな。そうしよう。
こうして村にも町にも寄らないで走らせていた。

さて、天使や悪魔の身体ならばご飯の概念はない。
食わなくても大丈夫な身体だからだ。
燃料に神力や邪力はいるが、物を栄養としていないから必要がない。
契約なら力の関係があっても問題ない。
しかし、テイムされると意味が変わる。
基本のテイムとは魔物との契約になる。
だが、ナインがテイムすると契約ではなく眷属になるのだ。
眷属だから幽体の身体から肉体を持つことになるのだ。
神力や邪力を持っていても肉体を持つと消費されていく。
人よりも持つのだが、腹は減るし体力は無くなる。
者としての弊害が襲って来たのだ。
よって、二匹は餓える事を体験していた。

夕方に馬車を止めて、アイと夕食を作る事にしたのだ。
久しぶりにアイと料理が出来るのは嬉しかった。
やはり食事は料理から、料理は作るからだ。
食材は倉庫から取り出して、準備を始める。
米を磨いでから水に浸しておく。
磨ぎ汁は残しておく。
米の磨ぎ汁は面倒だが、料理の下準備にも使える。
使い所が少ないので割愛してるけどね。
味噌汁はアイに任せてメインを作る。
この世界では出来ない事をして食べると美味しいからね。
例えばハンバーグやつみれ等は作る発想がない。
切る、焼く、煮るは出来る。
蒸すや乾燥は保存食としての考えはあるが、料理としては観ていない。
鳥の酒蒸しや、茶碗蒸し等は作れないのだ。
蒸し魚も美味しいのにね。
煮魚の前に蒸すのは手間になるが、鯛等は蒸してそのままも良い。
蒸し肉も好きだ。豚や牛、羊や山羊を香草に包み蒸しあげると、癖があるがソースに絡んで美味しくなる。
バーベキューやポン酢も良いが、自作で一手間加えて食べるのも良い。
あ、焼き肉のタレもお薦めだ。
蒸しレタスやキャベツ、白菜などの葉でくるんで食べると最高だ。
そうそう、カラシ味噌等も合うので色々楽しむのが良い。
一人なら料理ほ空しいが、二人以上なら作ってからみんなで楽しむ食卓程、最高の食事だ。
笑い楽しむのが料理の楽しみになる。
野菜も蒸し野菜にして、ゴマだれをかける。
パンチが欲しいので蒸し肉をタレに絡めて炊いておく。
俺の基本はみんなで同じ皿をツツクになる。
よって野菜も肉も、一品を一皿に盛る。
家族や眷属だから問題はなかろう。
あ、他人が居れば皿を別けるよ。
他人に此方のルールに合わせてもらう事はしないし求めない。
新たな味を教えて貰えるチャンスだからな。
ま、今回は眷属なので期待しない。
出来上がって、二匹を呼びテーブルにつかす。
もちろん、犬のままよりも人にしたよ。
別の料理作る気ないからね。 
で、アイさんのテーブルマナー&食事マナーを受けている二匹を見ながら俺はご飯を食べた。
アドラもイシャナも箸の握り方で怒られ、ご飯を食べ過ぎてご飯粒をこぼすこぼす。
肉や野菜を無造作に頬張り、涙を流して蒸せる。
俺は笑い、二人はアイに怒られて落ち込みながら夕食を過ごした。

治りが早いのにタンコブを沢山作られた二人は緑茶を飲む。

「初めて食事を食べました。人種が空腹は駄目の理由を知りました。ありがとうございます、ご主人様。」

と、あれほど貪っていたアドラも、今は執事の格好で優雅にお茶をすすっている。頭はタンコブだらけだが。

「うむ。食べる行為とは崇高であったよ、ありがとうマスター。」

布を一枚だけ羽織ったイシャナは満足顔である。頭はタンコブだらけだ。

「イシャナ、マスターにマスターと呼んで良いのは私だけですよ。」

執事服を着たアイに注意される。
だらしない格好から背筋を正して、

「す、すみません!では、ご、ご主人様!」

「次はもぎますよ。」

冷たく突き放された。

「は、はい。」

汗を流しながら、返事をする姿に笑えてきた。
二人に聞きたくなり、尋ねる。

「お前達は今後どうする?」

の答えに直ぐに答えがきた。

「ご主人様のお心のままに。」
「ご主人様のしたい事を手伝うよ。」

二人して同じ答えなのは嬉しい。だが、イシャナは追加したのだ。

「だって、人の人生なんか数年か数十年でしょ?ご主人様が死ぬまで仕えるの余裕ですよ。何万年よりかは。」

余裕とばかりのほほんとするのに対してアドラは震えていた。 

「イ、イシャナ、あなたは、あっ、知らないのでしたね。ご主人様は神の管理者様から直々にお会いしてお話をされたのですよ?その御方にあなたは...。残念脳筋でしたね。」

やれやれとアドラは首を振っているが、イシャナは青い顔になっていく。

「管理者様だって!私でも遠くからお姿を拝見しただけなのに?!」

「イシャナ。ご主人様の眷属になれた事を誇りにしなさい。」

「初めてアドラも良いことを言いますね。」

「ありがとうございます!アイ様!」

アイに向かってお辞儀をするアドラ。
そして、遅れた様に感情が沸き起こるイシャナ。

「あっあーーーーー!!」

救われない天使であった。
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