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本章
皇国にさんじょう
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砂漠を砂塵を上げて走っている。
無心で走っているのは、心が居たたまれないだけであった。
人を指導する事に慣れて居ない人間が、指導者をして現実はどうなんだろう?と考えれば分かるだろう。指導するいろはも無い人間の限界と恥ずかしさで逃げただけなのだ。
そんな理由も判る訳もなく、爆走で土が舞い上がっているのだから何も起こらない訳がない。
魔物と身構えてしまう皇国の砦の監視員は鐘を鳴らして大声で伝えた。
「大型の魔物がくるぞ!」
直ぐさま緊急配備される砦の兵士達。
門の前に三十人が槍を持っており、その後ろに二十人の剣士がおり、門の上に弓兵が二十人の陣内を仕立てた。
土埃は段々と砦に近くなっている。
だが、土埃はするが魔物の姿は見えない。
兵達に緊張が走り、誰かの喉を鳴らす音が聞こえる。
土埃が間近に迫っていたが、兵達は目をこすり、頬を叩き、つねり、ビンタしあい、我が目を疑っていた。
髪をたなびかせた子供が砦の横を走り去っていった。ただ、兵達は見ていただけであった。
この事は極秘とされ、砦では噂となり、軍記には訓練と記された。
ただ、【『幻だ』と先輩が言った】が砦では暫く合言葉のように使っていたのだった。
砂漠の砦から先の村を越えて山の中腹でナインもやっと止まった。
とにかく、別れに恥ずかしいやら何やら有りすぎて、走り出したのが理由だ。
別れて直ぐに倉庫から馬車を返したり、接触のあった魔物の回収をアイがしてくれたので、犯罪証拠のほとんどを回収していた。
ほとんどなので、何かと残している。
砦で見られたのを併せてになるが、やり過ぎた。
砂漠では魔物の死体。小型なら何とも感じてもらえないが、大型が多数も回収出来ていなかった。外傷が少ない死体に焦ってしまう事件でもあったが、大きな臨時収入になっていた。
で、イグミサル皇国側での失態が凄い。
砦でから直ぐに盗賊と遭遇してぶっ飛ばす。普通の岩を破壊。道を作る。湖畔を干上がらせる。魔物の死体を残す。破壊した岩で村や町の被害が出てるし、損害もでかいようだ。
小さなデストロイヤーはその大きな爪痕を残して、やっと止まったのだ。
「お腹空いた。」
山の中腹でランチを取り出したのだ。
良い場所を作り出すと、ランチシートを引いて食パンに野菜とハムと目玉焼きを乗せた簡易の食事を始めた。
小高いちょっとした場所ではない。
険しい山の中腹に良い場所が出来たのだ。
当然、誰からも分かる目立つ場所になる。
「黄身が、ぐっ、、ジュル、ごぼれたー。」
まさか子供が引き起こしている何て誰も思わないだろう。
ナインは瓶牛乳を取り出して、飲んでいる。
「気持ちいー。」
瓶を持ちながら辺りを見渡した。
家と農地と川と木が絵のように目に入ってくるのだ。
風も気温も丁度良い感じだし。
ナインの気持ちも知れよう、ただし口の周りに白いひげがなければと付け加えておこう。
食べ終わり、山頂近くでアイの警告を受けた。
[マスター、龍種が向かってます。]
(どんな?)
[解。名前も何もない、ただの龍ですね。知能は人間並です。]
(お、狩っても?)
[問題ありません。]
小刀を抜いて待っていると、空から龍の姿が現れた。
獲物だろう魔物を挟んでいたのだ。
ナインの側に降りてきた。
「みつぎものか?」
「何だ、喋るのか?」
「しつもんはわしがするのギャ!」
平然としているのが気に食わないのか、怒りだした。
「おまえ、食う!」
龍がナインに向かっていた。
それを影から見てる集団がいた。
貢物を持った村の集団であった。
貢物は小さな女の子が二人と、酒に魔物の肉があった。
年に一度の貢物である。
それらが隠れたのだ。
昔から居た龍は各村や町に要求してきたのだ、共存する為のお題目を押し付ける為に。
その儀式の途中で出くわした出来事なのだ。
龍を前にしている女の子が剣を持って対峙しているのだ。
見て分かるのは、負ける事とその代償であった。
終わったと思っていた。
「あっ!」
貢物の女の子が叫んだ。
龍の、首が放物線を描いて飛んだのだ。
「「「....えっ?!」」」
貢物になっていた子供がハシャギ、人々が歓声をあげる。
「解放されたどー!」
の声にワーやキャー等の声に泣き声と続いた。
突然の解放に我を忘れて歓喜していた。
「何これ?」
ナインは龍の頭も倉庫に仕舞い、訳の分からない歓喜をボーと見ていたのだ。
(何かした?)
