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本章
パイルバユカー
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「外れか。」
パイルバンカーを消し去って、戦いの後を見ている。
竜種の遺体も倉庫にしまい地下100階の宝箱を開ける。
「外れか。」
同じフレーズを言っているが、宝物の中には宝石が詰まっていた。普通なら大喜びだろうが、ナインにとって鉱物の一部でしかない。喜ぶとしたら魔鉱石や魔石であろうか。
倉庫に追いやり、地下へ続く扉を開いた。
バクッン!
地面が開いて落とし穴になる。
「次のボスは地下二百階かな?底まで少しスピードを上げるか。」
既に階段を降っていたナインにとって、意味がなかった。
『おのれー』
何か聞こえた気はしたのだが、無視して降った。
“言葉に言う”とは対したもので、其所からは何時ものナインになったと云うべきか単に飽きたのかは不明だが、慎重では無くなっていた。
走りながら銃を撃ち剣を振るい、魔法を放ち全てを回収して倒壊しない措置をしている。
一気に冒険から殺戮に変わっていった。
文字なので格好良く立ち回りを想像なんかは止めてもらいたい。
子供が子供刀を振りながら銃を撃ち、死んだら即座に無限倉庫行き。誰が見ていたとしても驚ける情景である。
それはコアである彼にも同様に驚くしかなかったのである。
特別な場所にある地下ダンジョンなのだから魔物もそれなりに強い。なんたって、このダンジョンに来れるレベルの冒険者なのだから、レベル二百からが最低レベルであったのに、簡単に抹殺されるので焦ってもいた。
小さな子供が、この場所に来れないはずの子供が、餌にしかならない子供が何故強いのか?
あれ程の怒りが一瞬にして恐怖へ変わっていく。
背が小さい大人や小人族でもデータの中にレベル二百を超えた存在は少ない。だとしても、パーティーで来た訳ではなく、一人で竜種を倒したりダンジョンを変えたりなんて、不遜な事の理由にならない。
理論を凌駕してしまい思考の中に逃げていた。
コアが示したように強いだけでは越えれないダンジョンかも知れないが、ナインは簡単に進んでいた。
既に魔物も竜種に近いレベル五百を超えている。
進行速度も、長くて一時間しか階に居ない状態になり、普通なら
攻略に時間を掛ける所で早くなるのは、普通に考えて居ないだろう。
普通ならそうだ。
普通でない存在のナインには違っていた。
探索に飽きたのだ。簡単に珍しいモノを感知して、ソコまで短距離で進みながら素材、鉱物はアイに回収させていたのだ。
そうなれば速いのは当然の事になるのだがら堪ったものではない。
ダンジョンをゲーム感覚に進むナインに恐怖を感じていないコアなど居ないだろう。
既に二日で地下百五十階に到達していた。
寝床を作ったり、魔物を囲ったり、壁から鉱物や鉱石の回収をしている。
はっきり言おう。
こんな冒険はあってはならないと、云えるのだが今更ながら感が強いのは仕方がないのだろう。
地下二百の扉の前でアクビをしていた。
「あー、手応えないー!」
もう、既に最初の気持ちなど保ってなかったようだ。
もうこうなったらと、ロケットランチャーを持ってしまうが、
[マスター、素材を壊さないで下さい。]
と嗜められる。
全くこの世界に優しさがない事に残念がっていた。優しくない人が勝手に思う理論なのだが。
中ボスは蜘蛛の魔物であった。
巨大にして凶悪とされる、難度SSSの災害な魔物であったが、
[マスター!素材を素材な素材です!確保しましょう!]
ハイテンションなアイに一瞬にして、
「イエス!マム!」
と、ロケットを倉庫にしまって飛んだ。
一瞬にして魔物に向かって行き膝蹴りを決めていた。
(素手に殴ったら良いな?)
[肯定。本気で殴らないで下さい。三回で確保出来ますので。]
心配する声で言われる。
(了解!)
