転生国主興国記

hinomoto

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本章

デスアボロト

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あれから二週間は過ぎた。
ピアは何かを思っているか分からないがカミングアウトを中々してこなかったが、色々とナインに質問したり服を借りたりとしていた。
ナインも対抗するようかの様に、この世界にない物を使っていた。
主に赤子セットと食に関しては制限なしだ。
他の子供達はナインを恐れてか、話す時は敬語になっている。
しかし、未知で新しい物には心を奪われていた。
朝と昼には味付けが変わる食事をナインからもらうのが楽しみであった。
キャラバンもサンドステリオンに襲われて遅れてしまったので、かなり急ぎになっていた。
キャラバンに怪我人は居なかったが、水桶がやられて水が少なくなったそうだ。
今回は赤子を連れて皇国に行くのも、実は赤子の呪いを解くためである。
呪いを受けたなど、他のオアシスにも云えない事。砂漠ではご法度になる事であった。
知られたらそのオアシスの人間は滅ぼされる程、呪いに対して恐れていたのだが、受けた子が出た為に皇国にて呪い解除を求めたのだ。
そう、皇国か神国のどちらかで一度だけ呪いを解く事が出来るのが砂漠のルールであった。
呪いを解く為の掟として、受けたものが死なない事も含まれる為に急いでいるとも云える。
と、いう話しをピアから聞いたナインは即行で方を付けたのだが、誰にも言わなかった。
とにかくピアが煩く付きまとうのだ。
扇風機は何故に羽がないのか?アイテムボックスは持っているのか?魔法は使えないのか?鑑定はあるのか?加護はあるのか?
・・・・・・うん。
早く元地球人ですとかカミングアウトしてくれないの?
馬鹿にも能力は有るけど無理ですな。
今のスキルでは、記憶が特筆する位で他は普通。
記憶も前世の記憶を持てるようだが、多分、知能は高校位で専攻は不明。
隠れたスキルも乾坤一擲等とふざけた物だ。
なんたって、博打の才能の最上位だからな。
使い道も本人次第だし、本人も覚悟が無いみたいだ。
あ、子供の呪いは厄災と言うもの。
神から受けるモノだが、神でなくても与えれる代物だ。
よって解除は簡単だ。
まだ解かないけどな。
面白い冒険できるのだからね。
で、外では大人達は泥々になりながらも道を進んでいた。
馬車では子供達は快適に過ごしているのに。

走る先に砂の柱が上がっていた。
魔物の出現だと分かるのは、この魔物が有名だからだ。
デスアボロトと呼ばれる魔物は大きさも小山程あり、出会えば最後の厄災の魔物である。

「反転!走れー!」

ルイーザ隊長の声が聞こえた。
気力もほとんど残ってはいない状態で何とか出した指示であった。
既に戦う気力何てないのだから。
オアシスの仲間に心で謝っていた。
ごめん、と。
だが、その耳に聞いてはならない言葉が入ってきたのだ。

「一狩り行こうぜ!」

可愛らしい声と笑顔で飛ぶ子供を見てしまったのだ。

「ナ、ナイン?」

ルイーザやタレットが後ろを見たときに信じれない事が起こる。
デスアボロトが天に打ち上げられたのだ。



ーーーーーーーーーーーー


少し前に戻る。
馬車の中ではナインが赤子の為にミルクを準備している。
それを邪魔するようにピアが話し掛けていた。好きな漫画は何?って。
カミングアウトは無いが、露骨にそんな事を言ってる。
ハリスは赤子を見てあやしているし、他の子も編み物をしていた。
手に職をつけさせているナインの行動にピアは分からないでいた。
何の役にたつのか?
機械を作り、工業を発展させれば楽に出来るし金も儲けられると考えていた。
だから、教えてもらうから仲良くして仲間にして、操る考えになっていたのだ。
そう、ピアはナインのご機嫌取りをしていたのだ。
が、地震が馬車を襲った後に「走れ」の言葉が聞こえたのだ。
ハリスが大人に聞くと、
「デスアボロトが出た!」
であった。
ナインはアイに聞いた。
デ○ア○ロ○やん。
反転する馬車で分かったことは、姿と素材と松阪牛と変わらない肉質を持つことだった。
ハリスを含め馬車中央で塊っていたが、ナインは目を輝かせて外に向かう。

「な!ナインでも無理ですよ!」

の言葉に対して、

「にくー。」

の答えが帰ってきた。

子供達は「へっ?」と間抜けな顔をしたが、ナインは勝手に馬車を出て行ったのだ。
外では「一狩り行こうぜ!」の言葉が聞こえてきた。


ーーーーーーーーーーーー

見ても分からないだろう。
子供のナインが素手でデスアボロトを殴ったのである。
飛んでいたナインの体が自由に動き、デスアボロトの顎に拳を当てるのを見ていた。
単純にナインが飛ばされる覚悟をしていた。が、その反対にデスアボロトが飛んだのだ。

「とおー!」

舞った砂埃からナインが飛んで出てきた、手を刀のように払うとデスアボロトの首が離れて消えたのだ。夢?幻だったのか消えてしまった。
土埃が降る中で大人達の意識が飛んだ。
記憶の中にナインの笑顔が突き刺さっていた。
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