[肯定。]
アイから子細を聞いて目立ってしまった事に気がついてしまうが、後の祭りなのだから。
無心で走っているのは、心が居たたまれないだけであった。
人を指導する事に慣れて居ない人間が、指導者をして現実はどうなんだろう?と考えれば分かるだろう。指導するいろはも無い人間の限界と恥ずかしさで逃げただけなのだ。
そんな理由も判る訳もなく、爆走で土が舞い上がっているのだから何も起こらない訳がない。
魔物と身構えてしまう皇国の砦の監視員は鐘を鳴らして大声で伝えた。
「大型の魔物がくるぞ!」
直ぐさま緊急配備される砦の兵士達。
門の前に三十人が槍を持っており、その後ろに二十人の剣士がおり、門の上に弓兵が二十人の陣内を仕立てた。
土埃は段々と砦に近くなっている。
だが、土埃はするが魔物の姿は見えない。
兵達に緊張が走り、誰かの喉を鳴らす音が聞こえる。
土埃が間近に迫っていたが、兵達は目をこすり、頬を叩き、つねり、ビンタしあい、我が目を疑っていた。
髪をたなびかせた子供が砦の横を走り去っていった。ただ、兵達は見ていただけであった。
この事は極秘とされ、砦では噂となり、軍記には訓練と記された。
ただ、【『幻だ』と先輩が言った】が砦では暫く合言葉のように使っていたのだった。
砂漠の砦から先の村を越えて山の中腹でナインもやっと止まった。
とにかく、別れに恥ずかしいやら何やら有りすぎて、走り出したのが理由だ。
別れて直ぐに倉庫から馬車を返したり、接触のあった魔物の回収をアイがしてくれたので、犯罪証拠のほとんどを回収していた。
ほとんどなので、何かと残している。
砦で見られたのを併せてになるが、やり過ぎた。
砂漠では魔物の死体。小型なら何とも感じてもらえないが、大型が多数も回収出来ていなかった。外傷が少ない死体に焦ってしまう事件でもあったが、大きな臨時収入になっていた。
で、イグミサル皇国側での失態が凄い。
砦でから直ぐに盗賊と遭遇してぶっ飛ばす。普通の岩を破壊。道を作る。湖畔を干上がらせる。魔物の死体を残す。破壊した岩で村や町の被害が出てるし、損害もでかいようだ。
小さなデストロイヤーはその大きな爪痕を残して、やっと止まったのだ。
「お腹空いた。」
山の中腹でランチを取り出したのだ。
良い場所を作り出すと、ランチシートを引いて食パンに野菜とハムと目玉焼きを乗せた簡易の食事を始めた。
小高いちょっとした場所ではない。
険しい山の中腹に良い場所が出来たのだ。
当然、誰からも分かる目立つ場所になる。
「黄身が、ぐっ、、ジュル、ごぼれたー。」
まさか子供が引き起こしている何て誰も思わないだろう。
ナインは瓶牛乳を取り出して、飲んでいる。
「気持ちいー。」
瓶を持ちながら辺りを見渡した。
家と農地と川と木が絵のように目に入ってくるのだ。
風も気温も丁度良い感じだし。
ナインの気持ちも知れよう、ただし口の周りに白いひげがなければと付け加えておこう。
食べ終わり、山頂近くでアイの警告を受けた。
[マスター、龍種が向かってます。]
(どんな?)
[解。名前も何もない、ただの龍ですね。知能は人間並です。]
(お、狩っても?)
[問題ありません。]
小刀を抜いて待っていると、空から龍の姿が現れた。
獲物だろう魔物を挟んでいたのだ。
ナインの側に降りてきた。
「みつぎものか?」
「何だ、喋るのか?」
「しつもんはわしがするのギャ!」
平然としているのが気に食わないのか、怒りだした。
「おまえ、食う!」
龍がナインに向かっていた。
それを影から見てる集団がいた。
貢物を持った村の集団であった。
貢物は小さな女の子が二人と、酒に魔物の肉があった。
年に一度の貢物である。
それらが隠れたのだ。
昔から居た龍は各村や町に要求してきたのだ、共存する為のお題目を押し付ける為に。
その儀式の途中で出くわした出来事なのだ。
龍を前にしている女の子が剣を持って対峙しているのだ。
見て分かるのは、負ける事とその代償であった。
終わったと思っていた。
「あっ!」
貢物の女の子が叫んだ。
龍の、首が放物線を描いて飛んだのだ。
「「「....えっ?!」」」
貢物になっていた子供がハシャギ、人々が歓声をあげる。
「解放されたどー!」
の声にワーやキャー等の声に泣き声と続いた。
突然の解放に我を忘れて歓喜していた。
「何これ?」
ナインは龍の頭も倉庫に仕舞い、訳の分からない歓喜をボーと見ていたのだ。
(何かした?)
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アイから子細を聞いて目立ってしまった事に気がついてしまうが、後の祭りなのだから。
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