動物以上に痛みが遅いはずの昆虫の蜘蛛も最初の膝に何もかも跳んでいた。
其処から反撃をするまでに、右のパンチが入り左のパンチが決まり、右のアッパーカットに巨体をひっくり返えっていた。
獲物を狙うどころか、捕食される立場だと理解したのだ。
逃げれない、逆らえば死ぬ。
知能を持ってしまった為の巨体を怨めしく考えてしまっていた。
アトラク・ナクアの名を貰った魔物は困っていた。
[指定された従属解除、管理権限の解除。マスター、テイム可能です。]
今まで聞いた事がない声が聞こえていたし、心地好く聞いていた。
(テイム?出来るのかー。いってみるか。)
魔力がアトラク・ナクアの身体を包んでいく。
「えーと、名前を付けるんだったな?アブアナ、お前はアブアナとする。」
[テイム完了です。]
ひっくり返ったままのアブアナを触りながら、
「で、アイさんよ。アブアナはどうすんの?」
[解!無限倉庫に来てもらいます!]
「お、おう。ん?今までで、テイムなんかせずに倉庫送りにしてなかった?」
[・・・・・・]
「ア、アイさん?」
[主導権はマスターですが、飼育は此方でします。]
「えっ?いやいや、違うじゃん。」
[しますので。何か?]
声に威圧感が半端ではなかったのだ。
「な、何にもありません!サー!」
倉庫に取り込まれるのは、初めて見てしまった。
感動を感じてしまっていたよ。
自発的に行動をはっきり言って来たのも感動であった。
感動していても、何も出来ないのでやる事をやる。
蜘蛛の巣の回収と骨と宝物も回収したよ。宝物もアイの矜持に刺さったようで、かなり感謝していた。
機械的にしていたのに、やっと人間的に話せるのに感動していたナインは他はどうでも良くなっていた。
回収後は、即座に階段を掛け降りていた。
本当に良かったとナインは思っていた。
『やっと本気でマスターの服や装備を作れる』
アイの本心を知らないナインは、後に知ることになるのだった。
パイルバンカーを消し去って、戦いの後を見ている。
竜種の遺体も倉庫にしまい地下100階の宝箱を開ける。
「外れか。」
同じフレーズを言っているが、宝物の中には宝石が詰まっていた。普通なら大喜びだろうが、ナインにとって鉱物の一部でしかない。喜ぶとしたら魔鉱石や魔石であろうか。
倉庫に追いやり、地下へ続く扉を開いた。
バクッン!
地面が開いて落とし穴になる。
「次のボスは地下二百階かな?底まで少しスピードを上げるか。」
既に階段を降っていたナインにとって、意味がなかった。
『おのれー』
何か聞こえた気はしたのだが、無視して降った。
“言葉に言う”とは対したもので、其所からは何時ものナインになったと云うべきか単に飽きたのかは不明だが、慎重では無くなっていた。
走りながら銃を撃ち剣を振るい、魔法を放ち全てを回収して倒壊しない措置をしている。
一気に冒険から殺戮に変わっていった。
文字なので格好良く立ち回りを想像なんかは止めてもらいたい。
子供が子供刀を振りながら銃を撃ち、死んだら即座に無限倉庫行き。誰が見ていたとしても驚ける情景である。
それはコアである彼にも同様に驚くしかなかったのである。
特別な場所にある地下ダンジョンなのだから魔物もそれなりに強い。なんたって、このダンジョンに来れるレベルの冒険者なのだから、レベル二百からが最低レベルであったのに、簡単に抹殺されるので焦ってもいた。
小さな子供が、この場所に来れないはずの子供が、餌にしかならない子供が何故強いのか?
