転生国主興国記

hinomoto

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本章

閑話 獣人

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獣国からナインに講和の件を報せて来たのは、動けなくなっていた二週目だった。
サンガ連合ではなくてミニック国単独なのは感心したが、同盟しても助けに行けない事に笑ってしまう。
そこまで逼迫しているのかと思ったが、どうするのかを逆に言いに来た外交長官のエンブーさんに聞いて見よう。

「で、何でこんな事で長官がきてんの!?」

「はーはー。」

うん、このエンブーさんはライオンの獣人で中年の女性なんだよね。重鎮で真面目な性格の為に外交官には向いていないが、やる気はあって頑張り屋と聞いていたんだけど?

「エンブー長官?」

「すうぅぅぅうう。あはー!」

何だろう、背筋にゾワゾワくるんだよね。

「えーと、エンブーさん?聞いているかな?」

「はっ!はいっ!聞いていますよ!」

何故に顔が赤い?
熱でもあるのかな?
其よりも聞かなきゃ。

「エンブーさんは、この講和はどうするの?」

「は、はい!講和です!」

「ふーん。受けるのか。」

「あっ、止めます!」

「えっ!何で変えたの?」

「止めません!」

「どっちなの!?」

「分かりません!」

・・・・・・・・・・・
んーと、俺次第って訳か?
ま、どちらでも良いけどねー。
あ、長官きてんのに講和ダメとかないか。
ミニック国の宰相はなかなかやるし良いかな。

「講和結めば良いじゃん。」

「かふーかふー。」

何か下向いてますが?
何か病気!不味い!
(アイ!エンブーさんにサーチをしてくれ!)

[肯定。結果は言いますか?]

(当たり前だろ!早く頼む!)

[肯定。解。肉体に問題箇所なし。精神は普通ですね。]

(そうか!何にも以上はないんだな。良かったー。)

[肯定。]

良かった?まて、ではこの表情や尻尾の高速に揺れてるのは何なの?顔も赤いよ?
病気ではないの結果だし、おかしいよ。
何の違和感?待てよ。
長官自らが動いて俺に聞くって事はないか?別にようがあるのだな!なんだろう?結婚はしてられるし、子供も大人だし、旦那に問題なさそうだし、やっぱり外交の事かな?

「俺も会談に参加するよ、補佐になるかわからんが。」

俺はそう言うと、席を離れて転移をしたのだ。

「かふー!はっ!いない!」

エンブーは落胆しだした。

「新龍様のにほい、最高だったのにー。」

???



ーーーーーーーーーーーー


特使は困っていた。
常識に無いモノに対してどうすれば良いのか分からない。
椅子に座ってからは動けないでいた。
飲み物にも触らず、ただ待っていたのだ、恐怖に耐えて。
ダクト国の国境迄は普通の景色だったのに、獣国の国境付近から見た事も無いモノを見た。
壁である。国境を分けるように張り巡らした壁を見たのだ。
無かった景色であるが、何らかの意図があって急遽建てたのに違いない。と思っていた。
国境の門兵の姿に驚いた。
いや、兵も国境の城?にも驚いた。
何と言うか、別物だった。
門に入るのに通行書が要らないと言われるし、門も入って直ぐに出られたのだ。
しかし、問題が直ぐにあった。
商人の姿だったのに、特使とバレたのだ。
其れから村に入ったのだが、何と言えば良いのか分からないが綺麗なのだ。
道が綺麗、建物も綺麗、人の服装も綺麗。臭いも無いのだ。
村の臭いがない。子供も大人も挨拶をしてくる。他人に挨拶できるのか?
建物も変わっていた。豪華な屋敷とは違うが建物だ。
建物だが、おかしいのだ。
入る扉は透明な板だろうかガラスと言われた。此が自動で開くのだ!
自動に歩く歩く階段に階を移動する箱。
部屋と言われた家具が少ない部屋。扉には木とは違う物だ。何かが違っていたのだ。
あのレイク王国が敗戦してからの情報が入らなかったのは、この為なのか?
一人にされて、椅子から離れて立った。
外が見れたから見た。
城では無いのは分かっていたが、ここ何処?
高いよ!?
地面が見えなかったのだ。
いや、見れなかった。
其れから、椅子に戻って震えていた。
女性がトイレ?や飲み物の世話をしてくれたが、全て断った。
かなり待ったと思う。
ドアをノックして女性が来た。

「特使殿、長官がお着きになられました。直ぐに参ります。」

と、お茶を2つ置いていったのだ。
食べ物もあった。小さいが茶色い壁に赤い屋根の甘い匂いがする物だ。ノックの後に女性と獣人の女性と子供が入ってきた。

「はっ!ううっん。遅くなったが私が外交を任されているエンブー外交長官だ。宜しく頼む。」

「俺は付き添いな!ナインと呼んでくれ!」

「えっと、はい?長官って?」

「あ、ああ、済まない。国が大きくなったので、外の国と話をするのは私が担当なのだ。王の採決が直ぐに出来る立場なんだよ、私は。王の代理と言えば理解できるかな?」

「はっ!申し訳ありません!あの、そちらのお子様は?」

「気にするな。」

「えっ?」

「気にせずに話を聞きましょう。」

エンブーさんは真面目な顔になった。
慌てて特使は話し出した。

「は、はい。この度は、ミニック国宰相閣下よりの密書をお預かりしております。」

書簡をエンブーに渡して、

「内容はミニック国との同盟を結んで頂きたい。返答により、結んで頂いたら宰相閣下のお子様を人質に出します。」

「国と同盟ですか。宰相閣下のお子様が人質に?」

「はっ!王のお子様は病弱な為、交渉には向かないのです。宰相閣下のお子様は15才の男でございますが、宰相閣下と同じく頭が良く礼儀も良いので代わりに勤めると言われました。」

「本気では無いね。連れて来てないし。貴方がお子様?」

「違います!宰相閣下の長男でウエルゲン・デテュート様は、まだダクレ国に居られます。様子を見に私が先行しただけの事です。まさか、書状を使うとは思いもしませんでした。ウエルゲン様のご推察は凄いです。」

「じゃ、直ぐに連れて来て。時間は無いわよ。」

「は、はい!直ぐに連れて来ます!」

特使は立ち上がって、困ってしまう。
連れられた道が分からないのだ。直ぐにエンブーは女性の職員を呼び、彼を連れていったのだ。

「頭が良さそうな子供だねー。」

ナインはエンブーの顔を見たのだが、即座にエンブーは顔を背けた。

「何処か具合が悪いのか?」

それは起こった。
ナインは膝に手を置いてしまった。

「ふがー!!」

ナインはやっと気がついたのだ。
何故、アイが普通と答えたのか。
何故、異常がないのか。
答えはナインが好きだから。
エンブーが抱きしめて熱い口づけを頬にする。

「ああ!柔らかい!ナイン様が悪いのです!ナイン様!」

ショタ!ショタやんか!

「何?止めて!」

ウッチュ!ウッチュ!ウッチュ!
「はぁはぁはぁ!」

「ひぃぃぃぃい!」

変態の定義が身内になっていた分たちが悪かった。
おばさんによる接吻にナインはやられまくりだった。最後は力技で脱出したのだが、大きな猫として諦めたのだが、不安があった。
獣人に恋など向けれない。
ナインは心に硬く誓い、対獣人武器の製作にはいったのだった。
........女怖い。
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