あれ程の怒りが一瞬にして恐怖へ変わっていく。
背が小さい大人や小人族でもデータの中にレベル二百を超えた存在は少ない。だとしても、パーティーで来た訳ではなく、一人で竜種を倒したりダンジョンを変えたりなんて、不遜な事の理由にならない。
理論を凌駕してしまい思考の中に逃げていた。
コアが示したように強いだけでは越えれないダンジョンかも知れないが、ナインは簡単に進んでいた。
既に魔物も竜種に近いレベル五百を超えている。
進行速度も、長くて一時間しか階に居ない状態になり、普通なら
攻略に時間を掛ける所で早くなるのは、普通に考えて居ないだろう。
普通ならそうだ。
普通でない存在のナインには違っていた。
探索に飽きたのだ。簡単に珍しいモノを感知して、ソコまで短距離で進みながら素材、鉱物はアイに回収させていたのだ。
そうなれば速いのは当然の事になるのだがら堪ったものではない。
ダンジョンをゲーム感覚に進むナインに恐怖を感じていないコアなど居ないだろう。
既に二日で地下百五十階に到達していた。
寝床を作ったり、魔物を囲ったり、壁から鉱物や鉱石の回収をしている。
はっきり言おう。
こんな冒険はあってはならないと、云えるのだが今更ながら感が強いのは仕方がないのだろう。
地下二百の扉の前でアクビをしていた。
「あー、手応えないー!」
もう、既に最初の気持ちなど保ってなかったようだ。
もうこうなったらと、ロケットランチャーを持ってしまうが、
[マスター、素材を壊さないで下さい。]
と嗜められる。
全くこの世界に優しさがない事に残念がっていた。優しくない人が勝手に思う理論なのだが。
中ボスは蜘蛛の魔物であった。
巨大にして凶悪とされる、難度SSSの災害な魔物であったが、
[マスター!素材を素材な素材です!確保しましょう!]
ハイテンションなアイに一瞬にして、
「イエス!マム!」
と、ロケットを倉庫にしまって飛んだ。
一瞬にして魔物に向かって行き膝蹴りを決めていた。
(素手に殴ったら良いな?)
[肯定。本気で殴らないで下さい。三回で確保出来ますので。]
心配する声で言われる。
(了解!)
動物以上に痛みが遅いはずの昆虫の蜘蛛も最初の膝に何もかも跳んでいた。
其処から反撃をするまでに、右のパンチが入り左のパンチが決まり、右のアッパーカットに巨体をひっくり返えっていた。
獲物を狙うどころか、捕食される立場だと理解したのだ。
逃げれない、逆らえば死ぬ。
知能を持ってしまった為の巨体を怨めしく考えてしまっていた。
アトラク・ナクアの名を貰った魔物は困っていた。
[指定された従属解除、管理権限の解除。マスター、テイム可能です。]
今まで聞いた事がない声が聞こえていたし、心地好く聞いていた。
(テイム?出来るのかー。いってみるか。)
魔力がアトラク・ナクアの身体を包んでいく。
「えーと、名前を付けるんだったな?アブアナ、お前はアブアナとする。」
[テイム完了です。]
ひっくり返ったままのアブアナを触りながら、
「で、アイさんよ。アブアナはどうすんの?」
[解!無限倉庫に来てもらいます!]
「お、おう。ん?今までで、テイムなんかせずに倉庫送りにしてなかった?」
[・・・・・・]
「ア、アイさん?」
[主導権はマスターですが、飼育は此方でします。]
「えっ?いやいや、違うじゃん。」
[しますので。何か?]
声に威圧感が半端ではなかったのだ。
「な、何にもありません!サー!」
倉庫に取り込まれるのは、初めて見てしまった。
感動を感じてしまっていたよ。
自発的に行動をはっきり言って来たのも感動であった。
感動していても、何も出来ないのでやる事をやる。
蜘蛛の巣の回収と骨と宝物も回収したよ。宝物もアイの矜持に刺さったようで、かなり感謝していた。
機械的にしていたのに、やっと人間的に話せるのに感動していたナインは他はどうでも良くなっていた。
回収後は、即座に階段を掛け降りていた。
本当に良かったとナインは思っていた。
『やっと本気でマスターの服や装備を作れる』
アイの本心を知らないナインは、後に知ることになるのだった。
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